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前回とそこまで関係ないです




フライギ

地雷の方はここでさようなら







「イギリス、今日も美しいね。僕の目には君しか映らないよ」


「……フランス、またそんなことを」


私――イギリスは、目の前の男を睨んだ。フランスは相変わらずの調子で、優雅な微笑みを浮かべながら私の手を取る。


「いや、本当のことさ。君はいつもツンツンしているけど、その態度すら愛おしい」


「……私が誰にでも愛想を振りまくような人間なら、興味を持たなかったでしょう?」


フランスの手を振り払うと、彼は楽しそうに笑った。まるで、それすらも計算のうちだったかのように。


「もちろん!でもね、僕は君にしかこんなこと言わないよ。だって、僕の愛はすべて君のものだから」


「……そういう大袈裟なところが胡散臭いのですよ、あなたは」


私は紅茶のカップを持ち上げながら、小さくため息をついた。フランスはいつもこうだ。口が上手く、甘い言葉を平気で囁く。


「ひどいなあ、僕はいつだって本気なのに」


フランスは私の向かいに座ると、じっとこちらを見つめてきた。まるで、私が何か答えるまで待つかのように。


「……そんなに見つめても、何も出ませんよ」


「君の愛が欲しいな」


「……」


私は思わず言葉に詰まった。フランスのことは嫌いではない。むしろ、好きだ。だが、こうも堂々とした態度を取られると、どう返せばいいのか分からなくなる。


「イギリス?」


フランスが身を乗り出し、私の手にそっと触れる。


「君は、僕のこと、どう思ってる?」


「……そのようなこと、聞かなくても分かるでしょう」


「分かってるけど、君の口から聞きたいんだ」


私はフランスを見つめた。真剣な瞳。普段は軽口ばかり叩くくせに、こういう時だけ妙に真剣になる。


「……好きですよ」


たったそれだけを言うのに、どうしてこんなに勇気がいるのか。


フランスは一瞬驚いた顔をした後、嬉しそうに微笑んだ。


「……そう、嬉しいな」


そのまま、私の手を取り、指先にそっと口づける。


「フランス、やめなさい」


「君が可愛すぎるのが悪いんだよ、イギリス」


「……本当に、あなたという人は……」


私は視線をそらしながら、カップをそっとテーブルに置いた。紅茶よりも、フランスの唇が触れた指先の方が、ずっと熱く感じた。

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