テラーノベル
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第25話 総攻撃、始めー!!
光希は深く息を整え、刀を正眼に構えた。
「ここで終わらせる!」
横からは日向が二本の刀を抜き放つ。
左右の刃が同時に閃き、互い違いに振り抜かれる。
「俺が切り込む!」
日向の二刀は片方は水気を、もう片方は風をまとい、嵐のようにアルベリヒへ斬りかかる。
アルベリヒは片手で炎の槍を生み出し、受け止める。火花が爆ぜ、刀身がしなる。
光希はその一瞬の隙を突いて斬り込むが、黒い炎の壁が立ち塞がる。
「ぐっ……!」
炎を振り払いつつも、光希は踏み込みを緩めない。
佳代は刀を握り直し、影を纏わせる。
影が地面を這い、アルベリヒの足元に絡みつく。
「今!」
佳代が叫ぶと同時に、炎が刃を包み、横薙ぎに斬りつける。
アルベリヒは咄嗟に後退し、炎の外套を広げて受け止める。
「……なかなか面白い」
不敵な笑みを浮かべるアルベリヒ。
「光希…光希さんを援護する!」
晴翔が声を上げ、刀を振る。
刃から光が放たれ、炎を押し返す。
その隙に晴翔が走り込み、低い姿勢から斬り上げる。
「はぁぁっ!」
鋭い斬撃がアルベリヒの肩をかすめ、血が飛び散る。
「チッ……!」アルベリヒが怒りを込めて炎を爆発させる。
後方では柑奈とお鶴の方が弓を引き絞る。
「狙いを合わせて……!」
二人の矢が炎を裂き、まるで稲妻のように突き抜けた。
一矢はアルベリヒの腕を貫き、もう一矢は炎を散らして仲間の進路を作る。
「今だ、押し込め!」柑奈が叫ぶ。
林は冷静に狙いを定め、銃を連射する。
銃弾はアルベリヒの炎を突き破り、足元へ叩き込まれる。
「立ち止まらせる!」
そこへ小河が斧を振りかざし、炎を力任せに切り裂いた。
「おらぁぁっ!」
重い一撃が地面を揺らし、アルベリヒを一歩後退させる。
「全員、下がって!」
西円寺が叫び、結界を展開する。
「おい無茶するな!傷が開く!」
林が叫ぶ。海斗に刺された腹の傷のことを心配しているのだろう。
「大丈夫!動けてるから。」
西円寺は再び作業を進めた。
炎が襲いかかる瞬間、素早く透明な壁が前に広がり、爆発を食い止める。
「今なら耐えられる!」
その結界に守られ、仲間たちは一斉に前進する。
光希と日向が同時に斬りかかる。
蓮人と晴翔が左右から挟み込む。
佳代の影がアルベリヒの足を縛り、炎が爆発する。
柑奈とお鶴の方の矢が追撃し、林の銃弾が隙間を突く。
小河の斧が地を割り、西円寺の結界が仲間たちを守る。
「これで――終わりだッ!」
全員の攻撃が一点に集中し、アルベリヒの炎が押し潰される。
爆音と共に黒炎が四散し、アルベリヒの身体が大きく揺らされた。
アルベリヒは膝をつきながらも、なお笑みを浮かべた。
「……見事だ。だが――これで終わったと思うなよ」
漆黒の炎が再び立ち昇り、戦場に緊張が走った。