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ロマどーーーん
(朝・万事屋の前)
春の風が、江戸の空気を軽く撫でていた。
昨日までの雨が嘘のように、空は澄み渡っている。
(彩音が玄関に立ち、包帯の巻かれた拳を見つめる)
彩音「……よし、今日はちゃんと外出れるな。」
(背後から)
銀時「おーい、どこ行く気だよ病み上がりさん。」
彩音「……あ、銀時。ちょっと、外の空気吸おうと思って。」
銀時「ふーん。ま、倒れんなよ。俺も行くわ。」
彩音「……アンタ、行くって……仕事は?」
銀時「今日は定休日だよ。万事屋、たまには休業。」
(頭をかきながら笑う)
銀時「俺が一緒に見張ってねぇと、お前また倒れるだろ。」
彩音「……そんな子ども扱いすんなよ。」
銀時「いやもう、子どもどころか、手のかかるガキ大将だな。」
彩音「誰がガキ大将だコラ。」
(ふたり、並んで歩き出す)
(商店街の通り)
店先の団子屋、猫を追いかける子どもたち、のんびりした江戸の午後。
彩音は静かに笑う。
彩音「……こんなに穏やかなの、久しぶり。」
銀時「戦ってねぇときは、世界ってけっこう静かなんだよ。」
(銀時、ポケットに手を入れて歩きながら)
銀時「こういう時ぐらい、のんびりしていいんだ。」
彩音「……銀時、たまにはいいこと言うね。」
銀時「“たまには”って何だ、“たまには”って。」
(彩音、クスッと笑う)
銀時「笑ったな。」
彩音「笑ったよ。」
(屋台の団子を見て)
銀時「なぁ、甘いもん食うか?」
彩音「ん……あんみつ。」
銀時「お、即答かよ。女子か。」
彩音「女子だよ、一応。」
銀時「“一応”って言うな。お前が言うと説得力ねぇんだよ。」
(屋台の店主が笑いながら二人にあんみつを渡す)
店主「仲いいねぇ、あんたら。」
彩音「ッ!?ち、ちが……ッ!」
銀時「はいはい、違いませんよ〜っと。」
彩音「ちょ、銀時‼︎」
銀時「照れんなよ。顔真っ赤じゃねぇか。」
彩音「う、うるさい……ッ!」
(銀時が笑いながら歩き出す)
銀時「……でもさ。」
彩音「?」
銀時「お前が笑ってんの、久しぶりに見た気がすんだ。」
(彩音の足が一瞬止まる)
銀時「……なんだよ。」
彩音「……アンタのせいだよ。」
銀時「へ?」
彩音「アンタが……側にいるから。」
(沈黙。春風が二人の間を通り抜ける)
銀時「……あーあ。」
彩音「な、なによ。」
銀時「お前、たまにズルいこと言うよな。」
彩音「ズルいって……」
銀時「そんな顔されたら……惚れ直すだろ。」
(彩音、顔真っ赤)
彩音「ッ……バカ。」
銀時「はいはい。病み上がりなんだから怒るな、顔に熱も出るぞ?」
彩音「うるさいッ‼︎」
(ふたり並んで歩く。沈みかける太陽の中、少しの距離を置いて)
(けれど、気づけば手が近づく)
銀時「……なぁ。」
彩音「ん?」
銀時「手、貸せ。」
彩音「……別に、転ばないけど。」
銀時「いいから。」
(銀時がゆっくりと彩音の手を取る。指先が触れ合う瞬間、鼓動が重なる)
銀時「ほら、こうしときゃ安心だろ。」
彩音「……そーだな。」
(小さく握り返す)
彩音「……あんたの手、あったかいね。」
銀時「お前のが冷てぇんだよ。ったく、病み上がりはこれだから。」
(沈む夕日。影がひとつに重なる)
ちゃんと他のも投稿するんで許して