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ネコの退屈
28
鬼太郎side
(「鬼太郎さん、申し訳ございません。私は皆さんに甘えすぎていました。
また近いうちに謝罪を込めて伺わせていただきます。」)
せいは、そう言って僕に頭を下げてゲゲゲの森を抜けて行った。
近いうちに来てくれる?
嘘つき、せいが来たのは今日で半年ぶりじゃないか。
また、半年後なの?
ねぇ、せい。せいは、僕たちのことが嫌いなの?
僕は君と<友達>になりたい。千代ちゃんの代わりじゃなくて、せい、せいちゃんと<友達>になりたいんだ。
僕は、せいをせいちゃんって呼びたい。
せいちゃんにさん付けじゃなくて、鬼太郎って呼んでほしい。
5年前、たしかに僕は君を拒絶した。
でも僕は君の努力も優しさも温かさも大切に思えたんだ。間違いなく、君の力で。
もし、もう来なかったらどうしよう。
せいちゃんの世界には干渉できないから、せいちゃんの意思でここに来れるから、僕は行けない。
会いに行きたくとも会いに行けない。
半年だったらいいほうだ。1年ってなったらどうしよう。前までは修行があったからほぼ毎日あっていたのに、今じゃ、半年に1回から2回……
僕、せいちゃんが好きだよ。
せいちゃん、僕たちはもう許してるんだ。
「……ぃ……か……ないで……せぃ……」
せいちゃんが僕の大きい声が嫌なんだって知ってた。いつも、身体が震えていたから。
こんな時は大きい声の方がせいちゃんに届くと思うのに、出せない。
せいちゃんが振り向いた気がしたけど、僕は膝から崩れ落ちてて地面に拳を何度も叩きつけていたから分からなかった。
僕が5年前のあの日、気にしてないって言えれば、君と千代ちゃんは違うってわかっていたのに憎悪に飲み込まれてさえいなければ…………。
せいちゃんって呼んで、笑ってくれた?
せいちゃんって呼んで、手を繋いでくれた?
せいちゃんって呼んで
敬語じゃなくて普通に喋ってくれた?
せいちゃんの気配がなくなった。
僕はまた、君を呼ぶ練習をした。
「せいちゃん」
君が帰ったら呼べるのに、いる時に呼べない。
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