episode2 所夜千夜
世界の裏側にあるとされる異世界
世界中のありとあらゆる情報はこの世界に全てまとめられ、守られている。
世界が、地球が誕生した時からずっと不変として裏から人々を守って来た世界。
それが、「オブ・サーバー」という国だ。
外からの侵入はどんな強力な兵器を使っても不可能。
入り込んだとしても特別な者たちによって情報は完璧に守られる。
まさに、世界一安全な国である。
そんな国で情報を守るために働いているのが
「所夜千夜」。国の重要情報管理人の1人だ。
彼女は生まれながらの大妖怪で、謎が多い。
そのため、周囲からはよく「怪しい」と言われる。
一面にある機会の数々。
それら全てに細かい情報も記されている。
大妖怪の一日はとても忙しい。
休める時間は少ないので、ゆっくり休める朝はとても大事だ。
今日も頑張るかと一息、近くの自販機で缶コーヒーを買う。
味では選んでいなく、カフェインを摂るためだ。
一気に飲み干し、手からバインダーを出す。
愛用している万年筆を利き手に持ち、今日もまた情報を守るために歩き出す。
情報は外に漏れていないか、時間とちゃんと見合っているか、ウイルスなどにやられていないか。
それを細かく記録し、オブサーバー本部に連絡をする。
正直、毎日同じ情報を見てもつまらないのだが、給金がそれなりに高いので仕方なく働いている。
それらの仕事は大体午前中には終わる。
だが、ここからは重労働だ。
サーバー側から地球へと行き、各国で起こった事を全て書ききらなければならない。
移動手段はあるのだが、やはり相当体力を使ってしまう。
一日中走ったりするので、慣れないといつ死んでもおかしくないのだ。
家へ帰ったら簡素にシャワーや着替えを済ませて倒れ込むように寝る。
これの繰り返しだ。
だが、自分は幸い大妖怪だ。
一日寝てしまえばこれくらいの疲れはすぐに取れるし、怪我だって治る。
この種族を恨んだりしたが、結果的には良かったと思う。
翌日もまた缶コーヒーを買い、仕事を開始する。
ようやく、午前の仕事が終わろうとしていた。
午前最後の仕事だった。
だが、その光景を見て私は絶句した。
情報が保管されている、「情報保管庫」の中の情報が丸ごと無くなっているのだ。
中身はこの国で起こった犯罪テロリスト。
これがもしオブサーバー内で広がろうものなら、普通の民間人がパニックになるのは間違いない。
もちろん、その情報を守れなかった私には処分が下る。
いつ情報が無くなった事を聞きつけたのか、私の少し後ろには警察がいる。
本部め、あっさりと私を裏切ったな
私はどうすれば良いのか分からず、本能のまま逃げてしまった。
だって、身に覚えがないんですもの。
追ってきている警官は普通の人間。私の方がずっと速い。
ねぇ、やったのは私なんですか?
もし神様が本当にいるのなら、教えてください
あれからどのくらい時間が経ったのだろう。
もう体力が切れてきた。何時間も逃げ続けたからだ。
こうなったら、最後の手段を使いましょう。
私は自分の能力を使った。逃げるためだ。
能力で、自分の仕事で一時期住んでいた日本に来た。
何とか隠れ込むことに成功し、住んでいた家で休息を摂ることができた。
本部からは数年後、情報を盗んだウイルスが見つかったから戻ってきて欲しい、なんて言われたが
よっぽどの事がない場合、私はもうそちらへは戻らないと告げ、私は日本で暮らすことにした。
今は、とても平和に過ごしている。
自分の力を生かし、最近では人助けをするようになった。
とても楽しく暮らせている。
「千夜姉ちゃん!ありがとう!」
「いいえ、もう迷子になったらダメですよ?お母様にしっかり着いていて下さいね♩」
「うん!じゃあね!バイバイ!」
「はい!さようなら〜!」
日本にいる方が、やっぱり気分がいい。逃げて正解だった。
これからは、人のために生きよう。私はそう決心した。
でも
この事は1000年以上前の出来事なんですけどね。
「どうですか?驚きましたか?♩」
コメント
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うわぁ✨色んな意味でドキドキな作品でした✨