📡🧪中心小話

📡→🧪恋人だと認識している

🧪→📡セフレだと認識している

⬆️前提の両片思い📡🧪です。

1時間で思い浮かんだものを全て書く遊びをしました。後半になるにつれひどい文になっていきます。稚拙な文章なので、腕をいっぱい伸ばした状態での閲覧をオススメしています。

※煩悩丸出し

※煩悩メイン

◼️

「ぐち逸一おーきーて一」

「起きてますよ」

ソファの背に顔を押し付けてくぐもった声で返事が返ってくる。

ここ数日空架からの連絡がないことに気づき、今日は朝からロスサントスを走り回っていた。彼と関わりのある市民に片っ端から声をかけたものの目撃情報はなし。家も不在（案の定鍵は閉まっていない）。もしやと思い合鍵を渡した自分の家に帰れば、これである。

「お前ずっと何してたの」

「寝てました」

何を考えているか分からない声色で、ひとつも動こうとしない。とりあえず体を仰向けにひっくり返し、両の腕を引っ張り立たせようとする。確かに寝起きらしい顔でボーッと頭を上げた。頬にカウチの縫い目が痕をつけている。

洗濯してるんだかしてないんだかわからないシャツの隙間から痛々しい発疹が覗いて、顔をしかめた。

「ぐち逸、これは？」

「虫刺されが悪化して。すぐ治ります」

「こんなになるまでほっといたらダメでしょ」

「そうですね」

ソファを立つ気も理由を説明する気もない空架に少しイラっとくる。何もしてないのに虫刺されがこんなに赤くなることがあるか。少なくともロスサントスにそんな生き物はいない。

引っ張る手に力が入ったのを感じて、まだ説明が必要かと小さく煽りのため息をついた。空架の瞼がゆっくり持ち上がり、上目遣い気味にこちらを見上げている。少し肌が火照っているように見えた。

「まあ、日々の不摂生が祟ったんでしょう」

「それじゃん。ちなみにいつからいたの？ここ」

「あー…2」

「2時間前？結構寝て」

「2日」

「は？」

「冗談です。昨日の夜からですよ」

「お前さあ～〜〜」

がっくり項垂れて見せると、ぐち逸は少しだけを緩めたようだった。

昨日の夜から今までずっと寝ていたのか。時刻は18:00。秋の陽は釣瓶落としというくらいである、もちろん外は真っ暗だ。てっぷり太った黒の雲が街を覆っている。「かみんです」と言われたが、仮眠なのか過眠なのかわからない。

諦観と安堵の入り混じったため息を吐く。勢いよく立ち上がらせると、空架は生まれたての子鹿みたいにヨタヨタと床を滑り、一瞬だけ手を離してまたレダーの服の裾を掴んだ。

「すみません」

「お前大丈夫？フラフラじゃん」

「血圧低いみたいで、立ちくらみが」

「うそ立ちくらみ？いいよ掴んでて」

「いえ、大丈夫ですから」

「いやいや。あっ」

ぐらりと細身が傾く。予想通り横に倒れた彼をしっかり抱き抱えた。

空架は赤いんだか青いんだかわからない顔で何度も謝ったが、重力に逆らえないといった具合でそのまま身を委ねた。

いつものコートを脱ぎシャツだけの彼は、思っていたより薄く骨ばった形をしていた。血の気の引いた肌が襟元と同じくらい白くてどこか笑える。裸の造形は見慣れていろはずなのに、不透明な白いシャツで隠された輪郭にどこはかとなく艶っぽいあやしさを感じた。

首と名のつく部位が全て細いなあ、寝起きの血圧が低いのも解釈一致だなあ、とどうでもいい感想を呟きながら、彼の腕がこちらの背に回ってくるのを待った。

ボーッと肩に乗った後頭部（側頭部？）を見つめていると、ふとジャケットの右肩が温かく濡れている。それに気づいたのと同時に、空架の背中が不規則に痙攣し始めた。ぎょっと腕を緩める。

「ぐち逸泣いてる？えっ泣いてんの？なんで泣いてんの？」

「なんででしょう。なんででしょうか」

「いや俺に聞かれても。ごめんごめんなんかした？」

スン、と鼻を鳴らして首を横に振る。彼の細い指がうっすら肩に食い込んだ。

「心配してもらえて嬉しかった」

蚊の鳴くような声で呟く。その小さな声がより一層空架の背中を小さく見せ、そして何よりレダーは彼の口からそんな弱い言葉が出てくることに驚いた。というか、恋人の身を案じるような男ではないと思われていたということだろうか。少しショックを受けて、呆然と聞き返す。

「お前もそんなこと言うんだね」

「疲労しきった人間はどこまでも弱くなれますから」

「そっか」

会話してみると、寝起きとか気落ちしているとかを抜きにして普段よりガサついた声をしている。あれこれ大丈夫かな？と顔を一瞥すると、やはり頬が異様に赤い。自身の隈で囲われた目元を撫でて、また空架が言った。

「あなたと関係を持ってからというもの、私はずいぶん感傷的な人間になってしまった」

「うん」

「責任は取ってもらいたいと考えていますが」

「取るよ、責任。てか俺のせいってのがいいね。いいじゃん人間ぽくて」

「最悪ですよ」

空架の絞り出した言葉の小さい風が、彼の耳にかかる。

さっきまであんなに我慢していたのに、この人の前だと過剰に唾を飲み込んでしまう。唾棄されるでも手を離すでもなく、そのまま温もりを与え続けるレダーに目の奥がゴロゴロして涙が止まらなかった。恐る恐る腕を伸ばすが、彼の背中は驚くほどガラ空きで、思っていたより抱き返しやすかった。鼻を啜る。目の前で青黒い髪が揺れる。

かくしてレダーも肩で熱く息をしている男が理由もなく愛おしく思えて、先ほどよりも強く抱きしめた。

「……体熱くない？」

「ああ、確かに…熱っぽいですね」

「風邪ひいてんじゃない。日々の不摂生が祟って」

「そうですね」

不意にぐち逸がゴソゴソ何かし始めたので肩を押して体を離すと、発疹に手を伸ばしていた。

「あ、おいダメだろそれ」

「ダメなんですけど、痒くて」

「ちょっと待って。かいちゃダメだよ」

ポケットをゴソゴソ漁る。タバコやレシート の中からチープな青のキャップを被った小さなチューブが顔を覗かせた。

反射的に反対側の手首をつかみ、もう引っかかないようにと念を押して軟膏を塗った。虫刺されに何が効くかは知らないし、ここまで広がってしまえばこんなちゃちいもので治るわけもない。シャツを降ろさせて「あとで自分で薬塗りなね」と服の上から腕を撫でた。

傷を押されて一度だけ大きく肩を震わせたあと、空架はじっと黙って雑に軟膏の塗られた腕を見つめた。レシートを数えてゴミ箱に捨てに行ったレダーの背中に、ポツリと呟く。

「なんでそんな優しいんですか」

「え？」

思ってもみなかったことを言われ、素っ頓狂な声が出る。遠かったので一から聞き直したいとも思ったが、振り返って見えたぐち逸の表情が自分より困惑していたので慎む。

疑問に思われるほど優しかっただろうか。はたまた、この程度が大層優しいと思われるレベルで心がないと認識されているのか。眉間にシワを寄せて口を半分開ける。

「え？なんでって何」

「というか、その、いいんですか」

「何が？」

「いえその、私達の関係って…」

「うん」

「いや…その、一応名目としては、性欲処理の相手じゃないですか」

「ん？うん……ん？」

「だからその…いいんですか？こんなに、気にかけてもらって」

「え待って待って待って、えっもしかしてなんだけどさ、ぐち逸さ、俺のこと…えっまって」

まさかとは思うが。早足に近づいて白磁色の瞳をじっと見つめる。

これは、もしかしてもしかするともしかするかもしれない。恐る恐る尋ねた。

「……………………俺のことなんだと思ってる？」

「なんだと言われましても…仕事相手」

「ンそうじゃな〜い脈略汲み取って！ぐち逸俺のことなんだと思ってる？say」

「え、いや…そのー……いわゆる、セフレですよね」

「アーーーーー」

やっちまった。なんてこった。これはまずい。空架は恥ずかしそうに顔を赤らめてそっぽを向いているが、違う、そうじゃない！様々な種類のアラートが脳内をれ回る。

思い返すと、そういえば今まで行為中以外で面と向かって好意を伝えたことはないのでは？いや行為中は言ってるな、行為中に言ったところで彼がそれを真面目に受け取り覚えているかと言われれば決して、まあ覚えていなさそうではあるが…五指をわなわな震わせてなんて言い訳しようか考える。

「…なんですか？」

「エァっぱそうっすよね？！あそういうこと！！なーんだそういう！！はいはいはいはい！！！！」

思わず裏返った大声の勢いで空架の手を握り込んでしまった。顔を歪めてこちらを睨みつける。

「いっ、本当になんですか！」

「あああごめんごめん思わず」

「思わずってなんですか…大体レダーさん何をそんなに挙動ふ」

「好きだよぐち逸」

「は？」

あ、やらかした。

空架は口をぽかんと開けて固まった。両者、動けない。永遠のように長い空白を埋めるように、レダーは肺の空気を全て吐き出すみたいに長く深いため息をついた。もう諦観の一手を取りたい。今すぐ走って逃げ出したい。空架がゆっくり口を開けたり閉じたりするのをじっと見ながら、判決の下されるのを待った。

「は？」

「あもう終わった全部間違えた忘れてマジで」

「ちょやめ、首絞めないでください」

「お前を殺して記憶飛ばすしかない……その後俺も死ぬ！通知オンにしとけ！！」

「適当なこと言わないでください、待て。どういうことですか？」

「俺お前と恋人のつもりだったんだけどよく考えたら告白もしてないしちゃんと好きとか言ったことないじゃんって思ってじゃあそれならお前がセフレだと思ってるのも俺の責任じゃね？と思っ」

「ちょっちょっと待ってください、なんですか？じゃあレダーさんは私のことが好きってことですか？」

恥ずかしさやら不甲斐なさやらでいっぱいになり、ギッとソファに腰を下ろす。一度俯き、大きく息を吐いてから真顔で空架を見上げた。

「はい」

「え……？いやはいじゃないですよ…はい？なん、なんですか？どういうこと」

「なのであの、いいです。俺が一方的に好きだっただけみたいなのでもうあの全然気にしないで」

「レダーさん勝手に話進めないでください」

タバコを取り出し、火をつけ、右の手のひらで目を覆う。清々しいほど開き直りどこを見つめているのかわからないレダーを怪訝そうな顔で一瞥し、空架は頭を抱えた。

「どこ見てるんですか」

「いやだって」

「レダーさん。私一言もレダーさんと恋人になりたくないなんて言ってません」

「そうっえ？」

空架はゆっくり拳一つ分くらいあけて隣に座り、目を見開いているレダーの右手に触れた。

「…私まだ一言も、レダーさんの恋人になりたくないなんて言ってませんから」

その手をやわと握り、そのまま自分の指を絡めた。頬は先ほどよりも紅潮している。

「……………え？嘘お…」

「嘘もクソもないですよ」

レダーが開けた間の5倍くらいの速さで返事が返ってくる。会話のテンポが少し面白いことが、逆に脳を冷静にさせた。冷静になると今度は新しく知った空架の好意に口角が上がる。レダーはタバコを机に押し付け、恥ずかしくなったのか限界まで顔を背けた空架に何度も問いかける。

「…………………え、俺のこと好きなの？」

「好きですよ、ええ。もうあなたがそのテンションなのでこっちもどうしていいかわからないんです。もうこれでいいですか、恋人にしてくれるんですよね？」

「なんで怒ってんの？なんで怒ってんの？！」

「怒ってません恥ずかしいんです、こっち見ないでください。歯折りますよ」

「おい医者ぁ…」

「こっち見ないでください」

掠れて刺々しい言葉とは裏腹に、絡めた手は強く握られっぱなしだった。変なテンポで進んだ会話の中で、どのタイミングかはわからないが、確かに互いの恋慕の凸凹が組み合った。

顔を背けすぎてむしろ逆方向からまつげが見えてきそうなくらいギッチギチにこちらを見てくれない空架に笑いかける。

「ゔ」

「え？何今の」

「くしゃみで、っゔ」

「それくしゃみなの？あってかお前、顔赤！風邪？照れてんの？」

「風邪です。退いてください、寝るので」

「人んちで図々しいなあ。ベッドで寝ればいいじゃん」

「いいです」

空架がもう一つくしゃみをしたので、レダーは無理やりその体を抱き上げて寝室へ連れて行った。この日、二人はセックス以外で初めて一緒に寝室を使用するこになった。

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ここまで読んでいただきありがとうございました。投稿してから初めて自分で読み直しましたが、ガッツリ駄文でした。ガッツリ。これが人目に晒されてるというのはどんなジョークですか？

私はどんな📡🧪も等しく美味しく頂けるバカ舌(冷笑)の持ち主なので、📡→🧪、🧪→📡の愛の形がどんなものであれ無味でいただきます。ごちそうさまでした。実は今絶賛新型コロナウイルスを患ってしまったためひたすら脳が機能しておらず、こうしてグダグダ駄文生産botになってしまう訳なんですけれども。

星野源さんの不思議という曲を聴きながら書かせていただきました。温かく素敵な曲なので、よかったらぜひ聞いてみてください