夜空が好きだ。
ただ暗く、深く、無限に広がるようなその世界を瞳に映せばこの世の何もかもを忘れていられた。
夜明けが来た、まるで夜を追い出すように迫る朝は幾度となく憎らしく思う。
澄んだ青だって美しい、しかし、それだけだ。
ただ単調に描いたようなこの「空」は窮屈で仕方がない。
私はやっとの思いで体を動かし家を出た。 何となく空を見上げる。今日は快晴だ。 秋に入り、少し冷えた気温を感じながら学校へと足を運んだ。
学校なんてそれなりの事をしていればいい。
クラスで特別浮いている、というわけではないし成績が悪い、というわけでもない。
普通に、普通に。それで私はいいのだ。
下校する時間、空は赤く焼けていた。
もうすぐ夜が近付いてくる。だからこの空は嫌いじゃない。
私は足を速めて家へと向かった。途中、公園で泣く少女の姿を見た。こういった時にはできるだけ話を聞いてあげるようにしている。
いつものように優しく近付き声をかけた。
すると迷子だという。予想の通りだ。大体は交番へ連れて行く道中で親と合流するものだったので今回もそうしようと手を差し出した。しかし少女は親は家にいると言った。
こんな遅くまで子どもが帰ってこないのに家にいる親などいるだろうか、さらに見たところ少女は5歳ほどだろう。一人で公園へ行かせているのもよく分からない。不安になりながらも少女の言う事を信じて家を探すことにした。
20分ほど歩いただろうか、少女の言うような家は見つからない。仕方が無いので交番へ連れて行こうとすると泣いて動かない。
私はこの少女に声をかけた事を後悔しながらもまた歩き続けた。
もう自分でも何処を歩いているのか分からなくなっていた。
ある時少女が立ち止まり前を見つめ出した。
そこは海だった。いつの間にこんなところへ来たのだろう。記憶を辿ろうとしても何も思い出せなかった。そして空は暗く、夜になっていた。
あまり時間が経っている気がしない、それに海なんて車を使ってやっと来れる程遠くにあったはずだ。
急に冷や汗が流れた。自宅への帰り道、この少女の家、これからどうするべきなのかすら分からず私は頭を抱えた。
一度夜空を見上げた。本当に美しかった。
もう全てどうでもいいと思える。こんな時でも夜空は私に安らぎを与えてくれるのだ。
微笑みを浮かべ目を閉じた。
気付くと朝だった。ふと涙が頬を伝った。
鮮やかで明るいその空に、自らを包み込むような優しさと暖かさを感じた。
「ありがとう」そう言い残し私は立ち上がった。
コメント
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いや、小説書くの上手すぎww
自分でもよく分からないものを書いてしまいました。自己満です。続きません。