鎖骨の印
※水黄
※下手くそ
👑「ねぇ、こさめちゃん見て!」
久々にお邪魔している、みこちゃんの家。
二人きりで過ごすことは今までもあまりなかったから、
前から話していた、おすすめの映画でも見ようかなと思っていたのに。
聞いて欲しいと急に言われて、
何かと思えば、すっちーとの仲の良さを自慢したいのか、
さっきからずっと、LINEのトーク画面をこさめに見せて、楽しそうに会話の内容を教えてくれる。
👑「すちくん、やっぱり絵上手いなぁ」
👑「ほら、これ、すちくんがこの前描いたって!」
画面に写っているのは、クッションの上で丸まって眠っている猫の絵。
🦈「ほんとだ…、上手やなぁ」
それでも、すっちーのことは絶対に恨めない。
大事なメンバーでもあるし、大切な友達でもあるんだから。
👑「あ、そういえば、」
👑「俺今度、すちくんに、絵の描き方教わるんよ!」
🦈「えぇー?」
🦈「みこちゃんには絵上手に描くのは無理やない?」
👑「なんでっ!」
👑「ちゃんと約束したんやから!」
👑「ほらっ!」
そう言って、また画面をこちらに向ける。
🦈「…あ、」
画面の上の方に写る、過去のメッセージのやり取りが目に入る。
最近ハマってる飲み物とか。
今度一緒にどこか遊びに行こうとか。
そんなの、わざわざ個人LINEで言わなくても、グループのディスコで話せばいいのに。
🦈「ほんまやね…」
表では、すちみことか、聖人組とか言われて、チヤホヤされてるのに、
裏でも、こんな些細なことでお互いに連絡取り合ってるとか、
まじでどんだけ仲良いんだよ。
こさめには滅多に個人LINEくれないくせに、
すっちーとはこうやってやり取りしてるんだ…。
…あー、ダサい。
こんなんで嫉妬とか。
でも、妬くもんは妬くからな。
こればっかりは、みこちゃんのせい。
大きめの窓から差し込む光に照らされている、彼の黄金色の髪に触れる。
見た目から伝わる通り、犬みたいにふわふわしてる。
👑「…こさめちゃん?」
スマホの画面を見つめて、楽しそうに微笑んでいたみこちゃんが、首をコテンとして、不思議そうにこさめを見つめてくる。
それは無意識でやってるのかな。
だとしたらなかなかのキラーだよ。
🦈「…みこちゃん、」
🦈「こさめを見てて?」
そう言って、彼の顔に近付いた。
さっきまでの雰囲気と打って変わって、部屋が一瞬の静寂に包まれた。
こさめちゃんの顔が近付いてくる。
何をされるのか、分からなくて、少し怖くて、思わず目を瞑った。
👑「…っ、」
頬に何かが触れた。
👑「へ…?」
何が起きた?
気が付けば、目の前には頬がほんのり赤く染まったこさめちゃんの顔。
と、思ったら、いきなり俺の肩に顔を埋めた。
🦈「…あ〜、」
彼の少し低めの声が、すぐそこで聞こえる。
👑「え、?」
👑「何…?」
問いかけても反応がない。
ただひたすらに、俺の肩に頭をぐりぐりと押し付けてくる。
👑「…?」
さすがに心配になってきた。
👑「…あの、こさめちゃん、、」
👑「…っ、いっ”…、//?」
鎖骨ら辺に、痛みが走った。
と共に、聞こえてくるリップ音。
👑「…っ、え、何…っ//」
今まで感じたことの無い、痛み。
痛い、はずなのに、どこか心地が良いような気もする。
👑「…ふっ、// …ぅあっ♡//」
痛みの次に感じたのは、唇が触れる擽ったい感覚。
その原因はこさめちゃんだと気付くのには、しばらく時間がかかった。
👑「…っ// こさめちゃっ…//♡」
🦈「…ん〜?」
👑「…んぅっ、♡// はなしっ…/」
俺の声は耳に入っていないかのように、こさめちゃんは鎖骨から唇を離そうとしない。
彼の肩に両手を置き、無理やり離そうとしても、手に上手く力が入らなかった。
👑「…っ、んん// …ふっ//」
聞きたくないのに聞こえてくる、気持ち悪いほどに甘い自分の声。
耳元で聞こえる、不規則な息遣いと卑猥な水音。
気が付いたら、俺の手はこさめちゃんの手に絡まれて、しっかりと握られていた。
今、俺はどんな顔をしてるんだろう。
…もう何も考えられない。
頭がふわふわする。
全身の力が抜けたような感覚。
彼の少し荒らげた息を素肌で感じて、余計に意識が変になる。
彼に吸われる度、体が信じられないほどに大きく震える。
👑「…んっ、//
…っ、も、/や…、だ//(涙目」
最後の力を振り絞って、抗議の声をあげると、ようやくこさめちゃんは俺から顔を離した。
🦈「…ん、」
👑「…ふっ、/ はぁ…っ//」
先程まで触れられていたところを手で抑える。
傷はできていないようだった。
まだ落ち着かない息を整えながら、こさめちゃんを睨みつける。
👑「…何してんの!//」
🦈「ごめんごめん 笑」
悪びれる様子もなく、笑いながら謝罪の言葉を並べるこさめちゃん。
👑「も〜//…」
跡になってないかを確認しようと、シャツの襟を引っ張る。
🦈「…ねぇ、待って、」
でも、すぐにこさめちゃんに、その手を掴まれた。
そのまま、もう片方の手で、俺の頬を優しく撫でる。
それが少し擽ったくて、
異様に胸がドキドキして、
こさめちゃんにじっと見つめられて、
真っ直ぐで透き通っている目が、俺を離してくれなくて、
顔が火照っているのが、自分でも分かってしまって、
咄嗟に顔を背けてしまった。
🦈「…こさめ、みこちゃんのこと好きなんだけど」
横から聞こえてきたのは、信じ難い内容を淡々と綴っている、こさめちゃんの声。
👑「…ぇ、」
衝撃のあまり、変な声が出た。
好き?
好きって、どんな…。
大事なメンバーとして?
それとも…。
🦈「…ねぇみこちゃん」
🦈「もっかい、さっきのやっていい?」
さっきのというのは、あの変な感覚になるやつだろうか。
👑「なっ”…//」
👑「いい訳ないやろ!//」
またもや俺の頬に手を当てて、顔をずいっと近付けてくる。
🦈「…でも、こさめはみこちゃんにこういうことしたいんやけどなぁ」
👑「…っ///」
添えられた手が、少しずつ下へとズレていく。
頬
唇
顎
首筋、
そして、さっきの鎖骨。
🦈「…ここ、赤い跡ついてるよ?」
俺の反応を楽しむように、刻まれた赤い印を優しく撫でながら、そんなことを言ってくる。
👑「……っ、ぁ、、///」
🦈「…みこちゃんは?」
🦈「こさめのこと好き?」
また、あの目で見つめられて、
もう、否定するための理由なんて、俺にはなくて、
👑「……好き/」
反射的にそう言ってしまった。
でも、不思議と違和感や後悔はない。
🦈「…やった」
鎖骨から手を離して、こさめちゃんは俺の頭を撫でる。
🦈「みこちゃん、こさめと付き合ってくれる?」
👑「…うん//」
付き合うという響きが、自分には無縁だと思っていたから、少し気恥しい。
1人でまた顔を熱くしていると、左手をこさめちゃんに取られた。
そのままキスを落とされる。
🦈「…これからもよろしくね?」
🦈「今後は、こさめの恋人として、ね?」
こんなにも顔を赤らめているみこちゃんの姿は、さすがのすっちーも知らないはず。
別に戦っているわけじゃないけど、どことなく、勝負に勝ったような気がして、口元が緩んだ。
恋人に思いっきり抱きついては、耳まで赤くなっている彼を見ながら、
暫くは優越感に浸っていた。
後日
🦈「…あ、」
🦈「ねぇ、すっちー」
🍵「ん〜?」
深夜の作業中。
ディスコで繋がれたこさめちゃんから、話をされた。
🦈「こさめ、みこちゃんと付き合ってる」
🍵「…え?」
はい?
頭で理解するには、不十分の情報量だった。
え、いつから?
なんで?
ほんとに?
疑問が頭から浮かんでは消え、浮かんでは消え……。
🍵「…おめでとう、?」
ようやく口から出たのは、簡単な祝福の言葉。
🦈「ありがとう 笑」
こさめちゃんの、照れくさそうな笑い声が聞こえてきた。
…これは、聞いていいやつなのだろうか。
悩みながらも、やっぱり知っておきたいと思って、こさめちゃんに質問する。
🍵「…あのさ、答えたくないならいいんだけど」
🍵「いつから?」
🦈「ん〜、」
俺の質問に、こさめちゃんはしばらく唸り、言葉を続ける。
🦈「1年くらい前?かな」
🍵「へぇ 笑」
恋バナとか、あんまり経験したことないけど、
他人のこういう話を聞くのは、意外と楽しいかも。
🍵「どこら辺にときめいたの?」
🦈「可愛いところ」
🍵「在り来り過ぎだよ 笑」
🦈「事実やから!」
付き合ったと聞いた時は、一瞬でも活動のこととかが頭に過ったけれど、
この様子なら大丈夫そうだ。
🍵「まぁ、お幸せにね」
🦈「ん、ありがと〜」
今度、みこちゃんにも聞いてみようかな。
そう思いながら、作業に戻った。