テラーノベル
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藤澤side.
いつも通り、いつも通りだった。
表情も、仕草も、僕に対する態度も、全部。
浮気なんてしてる様子もなかった。
「…別れよう」
「、え…?」
若井から急な別れを告げられた。
泣きながら理由を言ってくれないと別れない、と若井に言うと、
若井は目を逸らしながら言った。
「他に好きな人ができたんだ」
嘘でしょ。
だって若井、付き合う時、
「ずっと一緒にいようって言ったじゃん」
暗い部屋に自分の声が響く。
若井が出て行き、静かになった部屋。
花瓶の中の花は萎れて
台所には小蝿が湧いて
部屋だって汚いまま。
机にも棚にも埃がかぶって
飼っていたインコだけがぴちぴちと鳴いている。
二日前に若井が出て行ってから、何もしていない。
ご飯も食べていないし、お風呂だって入っていない。
若井が帰ってきてくれたら。
若井が帰ってきてくれれば。
ズビッと鼻を啜る。
鼻水が喉を通って胃に落ちていく。
両目からは涙がぽろぽろ溢れていく。
その時だった。
ピーンポーンという場違いなチャイムの音がなったのは。
「…涼ちゃん、」
「、もと、き」
若井かと期待を膨らませたけれど、リビングの入り口に立つ人物は間違いなく元貴だった。
「…やっぱり。汚れてる」
そう言って元貴は僕の方に近づいた。
そして僕をぎゅっと抱きしめた。
若井とは違うけれど、確かに安心する元貴の匂い。
「…大丈夫、僕がいるから」
はい
ミセスしてない設定です。
頼もしい大森さんが見たいという気持ちと
可哀想で弱い涼ちゃんが見たいというわたしの願望から。
保健室で勉強してる時に思いついたやつ。
ご愛読お願いします。
コメント
4件
やべやべ好きな作品が増えてしまったァ!!得でしかないね
涼ちゃんが辛いとき、一番に寄り添ってくれる大森さん好き過ぎる…更新楽しみ…!
え、え、好きすぎる。 更新がとても楽しみすぎます。