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次の日俺は久々にぐっすり寝れた。まだ太陽が昇ったばかりだが目が覚めた。ベランダに行き朝の空気を感じる。ここの空は朝になっても薄い紫色の空だった。俺が住んでいた国とは違うのか…城を囲む塀の向こうには街が見える。どんなところなのかそのうち見に行きたいな。
「いろいろ…確かめてみるか…」
そんな事を考え服を着替える。パジャマはここに置いておくのか回収するのかわからないため枕元に置いておく。ベランダで外の景色を見たりしていたが暇なので部屋を出ることにした。もしかしたら…ミオに会えるかもしれない。そんな希望を持って部屋を出たが出会ったのは…
「…………………」
「お…おはようございます」
じーと…睨みつけてくる怖い冥土さんだった。
ショートの黒い髪に黒い手袋とどめにメイド服。
(タスケテ…ミオ)
沈黙が続いている。どうしよう…何も話さないし…
まさか、歩いてすぐにミオ以外の人に会うとは…
この城、昨日誰とも会わなかったから使用人が居ないのかと…
(ハッ!)
向こう側からしたら俺は不審者なのか…この城ミオ以外に誰も見当たらなかったが実は居て…無断で好き放題していたのか…どうしよう
「あの…ミオはどこにいますか」
一応聞いたが返事は返ってこない。
「起きていますか…」
これは…また…言葉が通じないパターンか…とりあえず…ミオを見つけて…ミオに事情を話してもらって…それでもだめだったらどうしよう…
(ん~~…よしっ…)
どうせならここで働かせてもらえないかな。
俺無職のホームレス状態だし。
あははは…壊れたな。そんな事を考えていたら…
じー
(…めっちゃ見てくる)
「…マダキショウサレテイマセン」
「えっ…」
「…??」
「いま…言葉が…」
通じた!!ミオが喋っていた言葉とは違いカタコトだけど通じていた。無表情でカタコトだからなんかロボット感がある!!
「あの!!言葉分かるんですか!!」
「…ワカリマス」
「うぉー!!」
よかった。通じる人がいてよかった。
「ソレデハ…」
「まっ…待ってください」
去ろうとしていたので止める。
「ナニカゴヨウデスカ」
「はい!!」
せっかく言葉が通じるのなら聞きたいことがある。ここがどこなのか…ミオの事とか…居てもいいのか…言葉の事とか…ここで働けるのか…
よしっ…
「ここはどこですか」
「ココハマオウジョウデス」
「えっ…」
沈黙が再び戻った。
「もう一度お願いします」
「ココハマオウジョウデス」
「まおうじょう」
「…まおうじょう」
今度はカタコトじゃない…
いやそれより!!
「まじか」
「マジカデス」
ピコン!!
【勇者の子孫は再び魔王城へと向かっていた。】
確かにこの城暗い雰囲気で…装飾品も暗い色が多いなとは思っていたけど…空も変な色だなと思っていたけど…まさかそうとは思わないじゃん。
勇者の子孫ってバレたら処刑案件だよ。だって自分達の王を殺した人の子孫がいます。と言われたら殺されるよ。恨まれているよ。逃げるべきか…
でも…人間の国から追い出された身…向こうでは生きていけない。向こうに行っても処刑案件。…ここでもいいかも
「ソレデハシツレイシマス」
「おっ俺も手伝います!!」
「…………………」
沈黙長くないですか…
「オスキニドウゾ」
「はい!!」
どうせならここで働かせてもらいたい。掃除、料理とか家事は得意だし…働きがよかったら居させてもらえるかも…冥土として…
「冥土よし!!」
働かしてもらえるならドンとこい!!
まぁ勇者の子孫ってことは絶対にバレないようにしなければ…
そういえば…ミオはここで何をしているのだろうか。働いているのだろうか…まぁ後で考えよう。
廊下を冥土さんの後ろから歩きついて行く。部屋からだいぶ歩いた。大広間を抜けていき進んでいった先には倉庫があった。そこには掃除道具が揃っていた。冥土さんは雑巾やバケツを持っていった。俺もバケツと雑巾を持って行く。近くの扉を開けた。そこは外へと通じていた。周りは木々が多くたぶん中庭みたいなところかなと思う。外では風が暖かった。
歩いていくと井戸がありそこで水を汲んでいた。
俺も水を汲むついで
バシャ…バシャ…
顔を洗う。さすがに朝顔を洗ってスッキリしないとなんか嫌だ…
本当は歯も磨きたいが…無いものは仕方がない。
服の裾で顔を拭き、バケツを運ぶ。
今度はどこへ行くのだろうと考えていたが…
冥土さんは大広間へと戻っていった。
そこで、階段や床を雑巾で拭いていた。冥土さんは掃除担当なのかな。さすがに仕事全てを担っているわけじゃないだろう…
俺は冥土さんと同じように雑巾掛けをする。床も灰色に近く床石が輝いている。階段も手すりも細かく綺麗だった。毎日掃除している証しだな。大広間を掃除した後、戻って掃除道具をもう一つとった。また、もう一度バケツの水を汲みに行き次は廊下を掃除した。雑巾掛けだけじゃなく、はたきを使い装飾品も掃除した。
冥土さんは黙々と掃除をしており、今現在までずっと会話をしていない。どこに行くのかも何をするのかも冥土さんの動きを真似している。
まぁ、ダメ出しをされないってことは上手くできているのかな…
廊下にある壺をはたきを使い掃除をしていたら、風が拭き倒れてきた。それはヤバい。
「おりゃ!!」
急いで壺を掴み取る。受け身の態勢を取りながらやったのでなんとか割れずに済んだ。
ギョッ!!
冥土さんが目をバッチリ開けてこっちを見ている。なんか…めっちゃ負のオーラを感じる。怒っているというか…呆れているというか…
急いで壺を戻し…
「すみません」
頭を下げて謝る。確かに、手伝うとか言いながら物を壊す原因になっていたのだから怒って当然だ。
返事もないのでチラッと頭を上げると本人は何も無かったように掃除を再開した。
もう…いいのかな。
「すみません」
もう一度謝っておく、それにしてもなんで窓が空いていたわけでも強くはたいた訳でもないのに倒れてきたんだ。
「はて?」
そんな事を考えていたら…
バンッ…
タッタッタ…タッタッタ…
扉を強く開け誰かが走ってきている音がした。その音はどんどんこちらへと近づいてきて姿が見えた頃には…
「ミオ!!」
ドン…
抱きついていた。不覚にも可愛いと思ってしまった。
「ベリタ!!」
その顔は少し怒っているようで…泣いているようだった。もしかして…勝手に掃除したこと起こっているのか。
とりあえずムッとしてるのは感じ取れる。
「・・・・・・・・・…・・・・」
後ろから冥土さんがなんか言った。さっきとは違い言葉が違う。
「・・・・」
ミオもなんか言っている。俺に抱きついたまま…
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・」
なんか言い合っている。なんて言っているのか全然わからない。ミオが冥土さんを怒っているような…
「あのう…二人とも何を…」
ぐぅ~
お腹がなった。その音を一番近く聞いていた。ミオが笑った。
クスクスクス
はずかしい…
「ごめん///」
照れていたら…
「…………………」
冥土さんは驚いたように見ていた。嬉しそうな安心したような顔をしていた。
「ベリタ!!」
俺の名を呼びどこかへと連れていく。
「あっ!!冥土さんは…」
俺は止まり冥土さんはどうするのかと聞いた。
冥土さんが掃除するなら手伝いたいし…
そんな風に悩んでいた俺を感じとったのか…
「・・・・・・」
「・・」
ミオは冥土さんに何か伝えた。冥土さんは掃除道具を置き一緒に向かうことになった。
もしかして、一緒に朝ご飯を食べたりして…
そうだったらいいな。 そんなことを考えながら魔王城を歩く三人でした。