とにかく、菜々子先輩、夏希、梨花ちゃんも楽しんでいるみたいだし、他のメンバーもみんな笑顔で良かった。
なんかホッとする。
今日は朋也さんの歓迎会なのに、私達の方が楽しみ過ぎ…だよね。
こんな素晴らしいバーベキューを主催しても、朋也さんは全然偉そうにしない。
自分がアートディレクターの立場になったし、みんなとの距離を縮めようと頑張ってるようにも見えた。
私に対しての強引さはまだまだあるけど、年上には当たり前のように敬語も使えるし、周りへの気配りも出来たりと、朋也さんってすごく常識人なんだって思う。
会社を背負う大変さは計り知れないだろう。
私には全然わからないけど…
朋也さんは、きっとたくさんの思いを持って生きてきたんだろうな…
私のところで将来をゆっくり見つめ直したいと言ったことは、きっと本心なのかも知れない…
『恭香ちゃん、食べてる?さっきからお手伝いばっかりしてるけど』
一弥先輩が、優しく声をかけてくれた。
『あ、はい、全然食べてます。あんまり美味しいから食べ過ぎて、ちょっとお腹いっぱいになってきました』
『うん、僕も。久しぶりにお腹いっぱい食べたよ。本宮君のバーベキューは予想を遥かに上回ったね』
2人で笑った。
『最高でした。生まれて初めてこんな美味しいの食べました』
私、今日は心から笑えてる。
この人にフラれて泣いてたの、ほんの数日前なのに…
私の人生の中で、この数日間はいろんなことが起こったとっても濃い時間になってる…
『ねえ、恭香ちゃん…今度、良かったら映画とか見に行かない?』
ん?
映画見に行かない?って…
どういう意味だろう…
『あ、あの…』
その先の言葉が出てこなかった。
一弥先輩、菜々子先輩がいるのにどうして私を誘うの?
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