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私はカゴメ、どこにでもいる普通の人間だ。

田舎でも街でもない中途半端な土地に住む私は、今年から実家を離れ、学校の寮生活になる。


義母「カゴメちゃんもう行っちゃるけん?」


カゴメ「うん、夏休みにはお兄ちゃんと帰ってきますね」


義父「危ねぇ目に会わんよう気ぃつけるね」


涙ながらに私を見送るのは、二本のツノが生えた鬼の夫婦。

人間の私を育ててくれた、優しい両親だ。


カゴメ「ええ、二人も病気とか怪我とかに気を付けて、行ってきます!」


長い間練習して、ようやく乗り慣れたほうきにまたがり、目的地の学校へ向かう。

あの夫婦はきっと私が見えなくなってもずっと見守ってくれるのだろうと思うと、とても心強かった。


休憩を挟みつつ二時間ほど、ようやく目的地の学校が見えてきた。

これからこの場所で、同年代の人達と学び、競い、お互いを高めあうのだと思うと、不安と期待で胸が高鳴った。


?「おい!前みろ!前! 」


カゴメ「え?きゃあっ!?」


突然、右側から男らしいだみ声が聞こえた途端、明るい髪の小柄な少年が突進してきた。

危うく落下してしまうところだったが、なんとか体制を立て直すことができた。


?「うわぁ!?ごめんね!大丈夫?」


先ほどの声と違い、少年らしい高めの呑気そうな声色に、私は思わず苛立ち、不満と怒りの声をぶつけた。


カゴメ「大丈夫?じゃないわよ!空中でよそ見だなんて危機感足りてませんの?!」


?「ひえぇ?!ごめんなさい!ほんっとごめぇん!!」


?「すまねぇ!こいつほんと馬鹿でさ、とりあえず降りて怪我だけでも確認させてくんねぇか?」


私と呑気な少年の間を割ったかなりガタイの良い男性がなだめる。

色々言いたいことはあったが、空中だということもあり、渋々男性と少年の後を追い、地上に降りることにした。


?「怪我はしてなさそうだな、ごめんな、もう落ち着いたか?」


カゴメ「え、えぇ…もう大丈夫」


地上に降りてすぐ私に怪我が無いか確認をし、安堵してすぐに眉を下げて謝る男性に、すっかり頭が冷えてしまった。

それと同時に、さっきから横でペコペコと頭を下げている少年に、少し申し訳なさを感じた。


?「ほんっとごめんね?」


カゴメ「もういいわよ、私こそ…言い過ぎて……悪かったわ」


?「…!よかったぁ!」


阿形「俺、阿形っていうんだ!今年から燈湎魔法学校の生徒になるんだよ!」


隈取「俺は隈取だ、こいつと同じ新入生」


カゴメ「えっ!あ、貴方達も燈湎魔法学校に入学されますの?」


流れるような自己紹介と、彼らが同じ学校、しかも私と同じ新入生であることにとても驚いた、と同時にすごく嬉しくなった気がした。


カゴメ「私も…あ、私はカゴメ。私もその学校に入学しますの!」


阿形「そうなの!?よろしくね!」


隈取「よろしくな!カゴメ!」


カゴメ「ええ、よろしく!」


カゴメ「…て、こんなことしてる場合じゃない!早く行かないと遅刻だわ!」


そうだ、入学式早々に遅刻だなんてあってはならないと、すぐさまほうきで空を飛ぶ。

私の言葉にハッとした様子の二人も、慌ててほうきにまたがり、後を追ってきた。


阿形「わわっ!?待ってよー二人ともー!」

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燈湎魔法学校(ひめんまほうがっこう)、通称湎校(めんこう) 明治初期から存在する由緒正しき魔法の学び舎 18〜23歳の6年間、学寮での生活を行う

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