「ここで、華さんのおにぎりを食べませんか?」
「ああ、そうだな」
眼下に街のパノラマがよく見える、丸太を縦に割った造りの木のベンチに腰かけて、おにぎりにかぶりついた。
(こういう和やかなひとときっていいな……)
空気も爽やかだし、華さん手づくりのおにぎりもとってもおいしくて、ましてやあのHASUMIのCEOと、こんなにもほのぼのとした時間を一緒に過ごせるなんて……。
「どうぞ」
お茶を注いだカップを、隣り合って座る彼へ手渡す。
「ありがとう」
指先が微かに触れて熱を持つのを、じっと目を落として見つめた。
空はよく晴れて、白い雲の合間からオレンジ色のお日さまの光が降り注ぐ。
「気持ち、いいですね」
しばらく黙って見つめていた自らの手から視線を外し、青空を仰ぐと、山の澄んだ空気を思いっきり吸い込んだ。
「ああ、君とドライブができてよかったよ」
あたたかな言葉とともに向けられた彼の笑い顔は、柔らかに降り注ぐ陽射しそのままを感じさせた……。
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