テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「やーいやーい! お前は痔だ! お前の母さん切・れ・痔!」
路地裏に悪意が渦巻いていた。
モテるという噂を聞きつけて伊達眼鏡にしている少年ジークは、お父さんがとっても偉い方である少年ジジャナイに虐められていた。
「やめて。僕は痔じゃない」
「お父さんはイ・ボ・痔! きっめー!」
必死に否定しても、彼はジークとその家族を侮蔑する。
ジークは何度も何度も眼鏡をクイッと持ち上げけん制するがまるで役に立っていない。
「ひどい! やめてって言ってるだろ!」
「痔になったのが悪いんだよ! ……ん? なんだよおじさん……」
いじめをエスカレートしていたジジャナイの肩を掴む赤いコートの男。彼はお世辞にもイケメンとは呼べないいかつい顔で言った。
「お兄さんのキレル様と言え。ケツの穴は真っ赤だが俺はまだ二十代だ」
キレルと名乗った彼のコートは他と少し違い、お尻の部分が何故か丸見えになっていた。もちろんズボンを履いているため桃が露わになることはないが、なんとも奇妙な設計だった。
「きめー! なんだこいつー!」
キレルのケツを見て大笑いするジジャナイとその仲間たち。実はジジャナイの他に二人いる。ガキ女Aとガキ男Bだ。ジジャナイはガキ女Aを自室に盗撮写真を飾るほどに愛しているが、実はガキ女Aはガキ男Bと付き合っている。
「お前ら……痔を舐めんじゃねぇよ。早く謝れ」
それはそうとキレルは怒っている。当たり前だ。自分のアイデンティティたる痔を馬鹿にされたのだから。
ジジャナイはキレルを睨みつけさらに挑発する。彼は相手との力量の差を理解できていないのだ。
「はぁ? 痔になる方が悪いんだろ! きっめー奴!」
「ジダオオオオオオオオンッ!」
「っ!?」
突然巨大な咆哮が轟き、全員が振り返った。
「痔・エンド・モンスターか!?」
キレルはガキがいるにもかかわらず彼らの後ろにバックステップする。
まずは他人を盾にするのが彼のモットー。まずは安全に様子をうかがうのだ。
「ひぃっ!? ほ、本当にいたのか!?」
ジジャナイは漏らした。近くの植物は水をあげなくて済みそうだ。
「い、いるわけねぇ! 人間を痔にする怪物なんて!」
「あたち怖い! ダーリン助けて!」
「おいダーリン言うなバレるだろ!」
ガキ男Bは脂汗塗れとなりガキ女Aは自らの秘密を暴露してしまう。後で修羅場だろう。
「ジダオオオオオン! ジダオオオオオン!」
何度も何度も奇声をあげる痔・エンド・モンスター。
見た目はブリッジした巨大な身体の男の臍から多数の触手が生えている怪物だ。触手の全てがまるでローションを塗られてるかのようにぬめりとし、身体のあちこちからは腐敗臭が溢れている。だが猛々しく強調されたプリッとセクシーなケツは、とてもみずみずしくて青春の様に甘酸っぱそうだ。
「ぎゃあッ!? た、助けてッ!」
ジークが捕まった。なまめかしい触覚で身体を締め上げられ、妖艶なうめき声をあげる。目を閉じていたらどこかのハプニングなバーにいる気分を味わえるだろう。優しくそれでいて大胆に彼は蝕まれていく。
「クソッ! まさか街の中に痔・エンド・モンスターが出てくるなんて! あれはティア3か……なら!」
キレルは苦虫を嚙み潰したように顔を引きつらせ、すぐに構えた。
両腕に淡い光が収束し渦を巻く。
「我痔を宿し者その幸を以て闇深き者への刃を翳せ!」
キレルは腕を薙ぎ払った。
瞬間、空気は共鳴し赤黒き刃を生み出す。
それはまるで痔我を持ってるかのように不規則な動きを見せ、モンスターに突撃していった。
「ジダオオオオオン!」
モンスターは痔ボンバーを連射する。これは当たればたちまち痔まみれになる危険な技だ。数多くの人間がこれで痔となり大粒の涙を流している。
だがキレルは華麗なステップでそれを躱し、攻撃が収まった隙に壁を駆け上がる。
「終わりだッ!」
キレルはモンスターの頭上へ飛ぶと指を鳴らし、複数の刃を周辺に多数召喚する。
「痔の刃よ彼の者の血を拭い浄化せし粛清の一時を!」
閃光。
刃は視認不可能な程に発光し、モンスターの視界を遮った。
「ジダオオオオン!?」
「終わりだッ!」
キレルはタクトを振るうように指を動かしその刃を操る。
それらはモンスターのありとあらゆる皮膚を抉り切り血液を吸収していく。
「ジダオオオオオン!」
モンスターは暴れるも、吸収速度は常識をはるかに凌駕していた。最早抵抗など意味を成さず、瞬く間に勢いを失ってその場に崩れ落ちる。
「痔・エンド……」
キレルは指を鳴らし全ての刃を蒸発させた。
拘束を解かれたジークを抱きかかえ、数階の高さをものともせず華麗に少年たちの元へ着地する。ジークはぬめぬめしていたものの、傷は一つもなかった。
「す、すげぇ……! あんた何者だよ!?」
感嘆の声を鳴らすガキ達の視線は最早英雄を見る目である。
「俺か? 俺はフリーのハンターだよ」
そう笑うとキレルは自分のお尻を押さえた。