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らびゅ🫶💕〜!
73
#男主人公
Chapter 3-What Lies Behind Smile
朝の空は、昨日の雨を忘れたみたいに綺麗だった。
雲の隙間から差し込む光が、濡れた道路を淡く照らしている。
教室に入った瞬間。
「零!」
名前を呼ばれる。
「おはよ」
いつもの笑顔で返す。
「昨日のさ、あれ見た?」
「見た見た」
「やっぱ面白かったよな」
くだらない話。
意味のない会話。
でも俺はこの時間が好き。
誰かが笑っている。
誰かが楽しそうにしている。
それだけで安心できた。
だから、
いつも笑った。
いつも合わせた。
いつも誰かの隣にいた。
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「…」
その様子を、少し離れた席から依は見ていた。
「何見てんの」
クラスメイトに言われる。
「別に」
「何?零見てんの?」
「違う」
即答。
だが、視線は戻らない。
あいつは変だ。
そう思った。誰よりも 周りを見ている。
誰かが困っていたらすぐ気づく。
誰かが寂しそうなら声をかける。
なのに自分のことになると何も見えていないみたいだった。
——昼休み
零はまた誰かに誘われていた。
「今日一緒に帰ろうぜ」
「あ、ごめん」
「また?」
「そ〜ちょっとね〜」
笑う。
相手が気づいていなかったとしても俺は気づく。
その「ごめん」は断りたそうな顔をしていない。
むしろ、行きたいのに引いている顔だった。
「…」
意味がわからない。
誘われて嬉しくないやつなんているのか。
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夕焼けが校舎の窓を紅く染めていた。
帰る生徒たちの声が、少しずつ遠ざかっていく。
零は1人で教室に残っていた。
机の中を整理していた。
「まだ帰ってなかったのか」
声に振り返る。
依だった。
「依こそ」
「忘れ物」
「珍しい」
「お前ほどじゃない」
「何それ」
零は笑う。
その笑顔を見て依は少しだけ眉を寄せた。
「お前」
「ん?」
「疲れないのか」
「何が?」
「ずっと笑ってる」
零の手が止まり、顔が少し引きついた。
ほんの一瞬。
だが、依は見逃さなかった。
「…別に」
零はまた笑う。
「普通だよ」
その笑顔はさっきまでの笑顔と少し違った。
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部屋の明かりを消した。
カーテンの隙間から差し込む月明かりだけが、静かな部屋を薄く照らしている。
零はベッドの上でスマホを握っていた。
画面には、昔の写真。
楽しそうに笑う人たち。
——もう会えない人たち。
指が止まる。
胸の奥が、少しだけ苦しくなる。
「…」
思い出す。
あの日のこと。
もっと話せばよかった。
もっと近くにいればよかった。
もっと。
もっと…
何かできたはずだった。
でもできなかった。
もう二度とこんな気分を味わいたくない。
だから決めた。
もう誰かを特別にはしない。
大切になればなるほど。
失ったとき、立ち直れなくなるから。
みんなに優しくする。
でも誰の心にも深く入らない。
入らせない。
それなら傷つかない。
コメント
1件
うわあ、第3話……じわじわ来ますね。零の「みんなに優しく、でも誰にも深く入らせない」って姿勢の根っこが、あの「もう会えない人たち」の写真で一気に見えた気がしました。依くんが「疲れないのか」って訊くシーン、こっちまで息を止めてしまう。あの一瞬の引きつり、ほんと上手いなあ。零の笑顔の裏側が少しずつ見えてきて、続きがすごく気になります。