テラーノベル
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episode 3
「 俺の居場所 」
キーンコーンカーンコーン
ヨンベ 「 しゃあ !! 終わった ~ !! 」
教室の誰よりも先に声を出したのは
ヨンベだった。
ヨンベの声を聞いてみんなが微笑んだり
口を開く 。
モブ 「 お疲れ ~~ !! 」
「 宿題やった ?? 」
ぞろぞろとみんながヨンベの席を囲んで
笑いかける
ヨンベ 「 お疲れ !! ってやってねぇ ~ !! 」
焦りながら机からノートを取り出す姿を
俺は後ろの席から見てた
ジヨン ( … いいな )
あの人懐っこい笑顔
昔から憧れてた
みんなから人気で家族も全員が仲良い彼奴に
あの中に俺が入ったら多分、
みんな気まづい顔して離れていくんだろうな
タプ 「 … どうした 。 ジヨン 」
お弁当箱を両手に抱えて
こちらへと向かってきたのは同じクラスの
タプだった 。
こいつもクールだけどツッコミが面白くて
天然だから人気者だ。
俺はタプを見上げてまたもや羨ましい顔して
顔を伏せた
ジヨン 「 … 別に 。 腹減った 」
タプ 「 だな 。 食うか 。 」
俺の前の席に座って弁当箱を広げる
そしたらあの人気者も人混みから抜け出して
こちらへと向かってきた
ヨンベ 「 よ !! お疲れ !!
腹減った ~~ 、食おうぜ !! 」
片手で弁当箱を持って
にこやかに笑いかける
タプ 「 … ああ 。 」
返事は冷たいけど目をしっかり合わせて
少し口角を上げる 。
ジヨン 「 … 飲みもん買ってくる 」
ヨンベ 「 りょ ー かい !! 」
俺は席を立って 廊下へと出た。
あいつらいいな。
俺も弁当とか作ってもらいてぇな。
いつも俺の昼食は
購買のパンと飲みもんだけ。
でもあいつらの弁当はいつも美味そう
だった。
タプは健康が考えられていて色とりどりの
野菜やおかず。
ヨンベは男子高校生らしい肉がいっぱいに
入った弁当だった。
俺は自販機で飲み物を買って
少し一息ついた。
ジヨン ( … 贅沢だよな )
その一言を思ったら自然とその贅沢から
身を引ける気がした。
俺は教室に戻って
自分の席へついたら周りには2人。
ヨンベ 「 お、 来たきた !! 」
口の端には米粒がついており、
気づかずに俺にニコニコと目を向けてる
タプはヨンベを見て顔を歪ませながら
注意した
タプ 「 米粒ついてる 」
ヨンベ 「 お 、まじ!? やべ !! 」
ティッシュで拭いてまたもや
お箸でおかずをつついた。
俺はその姿をじっと見つめた。
いいな…美味そう。
この昼休みの時間が1番嫌いだった。
俺以外はみんなニコニコしてるのに
俺だけはその中で置いてけぼりだったから。
キーンコーンカーンコーン
ヨンベ 「 なぁ 、今日一緒にゲーセン行かね!? 」
鞄の支度を終えたヨンベが
こちらを見て笑いかけた
タプ 「 おう 。」
タプの返事の後に俺の方へと
視線を向ける
ジヨン 「 いいよ 」
正直嬉しかった。
あんな家に帰らなくて済んだから。
_ ゲーセン
ヨンベ 「 これで勝負しようぜ !! 」
パンチマシーンにお金を入れて
自分が納得するまでずっとなぐってる
いや怖。
タプ 「 やらない 。
俺はあれする 」
指を向けたところには
ゾンビを倒すゲーム。
銃を持って無表情で打ち続けるその姿。
怖い。
俺はその姿を見て鳥肌を感じながら
ガチャガチャのところを見に行った
ジヨン ( … 久しぶりだな。 )
ガチャガチャなんて昔は好きだったけど
今は別にしようとなんて思わなかった
そしてふと目に入ったのは
顔は可愛いとは言えないけど白い猫の
ぶさかわキーホルダー。
ジヨン 「 … 」
俺はそれにお金を入れて
回してしまった。
なんかビビッてきちゃったんだよな
ヨンベ 「 お 、なにそれ !? 」
そして後ろからひょこっと顔を出してきた
ジヨン 「 … 猫 」
狙ってた顔とは違かったけど
まぁ愛着のある顔してるからいいや
タプ 「 ジヨン、そういうの好きなの ?? 」
興味津々にその猫を見て
目線を逸らした
ジヨン 「 … ん ー 、なんとなく 」
俺はその猫をポケットに突っ込んで
コインゲー厶の方へと向かった
そして遊び疲れたあと
ふとヨンベがスマホを見て目を見開いた
ヨンベ 「 やば !?
もう8時なんじゃん !? 」
あわあわとする姿に目線を向けた
タプ 「 もうか 。よし、 帰るか 」
帰るか。そっか。
その言葉だけが1番今は聞きたくなかった
ジヨン 「 うん、帰ろ 」
2人に背を向けて先に歩き出す。
ほんとは帰りたくなんてなかった。
ヨンベ 「 じゃあな ー 」
タプ 「 またな 」
ジヨン 「 … ん、 」
俺は素っ気なく振り返らずに少し立ち止ま
ってまた歩き出す。
家が見えてきた。
本当は帰りたくない。
けど帰るしかないから
ガチャッ _
ジヨン 「 … ただいま 」
玄関を開けるとリビンの方から
騒がしい声が聞こえてきた
母 「 きゃ ー !! かわいい !!
ちょ ー 似合ってるじゃない !! 」
高い声を出す母の声に顔を歪ませる
父 「 ああ。 似合ってるな 。 」
父の図太い声が聞こえてくる
姉 「 ほんと !? 嬉し ー !! 」
そして最後に喜ぶ姉の声。
俺の姉は人気モデルだ。
凄い美形で綺麗なスタイル。
俺の家系は父がモデル会社を経営していて
母は専業主婦。姉は父のモデル会社で働かかせてもらってる。
自分の部屋に行くためには
リビングを通るしかない。
行くしかないか。
ジヨン 「 … ただいま 」
母 「 あら 、ジヨン !!
帰ってきたのね ー !! 」
姉 「 おかえり !!
ね、見て !! この新作のやつ !! かわいい ?? 」
くるっと回ってワンピースの丈を
ひらひらとさせる
ジヨン 「 … うん 」
父 「 だろ !? 俺の会社の子がプロデュースしたからな !! ジヨンの将来も楽しみだな !! 」
ジヨン 「 … 」
俺は無言で階段を上がって
部屋を出た。
ガチャンッ _
ベットへと寝転ぶと
自然とため息しか出てこなかった
ジヨン 「 はぁ … 誰がモデルになんかなるかよ。 ば ー か 。 」
俺の将来はあいつらから期待されていて
モデルになれと昔から言われてきた。
でも俺はモデルになんかなりたくない。
本当は絵を描いたりするような仕事に
就きたい。
けど。
そんなことは絶対に言えない。
どうせ 「 絵は稼げない 」「 お前には向いてない 」としか言われないからだ。
俺の顔は自分でも言えるくらい美形だと思う。
男が産まれてきたと知って喜ぶのは姉だけだった。両親はモデルに育てるために女の子を産みたかったらしい。
俺の顔が産まれてきて
想像以上に綺麗な顔をしているから
大切に育てられているだけ。
ジヨン 「 … 帰りたくなかったな 」
天井を見上げなら出てくる言葉は
それだけだった。
本当ならヨンベのような暖かい家庭に
生まれたかった。
父は厳しいけど優しくてあいつは 「 また怒られた 」と笑いながら言うけど俺は怒られたことなんてない。見放されているから。
タプのような静かだけど暖かい家庭でも
羨ましかった。
父は静かだけどいつもタプのことを気にかけて母は優しくて包容力があるらしい。
いいな。
俺もそんな家庭が良かった。
比べられない。怒ってくれる。
優しいご飯を毎日作ってくれる家庭。
コンコン _
ドアをノックする音が聞こえた
ジヨン 「 … なに 」
俺は動かずに背中を向けて答えた
ガチャンッ _
姉 「 ね 、 これ落としたよ 」
ジヨン 「 ん ?? 」
振り返ると
そこには今日俺がとったガチャガチャの
変な顔の白猫のキーホルダー。
ジヨン 「 … ありがと 」
俺が受け取ろうとすると
姉はそれを嫌がるようにニヤリと
笑ってみせた。
姉 「 … こういうの好きなんだね 笑
意外かも ~ 、」
ジヨン 「 返せよ 」
姉 「 なんか私も欲しくなっちゃった !!
ね、 ちょ ー だい ?? 」
ジヨン 「 は ?? 」
姉は意地悪だ。
親が見てる時には優しい姉を演じる。
けど、見ていない時はこのようなことを
毎回してくる。
ジヨン 「 嫌だ 。 」
姉 「 え ー 、なんで ??
この子もきっとジヨンより私との方が
幸せだと思うなぁ 。 」
ジヨン 「 … ッ 、 もういい 。
勝手にして 」
姉 「 え ?? なに ?? 笑
怒ったの ?? 短気すぎない ??
ま、いいや 。 なら貰うね ~ 」
ガチャンッ _
手をひらひらと振って出ていく。
なんであんなのがモデルになれるんだよ。
絶対、向いてない。
早く炎上して人気なんか落ちればいい。
ジヨン 「 … 風呂、 入ろ 」
どうせご飯なんか準備されてない。
適当に冷蔵庫の中に入ってる 冷凍食品や
どこかからか頼んだデリバリーだろう。
姉がいつも母に頼むから。
母は姉には甘いからいつも願いを叶える。
父をそれを見て何も言わない。
弁当も姉だけには作るけど
俺にはいつもお金を渡してくるだけ。
まぁ、そんなの期待してないからいいけど。
episode 3 終
コメント
1件
じゃあジヨンくんは私がもらいますねぇ!