テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「 凪、こっち向いて 」
「 なぁに 」
ー カシャ
「 ふ、撮っちゃった 」
「 消しといてよ 」
「 やぁだね 」
私には、写真部に入っている幼馴染がいた。
小さい頃からずっと一緒で、時には喧嘩もしてきたけれど、でもやっぱり仲は良かった。
悠人がいないと心にぽっかり穴が空いたように喪失感を抱いてしまう。
それはきっと悠人もそう。
だから人生の7/8を悠人と過ごしてきた。
これからもそうして生きていくのだろうと、そう思っていた。
事の始まりは母の携帯にかかってきた、一本の電話だった。
もしもし、と普段よりワントーン高い声がリビングに響く。
そして、えぇっ、と顔を青くして私の方を向き、深刻そうな顔をしてうん、と小さく呟いた。
この時点で私はうすうす勘づいていた。
母の携帯は会社か悠人の親からしか電話はかかってこない。
悠人に何かあったのか。
答えは、すぐに分かった。
「 凪、病院行くよ 」
「 … 何があったの 」
切羽詰まった様子の母は私の顔を見て一瞬躊躇った。
言うべきか、言わないべきか。
母は、私に言う事を決めた。
「 悠人くんが、交通事故で 」
「 意識不明の重体なの 」