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幼なじみとの両片思い

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幼なじみとの両片思い

3 - 前と変わらないはずなのに【1】

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2025年08月22日

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前と変わらないはずなのに

「なぁ、そっちの問題解けた?」

机に向かいながら、そらとが低い声でぼそっと聞く。

「んー…あとちょっとやけん、待ってね」

まなみはシャーペンをカリカリ走らせながら、可愛らしく舌をちょこんと出した。

その横顔を、そらとは無意識にじっと見つめてしまう。

大学生になっても、こうやって一緒に勉強してるのが不思議で、くすぐったくて、だけど嬉しかった。

「……そんな真剣な顔、昔はせんやったのにな」

「え?なんか言うた?」

「なんも。集中せえ」

そらとはわざとぶっきらぼうに返す。

深夜0時を回った頃。

まなみは机に突っ伏して、もう半分夢の中だった。

「おい、寝たら風邪ひくっちゃろ。ベッド行けって」

そらとが肩を揺するけど、まなみは小さく首を振って、寝ぼけ声でつぶやく。

「やだぁ…そらとおるけん、ここがいいんよ…」

そらとの心臓が跳ねた。

顔をしかめて「お前なぁ…」と小声で唸るけど、眠そうに眉を寄せるまなみを見たら、無理に起こすこともできなかった。

「……しゃーなかね」

そっと自分の膝をぽんぽんと叩くと、まなみは素直にごろりと頭を乗せてきた。

膝の上で眠るまなみの髪を、そらとは指先で軽くすくってみる。

細い髪が指にからむ感触に、胸がざわついた。

「……小学生のときと変わらんのになぁ。

けど…今はもう、こんなに近いと、正直きついっちゃ」

ぼそっと呟いた瞬間。

「……すき」

膝の上から、かすかな声がした。

そらとは一瞬、呼吸が止まる。

「……お、おい、まなみ?今、なんて言った?」

「ん……すきって言うたぁ……」

夢の中の声は、甘すぎて反則だった。

そらとは頭を抱えたくなるほど動揺して、必死で理性をつなぎとめる。

「……寝言やろ。寝言に決まっとる」

そう言い聞かせるように、そらとはため息を落とす。

でも、膝の上のまなみの寝顔を見てると、もう一度手を伸ばしたくなる。

そっと頬にかかる髪を払うと、まなみが小さく身じろぎした。

「……そらと、ずっと一緒おろね」

「……っ、反則やって、それ…」

その夜、そらとは結局一睡もできなかった。

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