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まなみが目を覚ますと、ふわっと柔らかい布団の感触と、ほんのり懐かしい匂いが鼻をくすぐった。
ここは、そらとの部屋だ。
昨夜のことを思い出した瞬間、顔が一気に熱くなる。
(やばい…!酔ってそらとの家来て…それで……)
枕に顔を埋めて悶えていると、
「……起きたん?」
低い声がして顔を上げると、ドアの前でそらとが腕を組んで立っていた。
「そ、そらと……お、おはよ…」
声が上ずるのをごまかすように笑うまなみに、そらとは少し眉をひそめる。
「おはよやないっちゃ。…あんま飲むなって言ったやろ」
「だってぇ、そらとがおる思たら、安心して…つい飲みすぎたんよ」
唇を尖らせて言うと、そらとは一瞬だけ目をそらし、咳払いした。
「……お前、そんなん言うけん…昨日、ほんと危なかったっちゃぞ」
「え、なにが?」
わざと首をかしげて見上げると、そらとの耳が赤くなる。
「……あんま甘えんなって言いよろうが。俺、もう少しで…我慢できんとこやった」
その低い声に、まなみの胸がどくんと跳ねた。
しばらく見つめ合ってから、まなみは布団をぎゅっと握りしめる。
「……じゃあ、そらと、我慢せんかったら…どうなっとったん?」
「っ……!お前なぁっ」
そらとは乱暴に頭をかきむしりながら近づき、布団に手をついてまなみを見下ろした。
「そげんこと、簡単に聞くなや。…まだ付き合っとらんやろ」
「じゃあ…付き合ったら、我慢せんの?」
挑発するように微笑むまなみに、そらとはしばらく黙り込んでいたけど、
やがて、少し照れたように目をそらしてぼそっと呟いた。
「……当たり前やろ。付き合ったら…離さんけん」
その言葉に、まなみは顔を真っ赤にして小さく笑う。
「じゃあ、早よ言うてや…ずっと、待っとるんよ」
ふわりと笑うその声に、そらとの肩がぴくりと震えた。
そして、ため息混じりに小さくつぶやく。
「……やっぱ、お前には勝てんっちゃね」