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「はァ…」
僕はこんなにも深い溜息をつく。
原因は…
『乱歩さーん!』
此奴…太宰治の所為なのだ。
此奴は先刻から
『駄菓子いります?』
『私と一緒に川に行きませんか?』
と、此の様に五月蝿いのだ。
此れには僕も頭を抱えた。
一通りの仕事を終え机に戻ると一通の手紙が
置いてあった。
『乱歩さんへ
仕事が終わり次第すぐに向かうので
首洗って待ってて下さい!!』
首洗ってって…何だか怖いが無視すればもっと
酷い目に遭うだろう。
全く、自分の名くらい書いておいてくれよ…
あいつはまだ来ないのか?
もうとっくに探偵社の皆は帰っている。
そんな時間まで待たせないでくれ。
『乱歩さん…お待たせ、致しました……』
息の切れた聞き覚えのある声が僕の耳を通る。
「太宰、さっさと用件を伝えてくれ。
待ちくたびれた。」
『あ、すみません。ええとですね…』
何だ此奴は。
急にモジモジして…
『私、乱歩さんの事が、好きです!!』
「…」
「…え?」
『やっぱり変、ですかね。同性愛者なんて』
「ちょっと待ってくれ。本当に僕をす、好きなのか?」
『…はい』
流石の僕でも理解が追いつかない。
なんたって僕を好きになる理由が分からない。
だからといって、振る理由も無い。
何だ?急に顔が熱いぞ?
「べ、別に、付き合ってやっても良いけど…」
『本当ですか?!』
「…じゃあ、帰ろ」
『はい!』