コメント
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こういうのすごい好きです
アメ日帝
ある日の昼下がり。街を散策していると白いワンピースに身を包む女が居た。その美しいものへ俺は歩み寄る。
「ね、そこのお嬢さん、今空いてる?」
「なんの目的ですか。」
この顔はやはり。
「はは。やっぱそうだよな」
「もう、。折角いい休日になると思っていたのに。」
俺の顔を見て不機嫌になった彼女を宥めながら近くの喫茶に入る。
「ほら日帝ちゃん。何がいい?」
「貴方が私の名前を呼ばないで。」
彼女は紅茶とアップルパイを頼んだ。
「子供のクセにコーヒー等、貴方も女の前で格好を付けたくなるのですね。」
「、、男はそういう生き物なのさ」
この場を和ませようと努力するもこの想いは彼女に届かない。暫く沈黙のひと時を過ごすことになった。それにしても思うことがある。彼女のテーブルマナーがなんとなく親父に似ている。だが親父の様な気味の悪さはない。腹を探られていない様で、。彼女の前にいると安心する。
「ご馳走様。」
「ああ、。」
「勿論お代金は貴方が払うのですよね?」
「そうだとも。」
「あ、あと一つだけ。」
「ん?」
「私は絶対貴方の背中を越して見せます。お覚悟を」
彼女が俺に突き刺したその視線は、心の根底にこびりつく確固たる意思だった。まさか彼女からこの様な宣戦布告をされるとは。
「いつでもどーぞ。その時はちゃんと俺が迎えに行ってやるからさ。」
窓越しから見える、どんどん遠のいて行く彼女の細い腰を目で追う。太陽は星を追わずにはいられないのだろう。だが決して追いつく事はない。俺はそんな彼女に手を伸ばし、ただただ眺めるだけだった。