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「 お嬢様。そろそろ馬車が準備できるところです。 」
「 えぇ、わかったわ。 」
全然わかんないけど!?何、馬車って、今日何処に行くの!?えぇ、どういうこと!?
「 今日はお嬢様が聖女に目覚められたということでパーティーが開催されるんですからね。気を抜かないようにしてくださいよ。 」
「 わかっているわよ、ちゃんと。 」
いや、全然わかんない!何、私が聖女?だからこんなに部屋も高級そうなわけ!?いやいやいやありえない!だって私は…。
「 ぃ゛っ! 」
あれ…?だって私はなんだっけ?
孤独で、誰にも頼ることが出来なかった。愛って言葉が嫌いだった。
何これ…、転生前の記憶?確か私は、ずっと一人で。頼っても頼っても助けてくれる人なんていなかった。ああ、いじめられてんだった。私。
思い出したくないこと思い出しちゃったな。自分がいじめられているなんて信じたくなかったのになぁ。
でも、思い出した!なんで私がこんな綺麗な女の子のことを見たことがあるのか。どうして私が転生したのか。
まず、この女の子は。私が転生する前にクラスの間で流行っていたゲーム「夢を見る星の少女」に登場するヒロインだ。名前は確か、ケイリア・キャスリン。なんかちょーっと名前がズレてるんだよなぁ。
私はゲームなんて買ってもらったことがないから、プレイしたことはないけど。でもクラスの子達が話していたからなんとなくはわかる。
まず、この後のパーティーで私は四人の攻略対象に出会う。その攻略対象の中から一人選んでその人を本気で落としにかからなければいけない。
でも、問題はそこじゃない。その後のことだ。選ばれなかった攻略対象達が怒って私と選ばれた人を襲いにくる。「なんで選んでくれなかったんだー」的なやつ。
このゲームは恋愛はもちろん。少し過激な表現もある。色んな意味で過激な表現。それを私は全て回避して平穏に暮らしたい。
でも私が聖女だとバレてしまった今は平穏なんて程遠い。だから聖女の仕事をこなしながら、攻略対象に会わないようにする。攻略対象って言ってもただ顔がいいだけで、身分は其処迄高くなかったはずだから、部屋からあまり出なければ会うこともないでしょう。
後、一番気をつけなければならない人物。レオン様。あの人に目をつけられたら終わりだろう。なんというか、愛が…。愛が重いらしい。
だから私は合わせて五人を避け続けなければいけない。そして、この物語に登場するもう一人の女の子。悪役令嬢と言われているけど実は中身はとても優しくて可愛い。ジェシカ・ステファン様を嵌める。いやいや、そんな言い方したら私が最低みたいになっちゃう…!
そう、ジェシカ様は確か…。ヴォルク様が好きなんだよな。そこをくっつければ避け続けなければならない人が四人に減る。それは私としてはとてもありがたい。
「 …じょ、お…様、お嬢様!! 」
「 は、はひ!! 」
「 先ほどから呼んでいるのに。体調でも悪いんですか? 」
「 いえ、そういうわけではないけれど。 」
「 それならいいんですけど、馬車の準備ができましたよ。 」
「 わかったわ、行きましょう。 」
はぁ…。整ってしまったのね、私の破滅への道が。ここからは大変なことになるだろう。それを乗り越えられなければきっと私は…。
そんなことを今考えても意味がない!!元気出して行くぞー!!
終