テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
side:❤️
夕休みの空は、熟しきった杏のような色で染まっていた
校舎の裏手に続く階段の踊り場
影になった壁に背をあずける
ひんやりとしたコンクリートの冷気が制服越しに伝わり、少し寒い
「……あ、あの、好きです!付き合って下さい…!」
顔が少し俯かれる
垂れた後ろ髪が風に合わせてかすかに震えていた
西日に照らされた彼女の耳たぶは真っ赤に染まっていた
初々しく、まだ青い熱を灯した空気
❤️「ごめんな。気持ちは嬉しいけど、付き合えない」
喉を滑り落ちた声は低く乾いていた
いつもと変わらない、毎回同じ台詞
彼女の瞳が揺れ、地面に落ちた雫がスっとコンクリートに染み込んでゆく
最近はこうして想いを寄せられ伝えられる回数が増している
俺は周りより成長が早く、見た目ならば高二のらん兄とさえあまり大差ない
背が高く、どこか大人びて見えているらしいことは知っている
転校してきたここは中高一貫だ
高校受験のない大半の生徒達は浮ついた空気で過ごしている
けれど、差し出される好意の熱に、胸の奥が冷たく張り詰める
どうしても脳裏を掠めるものがあった
暗がりの中で首筋を撫でられる、あの生ぬるく粘りつくような視線
誰かの「特別」になることの恐ろしさが、重たい鎖が巻き付くようにのしかかる
「……そっか。急に呼び出してごめんね」
風が吹き抜け、彼女の長い髪を揺らした
擦れ違う瞬間に漂ったかすかな花の香りも夕闇の中へ淡く弾けて消えていく
そんな花梨のような空気感から友人が掬い上げる
「なっちゃんまた呼ばれてただろ!」
「ったく、これだからモテ男はよぉー!」
からかうような友人達の声を俺は苦笑いひとつで軽くいなす
「俺はおまえらといる方がいいわ」
本音を隠した軽口を叩く
最近の悩み
モテ過ぎて大変、そんな浅薄なものじゃない
家の空気にいよいよついていけなくなっているのだ
らん兄といる兄がよくしている言葉のない意思疎通
みこととこさめの肩を寄せ合って分け合う温もり
多くを語らずとも信頼し合える相棒的存在がそれぞれいる
しかし、俺だけが輪に入れていない
みんなの中には壁などきっと無いはずなのに、卑屈になってあるような気がしてしまう
自分の周りに落ちる影ばかりが酷く濃く見えてしまう
家族すら疑ってしまうような俺に誰か一人を愛するなんて、きっとできやしない
「なーつ?何してんだよ、置いてくぞー?」
友人の呑気な声に、俺は浅く息を吐き出した
冷えた手首をポケットの底へ押し込む
今日は少しばかり動きにくい顔に鞭を打って働かせ、振り向く
❤️「今行く、帰りに漫画買ってこーぜ」
最近、コメント返信できておらず申し訳ないです💦少し家庭がバタバタしてまして。
しばらくいいねのみの返信になること、ご了承下さい。
作品だけでもどうにか投稿したいところですが、投稿頻度が下がるかもしれません。申し訳ない限りですが、暖かく見守っていただければ幸いです。
今回も、ご覧いただきありがとうございました🙇🏻♀️
しゃιϯ 𓂃🫧
53
tomato
103
# 綺麗 に 腐った 罰
37
コメント
3件
ねーなっちゃんつらぁい😭家で仲良くなる未来を見たい😭コメント返しはもういいんで!無理せず頑張ってください!更新待ってます💘
おう... 誰かを愛せる気がしないならすちくんを愛してほしい すちくんを受けまで持っていってほしい(変態)
みぅ🤍🥀です…読ませてもらいました。 告白断るシーン、❤️の視点だからこそ「モテる」じゃ片付けられない孤独みたいなものがすごく伝わってきました。周りが自然に分け合ってる空気に自分だけ入れなくて、卑屈になってしまう感じ…すごく切なかったです。「誰かを愛せる気がしない」って言葉、重かった。 あと、作者さんの方から家庭がバタついてるって…本当にお疲れ様です。作品もコメントも無理しないでくださいね。待てるときは待ってますから…🌙