注意事項
・一話参照
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「な、なんでお前ここに、!!」
椅子から飛び出てきた見覚えのある虎は前の座席に頭をぶつけて気を失った。
pーくんがへふへふとciの背中に鼻を押し付けている。
「あ、shpくんの知り合いなん??その子車にぶつかりそうやったからさー。」
「…あのッ、!shoさんの家に行く前に、寄りたい所があるんすけど。」
力の抜けたciを抱き抱えて、メモを渡す。
utが不思議そうにこちらを覗いていた。
「その子、shpくんの調査してる…。」
「…はい、例の逃がしてやった奴っす。」
「確かにまだ子供やなあ。」
shpはciが子供ながら拷問などされてしまうのは可哀想だと考え、逃がしてやったのだ。
それがバレかけていて、shpは今上の人らから処罰対象として目をつけられていた。
そのため、utと共に逃げ出している途中である。
「きゅうう…。」
ciが小さく唸り、shpの膝の上で丸くなる。
shpはジャージをciにかけて、ジャージ越しに撫でてやった。
「…この子、なんで人間の言葉喋れるん。その脱税しとる奴がなんか酷いことやったんけ?」
「いや、ciが言うに酷いことはされてないですね。」
ciは動物実験の対象で、失敗したのか成功したのかで売買されることになった。
そこをknに買われたのだと。
knは他にも奴隷や実験対象の虎を保護しているらしい。
実験対象の虎は、買う人によっては酷い扱いを受けることもある。
knに買われたのは不幸中の幸いだ。
「ふうん。俺たち、こんなことしてるよりもその危ない連中しばいた方がええんちゃうか。」
「その通りですよ。」
ciは小さく、ごすずんと呟いた。
慣れてない人間の言葉は、shpの耳に届いて消えた。
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「…くそ、っ、くそッ。」
「ご、ごすずん…、」
knは自身の部屋で机を漁っていた。
書類がバサバサと舞うが、目当ての書類はそれでも見つからないらしい。
zmが耳をぺたんとしながら、書類を拾う。
「税務調査官の本部、どこなんやッ…!!!」
「ごすずん、」
「…ぁ、zm。ありがとぉな。すまん、散らかしてて。」
zmが拾った書類を受け取り、机に置くとzmを片手でわしゃわしゃと撫でる。
zmの瞳に溜まった涙が崩壊してしまい、頬を伝って床へと落ちる。
「…俺が助けるためにアイツを買ったのに、俺のせいであいつが苦しい思いしてたらなんの助けにもなってないやん…ッ、くそ、落ち着け俺、」
両手で頬を叩き、knはまた書類を探し始めた。
「…ごすずん、みんなで、さがしにいく、」
「それはだめや、すまんな。お前らは優しいなぁ。でも、お前らまで捕まっちゃ意味ないやろ?」
丸まってしまったzmを抱き上げて、部屋を出る。
部屋を出た廊下に、emとrbが座っていて、2人とも目は涙の膜が張っていた。
「俺はご主人様やぞ。絶対助けてみせるわ。」
そう笑いかけた、落ち着かせるように。
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「ここで合ってる??めちゃ豪邸やん。」
shoが車を止めて、窓の外を確認しながら目を大きく開く。
ciは少し前に目を覚ましたのだが、飯を食べてないせいで元気がない。
shpの膝に座ったまま、pーくんに心配そうに見られている。
「ここっすね。ci、行こか。」
そう言うが、ciは一点を見つめたまま動かない。
不思議に思って額を触れば、そこは熱くなっていた。
風邪をひいている。
「急いで連れてきます。」
「shpくん気をつけてな。他にも虎おるんやろ。」
「…まあそんときは頼みますわ。」
車の扉を開けて、ciを担いで門へと近づく。
門には虎が1匹寝ていた。
shpはしゃがんで、つんと虎の頬を触ってみる。
「…ん"、くぅん、」
「あのー、?」
虎は身体を伸ばして起きる様子はない。
目の下にはクマがあった。
ciの帰りでも待っているのだろうか。
「おーい。knーーー。」
shpは仕方なく城へ声をかける。
腕の中のciは次第に体調不良が悪化している。
早く誰かに預けなければ。
自分ではどうにもできない。
shpがもう一度声をかけようとすると、城の窓を突き破って2匹の虎がやってきた。
shpを見るなり威嚇をして猛スピードでやってくる。
それでも、shpは落ち着いてciを差し出した。
「この子、返します。この子はここが大好きやから。」
豚とのキメラと言われていたこの虎、彼もknのせいではないのだろう。
人間の言葉を喋れるようになったのはknが関係しているのだろうか?
まあいい。彼らが幸せならそれでいい。
tnは、ciを受け取ると安心したように膝から座り込んだ。
寝ていた虎、rbも目を覚ましたようでciの顔を確認している。
「…今回は見逃してやるにゃ。」
「はい。明日からはまた正々堂々やりますからね。」
「かかってこいや。ciを狙うんは無しやぞ。」
「体調不良を狙うほど性格悪くないんでね。まあ、アンタらの主人が税金を…。」
そう言っていると、城からknが走ってきた。
後ろには虎もついている。
そういえば、こうknと対面するのは初めてなのかもしれない。
「ciぉ!!!!!!」
knはshpのことは気にせずciを抱っこする。
それから、後ろにいた虎、emとそれからrbに指示を出した。
「お前ら!!タオルと氷枕、水分とかお粥とか用意せい!!!!!」
「「はい!!」」
2人は城の中へと駆けていく。
「…いやぁ、マルサさんも優しいんやな。」
「動物には、ですからね。まだアンタを見逃すとは言ってない。」
「まあまあ、そうカッとならんと!ほら、お茶でもどうや?」
お礼に、とknは珍しくニコニコの笑顔で手招きをする。
shpはutとshoに感謝を伝えて、2人に手を振った。
2人が見えなくなって、ようやく門をくぐる。
「ふんふんッ、?ふん、ふんふんッ」
周りをzmが不思議に駆け回って匂いを嗅いでいる。
こいつに噛まれた場所は痛いんだぞ、と思いながらも今はプライベートとしてやって来ている。
shpのzmの頭を指先で撫でてみた。
すると、嬉しそうに飛び跳ねて走っていった。
「はッはッは、zmが大歓迎なんて珍しいのう。」
「ご主人、ciはどこに寝かせます?」
「俺が抱っこしてたいんや。ciが嫌がったらベットに連れてく。」
「分かりました!」
tnは入口に見えるrbとemに元へ駆けて行った。
「賑やかっすね。」
「当たり前よな。」
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「はふッ、んむ、ふ、!」
肉にがっつくciをshpは面白そうに見つめていた。
目を覚ましたciは熱さまシートを額に貼り付けて食事をとっていた。
隣にはtnが座っていて、一口食べるごとにtnの方を向いて、ちゃんと居るのかを確認しているようだ。
目が会う度にtnは嬉しそうに笑っている。
これが、ここでの日常なのだろう。
ciにとって、幸せな。大切な。
それを壊してしまったのか、とshpはさらに悲しく思う。
「ご主人が脱税するからいけないにゃぁ。」
感じ取ったのか、なぜかknの仲間であるはずのzmが頷きながら言う。
knが脱税って言うなァ!と怒ると笑いながら謝っていた。
「…そうっすよね。knが悪い。」
開き直れば、knも何も言えずに口を開いたまま固まった。
そんなknの足元にciが駆け寄る。
「ごすずんったべた!たべたよ!!」
「おー!!!偉いやんけェ!!!!」
ciを抱き上げ、わしゃわしゃと撫でる。
それから、見守っていてくれたtnも撫でていた。
「……、ご主人!!おれも!!」
zmがknの腹に突撃する。
それを見たemとrbも、笑顔でknへと駆け寄って行った。
「俺手二本しかないんやってば!!!!!一斉に来るなァ!!!!!!」
わいわいぎゃあぎゃあと騒がしくなる。
shpが苦笑していると、そこに抜け出してきたciが寄ってきて、膝に昇った。
knは大勢の虎に押されて床に倒れている。
それはもうカオス状態であった。
ciは膝に乗ると、ちょこんと座った。
撫でてみようか、と手を上げるとその手を掴まれた。
「こんどは、つかまらないよ。」
「…?捕まえんよ。」
「え?なんで?もうたたかわないの?」
「…ええ?まあ、knとは戦う、けど。」
ciは膝の上で立ち上がり、shpの頬をぺしと叩く。
「おれともたたかって。」
「はあ?力の差を…。」
「おれはつよいぞ!!まけないぞ!!」
ciは元気よく両手を上げて歯を見せた。
これからも、kn邸は騒がしいのだろう。
おわっちゃった、、、、
まだ3000文字しか書いてないのに
って思いますよね少ないですよね??
ちゃんと↓におまけかきました!!
えらいぞわたし!!!!!!!
ぜひよんでってください!!!
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後日。
shpは今日も壁を昇って窓から潜入を試みた。
窓を静かに開ける。
まだ時間は日が登り始めた頃だ。
knも寝ていることだろう。
「shpきた!」
「えっ?」
窓を開けると、ciが床をごろんと寝転がりながら笑っていた。
慌てて窓を閉めて入口へと走る。
そこからこっそりと入る。
「shpみっけ!」
「は?」
慌てて走り出し、今度は裏口から入る。
「shpまって!」
「なんでやねんッ、」
どこから入っても見つけてくるciはshpをじっと見つめて嬉しそうに笑っている。
なんだか、こちらが阿呆らしい。
shpはしゃがみこみ、ciの顎をクイクイと撫でた。
「んへ、ふふ…。おはよっ。」
「はよ。ご主人様はどーしたん?」
「ねてる。みんなもねてるよ。」
「なんでお前は起きてるんや?」
「shpの匂いしたから!!おにごっこしよ!」
まさか、戦うって鬼ごっこだと思っている?
shpはknと戦う(税金を巡り)のであって、別にci達とは戦う気がないのだが。
「かくれんぼでもいいよ。でも、おれつよいぞ!」
shpは髪の毛をわしゃ、と掻き分けて立ち上がる。
「鬼ごっこしよう。タッチしたら交代な。」
「まけないぞ!」
「俺鬼やるわ。逃げてみろよ。」
そう言うと、ciは庭を走り出した。
5数えて、shpも走り出す。
ciが通ったところの地面には、可愛らしい足跡が着いていた。
それを追いかけていくと建物の中へと入った。
大理石の床では、足跡がつかない。
と思いきや、足に着いた土のおかげで微かに足跡ができている。
shpはそれを見て追いかけることにした。
長い廊下に着くと、奥にciの姿が見えた。
見つけたぞ、とshpはスピードを上げる。
それと同時にciは派手に転んだ。
「あっ。チャンスやん。」
shpはすぐさま追いつき、ciの頭をぽん、と触る。
ciは膝を擦りむき、ぷるぷると震えながらこちらを見あげた。
しゃがみこんで、膝を見てやる。
「四足歩行じゃコケやすいやろ。それに、手も痛いし。」
ciの小さな手は土だらけで、所々皮が剥けている。
「…だって、みんなみたいに、あるけないんやもん。」
「手伝ってやるわ。」
shpはciの脇に腕を入れて、立ち上がる。
ぷらん、とciは足を床に着けて立つことに成功した。
「よし、手離すで。今の体制維持してみ。」
そう言って手を離すと、予想通りぺたんと座り込んでしまった。
「できないよ、あし、ちからはいらない。」
「いける。ciやったらいけるよ。」
もう一度持ち上げて、足だけを床につける。
そのまま歩くようにshpは前に進んだ。
ciは足を床に着けて引きずられているような状況だ。
それから、shpは丁度良い高さの机をみつけ、そこにciの手を置いた。
「手を机に押し付けてな。離すで。立つんや!」
ぷるぷると、震えながらもciは立つことができた。
「で、できてる…?」
「うん上手。足を片方ずつ動かすことはできるか?」
ぷるぷる、ぷるぷると、片方ずつ宙へと浮く。
それを何回か繰り返していくと、ciは簡単そうに歩く動作を始めた。
「机から手を離してみ。」
「……、ッ、こ、こわい、」
「コケても俺がおるから。」
「…ッ、!」
手を大きく上げる。
「…?、た、たてた!!」
「流石やん!!よぉ頑張ったな。」
両手をバンザイしながらshpを嬉しそうに見つめているciの頭を撫でる。
丁度、物音に気がついたらしく、虎達が寄ってくる。
shpはciの背中をぽん、と押す。
ciはぽて、ぽて、と効果音がつきそうな足取りで虎達に近づく。
皆はciが歩いていることに気がつき、両手を広げて待ち構えていた。
ようやく、1番前にしゃがんでいるtnのところまで到着し、膝にダイブする。
「ciぉ!!!歩けとるやんけ!!!!」
「んへっ、んへへ、shpにおしえてもらった!」
へろん、と出たままの舌をtnが口の中へ戻す。
すると、zmがshpの方へと寄ってきて、手を広げた。
「ci!!今度はこっちにゃ!」
「ん、んへっ、んしょ、っ」
tnの膝を支えにしながらゆっくりと立ち上がり、またぽて、ぽてと歩き出す。
zmは嬉しそうににやけていた。
「ん!きた!!!」
「来れたな〜!!偉いにゃぁ!!!!!」
ワシャワシャと元気よく撫で回す。
せっかくtnに戻してもらった舌が、また口から落ちてしまうが、構わない。
zmは撫で続けた。
shpは、自分もまるでこの一員かのように微笑んでいたことに気が付き、慌てて立ち上がる。
全員がshpを見上げた。
「…今日はこんくらいで許したるわknァ。」
そう言い残し、走り出す。
「まってー!」
「…えッ、」
ciが両手を伸ばし歩き出した。
shpの足は完全に止まり、固まっている。
そして、ciの手がshpの足に触れた。
ぎゅう、と手を回して足にしがみつく。
可愛い、なんて思っていたら。
「つかまえた!!ごすずーん!!!!!!!」
「この虎ァ!!!!!!!!」
やっぱりこいつはknの虎だった。
これにてこの連載終わりです!
最後までありがとうございました!
小説スランプ終わりましたら、小説の投稿頻度も、元に戻していきたいなと考えています
コメント
7件
最後でにやけてしもた...w
尊いが詰まりまくって心臓が痛かった…🥰🥰
完結おめでとー!! ぐぁぁあ!ガチめに尊い…癒し…😇😇😇💕💕