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📖 第二十三章:「甘い時間」
放課後。
教室を出た二人は、少し歩いて街のカフェに入った。
木のぬくもりと柔らかい照明、甘い香りが漂う空間。
○○は、少し緊張しながら席に腰を下ろす。
冴は、いつも通り静かに席に着く。
でも、さっき教室での距離感とは違って、穏やかな笑みが少しだけ浮かんでいる。
○○:「……なんだか、落ち着くね」
冴:「ああ。ここ、静かだしな」
低い声だけど、安心感がある。
店員が二人の前にケーキと飲み物を置く。
○○は少しだけ目を輝かせて、ケーキを見つめる。
○○:「わあ……美味しそう」
冴は、黙って見つめる。
その視線は、じっと○○の楽しそうな様子を追っているだけなのに、○○は胸がぎゅっとなる。
○○はフォークでケーキを口に運ぶ。 その瞬間、冴の目が細くなる。
冴:「……あ」
○○:「ん?」
冴は、そっと指で○○の口元を拭う。
小さなクリームがついているのに気づいたのだ。
冴:「……ここ、ついてるぞ」
そう言いながら、無意識に指でクリームを取り、顔を近づける。
○○は驚きと恥ずかしさで顔を赤くする。
○○:「ちょ、ちょっと……!」
冴は、いたずらっぽく少し笑うように見えて―― でもその手は止まらない。
指についたクリームを、自然に舐めてしまう。
○○:「……っ!」
声にならない声。
体が一瞬、熱くなる。
冴は無言で、でも少し楽しそうに○○を見つめる。
○○は頬を押さえ、心臓がドキドキと早鐘のようになる。
○○:「な、なにやってるの……!」
冴:「……クリーム、取っただけだ」
でも、その口元の笑みは、少し悪戯っぽい。
○○は思わず、フォークを手に取りケーキを食べる。
その仕草を、冴は黙ってじっと見ている。
冴:「……可愛いな」
小さく呟く声に、○○の耳は熱くなる。
二人で少し笑いながら、ケーキを分け合う。
話す内容は日常のことばかり。
でも、時折交わされる視線や指先の触れ合いに、胸が高鳴る。
冴は、時折○○の手に触れ、指を絡める。
それだけで、○○は心臓が止まりそうになる。
ーーーー
カフェを出る頃、外は柔らかな夕暮れ。
空はオレンジと紫が混ざり合い、街の建物のシルエットが長く伸びていた。
風は冷たくもなく、夕焼けの光が二人を包む。
二人は並んで歩きながら、手がふと触れ合う。
冴は少し躊躇いながらも、○○の指をそっと握る。
○○はその手の温かさに、胸がぎゅっとなる。
突然、冴が立ち止まり、空を見上げる。
○○:「どうしたの?」
冴:「……綺麗だから、つい」
そう言いながら、冴はさりげなく○○の手に自分の手を重ねる。
○○は驚きと少しの照れで、息が止まりそうになる。
手を引くわけでもなく、ぎゅっと握るわけでもない――
ただ触れているだけで、心臓が高鳴る。
○○は自然と冴の方に体を寄せる。
冴 は何も言わず、でも視線だけは○○を追う。
小さな笑みが、頬の奥でほんのり熱くなる瞬間。
夕焼けの光が二人の輪郭を柔らかく染める中、 指先の触れ合いだけで、甘く特別な午後になる。
END
コメント
1件
わああああああああッッ泣きそう…