目を開けると涙でぐっちゃぐちゃの顔が視界に飛び込んできた。それは母さんだった。
「……がぁ“ざん?」
「出久〜〜〜〜ッ!!!!」
抱きつかれた
「ぃだだっ」
「お母さん、緑谷君の火傷が悪化するのでやめてください!」
医者があわあわとしながら静止の声をかける
「…ここ……は?」
「山から少し離れた病院です」
「…びょう…ぃん………子供はッ?!!」
ハッと先刻のことを思い出し勢いよく起き上がった
「いッ」
「ちゃんと横になってください!」
「…すみません」
「子供なら無事です。後遺症も残らず治るみたいです」
僕は安堵の息を落とす
「ほっじゃないですよ、最終的には君がやばかったんですから」
「え?」
きょとんとした顔をすると医者は呆れながらも話してくれた
「あの子は少し耐性があったおかげで火になんとか耐えれましたが、あなたは何もありません、だから焼け跡は残ってしまいますよ」
眉間に皺寄せて指を僕の方に刺した
「…なぁんだーそんなことか、寿命が縮んでしまったのかと思ったぁ〜」
医者は僕の振る舞いに目を丸くしている。
母さんも固まっていた。
だって僕前世高校入りたてでは怪我ばかりしかしてなくて後なんてそこらじゅうに残っていたから。体育祭と強化合宿あそこで大きな痛手を負った。
「…ぃいいの?跡残っちゃうんだよ?」
悲しい顔をした母さんが僕に問いかける
「全く気にしてないよ!結果的に今回はあの子をちゃんと救けれたんだから」
僕は歯を見せて笑った。
医者はぽかんとした顔をして少しした後に
「あなたはきっとヒーローになれますよ」
そう言ってくれた。
うるっと目を潤ませ溢れそうな涙を我慢して「ありがとう」と言った。
1週間経って僕の怪我は少しずつ治ってきた。
「あの子大丈夫かなぁ」と憂慮の言葉を漏らしているとドアが勢いよく開く。
肩で呼吸をしながら僕を見ている子供……ん?
「あっ!!君!」
咄嗟に声を漏らす。
だめです!まだ安静にしていないと!と奥から看護師さんらしき女性の声が聞こえてくる。
ずんずんと僕のベットまで近づいてくる
「何で助けた?」
いきなりの質問に少し驚いたがすぐこたえる
「君が助けを求めてたからだよ」
僕は笑った。
「ッ、僕のせいでお前に焼け跡が残ったって医者から聞いて、僕の…せいで」
また体から蒼い炎がちらりと姿を表す。
「!」
追いついた看護師が危険を感じて個性を使おうとする。
「気にしてないよ」
「!」
「僕はこの通り歩けてる、それにあれは自分の意思でやったものだよ、怪我なんて承知で助けたんだから、だから君のせいじゃないよ」
「それに、過去を顧みるのもいいけど未来のことも考えないとね」
「?」
「いつまでも制御できないんじゃまたこんなことが起きる、だから自分の個性を制御する術を身につけないと、憶測だけど君の体質と個性、合ってないんじゃないかな?」
「なんで知って…」
「憶測だよ、けど当たってるのなら話が早い」
僕は母さんが持ってきてくれたバックから自分の手帳を見つけペンでカリリと文字を綴りその1ページを破って渡す。
「怪我治ったら僕のところに来て」
「……して」
「ん?」
「どうして、お前は僕に構ってくれるんだ?」
「君が、困っていたからだよ」
その瞬間子供は泣いてしまった。
「?!」
「うわあああ」
「ごめん!なんか僕泣くようなことを…」
子供は袖で溢れる涙を拭きながら喋る。
「っぼく、ぐすっ父さん に構ってもらい…たくてあの山で父さんと一緒にひっれんしゅうするって約束したのに、父さん来てくれなくてなんでって思ってどうしてって思ってッそしたらなんか体が燃えて熱くて怖くて寂しくて悲しかった」
「うん」
「でもお前が抱きしめてくれてなんかほっとして」
「うん」
「すごい、嬉しかったんだ」
「…うん」
「だからありがとう」
「僕はそんな感謝されることなんてしてないよ、自分がやりたいって思っただけなんだから」
子供に僕は満面の笑みで笑いかける。
「ほら、看護師さんが待ってるまた会えるからえっと、お名前は?僕の名前は緑谷出久」
「…轟燈矢」
僕は一時動揺したが顔には出さないようにバイバイと看護師さんと一緒に歩く轟くんに言った。
ドアが閉まり僕は大きいため息を落とす。
「どこか荼毘に似てるなとは思ったけど本人だったなんて、っていても蒼炎でわかると思うんだけどななんで僕気付かなかったんだろ、まぁでもこれでお父さんとの関係も少しは変わるのかなぁ」
すこし安堵の息を吐いた。
ベッドに座っていたことを医者に見られ「寝なさい!!」と怒られたのは別の話である。
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