「ねぇ、なんで涙袋なんかできてんの?男でしょ?あ、まさか。おヨヨヨよ??」
篠原のバカな顔から朝を迎えることになるとは。ボクも、なかなかツイてないな。僕には関係ないけどな。
なんだ?おヨヨヨよ??
「そういう篠原は、なんで、寝ぐせ爆裂マン(ボンバーマン)なのさ?女だろ?」
そーだ。そーだ。
「女性差別ッ乙!!!!」
は???意味がわからん。差別してきたのはそっちだし、『乙』の使い方もデタラメだし。どーやったら、そこまで壊滅的な間違いを入れ込めるんだ?バカの、プロか?コイツは。
「ところでさ。何か、気づかない?」
でた。必殺『篠原スイッチ』。やっぱ、流石に切り替え速すぎるだろ?脳みそ切開したら、どっかにONOFスイッチでも生えてんじゃねーか??マジで。
やっぱ、バカは切り替え速ぇーな。
まぁ、しかし。篠原から『命令』ではなく、こういうカワイイ疑問系が飛び出すのは、かなり珍しいことだ。きっと、昨日は子猫(篠原は、アメリカン・ショートヘアを飼っている)と“デート”でもしたに違いない。想像するだけで吐き気がする。おロロロろ。
「ちょっと、退きなさいよッ」
体重計キラー(80%の確率で、体重計にエラーが表示されるから。そういうあだ名だ)が、地響きを立てながら、さながら像の猛襲のように、点滴を振り回し、ドドドドドッ!と、嵐の如く駆け抜けていった。
よくよく見ると、そんな現象が、そこかしこで起きている。これは、かなり異常だ。
「そういえば、朝の病院なのに、今日のロビーは混雑してるね。何かあったの?」
“何かあった”に決まってんだろ。篠原(バカ)相手にバカなこと聞くな。純正バカにバカ認定されたらどーすんだ。シャレになんねーぞ?
「いま、すんごく失礼なこといったでしょ」
ギクッ。
「え?い、いや。“ ボク”は何もいってないよ」
そ、そーだ。そーだ。
「ふぅん。なら、いっか」
一瞬ヒヤヒヤしたが、まあ。あり得ないよな。深層心理の端っこにいる僕に、篠原が気づくなんて。本物のバカってやつは、時々“覚醒”するから怖いんだよな。
篠原(バカ)ってヤツは、な。
コメント
0件