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君と俺は磁石のよう。
触れないほうがいいと、最初からわかっていた。
それでも、君が近づくたび、世界の向きが変わる。
離れていても、引き寄せられるー。
窓は夕焼けを映していて、空気は甘く重かった。
💚離れたほうが、楽なんだよ
君はそう言いながら、指先で磁石を回す。
でもその手は、俺の方を向いている。
近づく。
わずか数センチ。
まだ触れていないのに、体が熱を持つ。
引き合うのは、意思じゃない。
理由も、約束もいらない。
ただ、そうなってしまう。
🩷「もし、くっついたらどうなると思う?」
俺の問いに、君は答えない。
代わりに、そっと磁石を近づける。
——カチリ。
乾いた音。
でも、その瞬間、心臓が跳ねた。
離そうとすると、抵抗がある。
無理に引き離せば、形が歪むかもしれない。
💚「ねえ」
彼の声は低くて、静かで、
💚「このままでも、いい?」
その問いは、磁石じゃなく、俺自身に向けられていた。
危ういと知っている。
誰かに見られたら、説明できない。
でも、離れる理由より、引き寄せられる理由のほうが強い。
俺は答えの代わりに、そっと距離を詰めた。
触れない。
けれど、確かにそこにある引力。
世界が赤と青に分かれていても、
境界線の上で、俺たちは同じ温度を持っていた。
離れられないのではない。
離れたくないと、もう認めてしまっただけ。