テラーノベル
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アキトから連絡が来る数分前…
「ちなみにミシマっていうオッサンが何処にいるのとか分かるのか?」
「ん?知らん」
「なんだやっぱりバカじゃんリナ」
「壁にぶち当たってから考えるもんだろ?」
「それを人は無計画って言うの」
「そいつは初耳だね。」
「あんた、並の人間のよりも知能指数低いな?」
「物事を深く考えるとかは苦手なんだよ」
「脳みそツルッツルじゃん」
「ほっとけ。こんなのでも生きていけてるんだからいいんだよ別に。」
「お先真っ暗って言葉アンタのためのものかもな」
「なんだぁ?喧嘩するかコノヤロウ?」
「あとでいくらでもしてあげる」
「おいそれだと僕がやりたがってるみたいだろ!?」
「え?違うの?」
「違うに決まってんだろアホが!」
そんな言い争いをしてるとリナのスマホが鳴り、画面を確認するとアキトからの連絡だった。
「おっ、ちょうど良さげなタイミングでアキトから電話だ」
その後軽く話をしていた時行く手をスーツの男達が阻む。
『あいよ。ちょうどこっちもこれからゴタゴタするところだから』
「電話切ったのか?」
「うん。ちょうどゴタゴタ始まるしね」
「じゃあコイツらもボコボコにしてやろう」
「君が『覚醒』の戦姫を持つ青年だな?」
「だったらなによ?」
「君の身柄を拘束させてもらう!」
「なっ!?」
スーツの男達は戦姫を出さずそのままこちらを抑えにかかるが間一髪その攻撃を避ける。
「あっぶねぇ!?戦姫で白黒つけんじゃないのかよ!?」
「そんな非効率なことをするわけが無いだろう!すぐに取り押さえろ!!」
「おいおいマジか……」
「戦姫フィールド内でないと私もただのお人形に過ぎない。ここは逃げるぞ! 」
「運動嫌いなんだけど僕……」
来た道を引き返し、入り組んだ道を駆使し少しずつ距離を離していく。しかしそれでも、ぴっちりとマークしてくる者がいる。
「くっ!なんでスーツであんなに動けんだよアイツ!?」
「知らないけど、とにかく頑張るしかないわよ!」
「んな事言ったってなぁ……」
さすがに疲れが見え始めペースが落ち始めて折角距離を離していたのに徐々に詰められていく。そして遂には逃げ場のない場所に追い詰められてしまった。
「はぁ……はぁ………。マジで……………キツ。」
「ようやく追い詰めたぞ……」
「さすがにこれは………詰みか。」
諦めかけた時、吹き抜けの上の階からまた別のスーツ姿の男がリナと追いかけてきた男の間に降り立つ。
「こ、今度はなんだよ………」
「言ったはずだよ僕は。捕まえる前に戦姫大戦をしなさいと」
「み、ミカゲさん!?」
「誰の指示か分からないが、これがミシマの指示だと言うなら居場所を言いな?僕との約束が違うと。」
「そ、それは………」
「言えないなら仕方ない強制的に戦姫大戦を仕掛けさせてもらう。」
スーツの胸ポケットから数cm程度の錠剤のような形をした何かを取り出し、突起部分を押し込んだあと地面に投げる。するとそこを基準に戦姫フィールドが創り上げられていく。
「こ、これは…………」
「君の戦姫は出さなくていい。ここは僕が取り持つからね。行くよ『ヒマリ』」
「はい。分かりましたミカゲさま」
いつの間にか現れたその戦姫は既に戦闘の構えをとっていた。見た目は完全に和風で花柄の綺麗な袴を身にまとい、腰には刀を二本。背には長弓を背負い装備が僅かしかないがそれが明らかに風格が違うということを素人であるリナでも理解出来た。
「ミカゲさんとはやり合いたくないんですが、貴方がその気なら私もやらざるを得ない!」
スーツの男も戦姫を繰り出す。パッと見た兵装はとにかくミサイルを積んでおり、明らかに遠距離戦を得意とする戦姫で、相性が悪いように見える。
「すぐに終わらせミシマが何処にいるか吐いてもらう。加減はするなヒマリ」
「仰せのままに」
「いつも通りでいいから、とにかく近づけさせるな!全開放射撃をぶつけてやれ!!」
その言葉の後背部に装備されたマルチミサイル、肩部の三連ミサイル、脚部の二連ミサイル、腰部のレールガン、右手に持つアサルトライフルに左碗部に付けたガトリング砲全てをヒマリという戦姫に向けて放つ。その圧倒的な物量は戦姫に留まらず同じ『フィールド内』にいるプレイヤーにさえ、影響を与えるほどの火力と物量だが、ヒマリという戦姫はもちろん、そのオーナーであるミカゲという男すらも動じることなくただ眺めている。
「な!?これ僕らにも被弾するんじゃ……」
「自衛くらいはしな。」
「うぉい!?」
「さすがにこれは人が受けると死んじゃうから守ったげる。」
流れ弾でこちらに飛んでくるミサイルはかなが全て撃ち落としてくれてなんとかなったが、ミサイルを撃ち落とした爆煙でミカゲがよくは見えなく、安否が確認できなかった。
「ミカゲって言ったけ?大丈夫か!?」
「他人の身を案じれるほど余裕があるのか君は?」
「んな余裕はないが、助けて貰っておいて心配しない方がおかしいだろ!」
「面白い人だ君は。だからその娘とも巡り会えたのかもしれないな。」
徐々に煙が消え姿を確認できるようになり、彼に目をやるとスーツに汚れ一つ着いておらず、その上あの場から完全に一歩も動いていないのが伺える。
「お怪我はないですかミカゲさま?」
「僕は大丈夫だよ、ヒマリのお陰でスーツに汚れ一つ付いてないからね」
「しかし、こんなことを許してしまったのは私の落ち度です。早急に切り伏せるべきでした。 」
「自分に厳しいなヒマリは」
「次はこのような失態がないように更に精進していきます。」
「そのためにも彼の戦姫を倒さないとね。」
「はい。すぐに終わらせます」
恐らくあの物量を刀一本で凌いだのだろう。仮にそうだった場合、あのヒマリという戦姫は今の僕では到底敵わない相手であることは間違いない。なぜなら、あの物量のミサイルを刀で防ぎ切りそれでいて戦姫自身も無傷なのだから……
「何がなんでも近づけさせるな!近づかれたら終わりだと思うんだ!!」
「もう遅いです」
相手の指揮が通るその数刻の間にヒマリは敵の戦姫に近づき一太刀入れて納刀する。その瞬間彼女の武装が一刀両断され、彼女自身も深く切り伏せられて対戦が終了する。
それと同時に展開された戦姫フィールドは解除され先ほどのモールにと戻された。
「そ、そんな…………」
「あなたの処罰は僕が下す訳では無いですが、覚悟はしておいた方がいいかもしれないですね」
「助けてくれてありがとうございます」
「いや、別に感謝しなくてもいい。僕は単に君に興味があるから活かしてるに過ぎない。それに、偶然目的も同じだからそれに過ぎない。」
「は、はい……。」
「さて、と……。とりあえずミシマさんはどこにいる?早急に答えないと…」
「屋上のバトルスポットにいます!そこで指示を出してます!」
「うんいい子だ。すぐに口を割るなんていい子だね。そんな奴は会社にはいらないかもしれないけどね」
「!?」
「それじゃあ僕達は屋上に向かうね。」
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