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彼と出会って私の人生は大きく変わった。
私は、長年付き合っていた彼氏と別れることになった。原因は彼氏の浮気。心にぽっかり穴が開いたような気持ちで家を出た。今までの生活を変えたくて、思い切って荷物をまとめて引越しを決意。
心の中で、新しいスタートを切るためには何か大きな変化が必要だと感じていた。
その日、引越しが終わった後、ちょっと落ち着くために近くのカフェに立ち寄った。
店内は静かで、外から差し込む夕日の光が柔らかくて、心を落ち着ける。
そんなとき、ふと目に入ったのは、
あの…吉沢亮さんだった。
彼はひとりでカフェの隅でノートパソコンを開いて、何かを書いている様子。
最初は気づかなかったが、何度も目が合っているうちに、お互いの目線が重なる。
最初は照れて目を逸らすも、彼がにこっと笑って手を振った。
「あ、すみません。あなた、どこかでお会いしたことありますか?」
私は驚いたけれど、すぐに答えた。
「いえ、ないと思いますけど…。」
「そうですよね。でも、なんだか見覚えがあるような気がして。」
吉沢さんは少し笑いながら、続けた。
「僕、よくここで仕事をしているんですよ。偶然会ったので、ちょっとお話ししてもいいですか?」
私はどうしても無視できないほど彼の優しい声と雰囲気に引き寄せられ、思わず「はい」と答えてしまう。
そこから私たちは自然に会話を続け、お互いのことを少しずつ話すように。
最初は気まずい沈黙もあったけど、次第に私の心の中にあった不安や悲しみが溶けていくのを感じる。
吉沢亮さんが語る映画の話や日常の小さなこと、仕事の裏話など私はすっかりその場の雰囲気にのめり込んでいた。
「実は、今日はちょっと落ち込んでいて…。」私がぽつりと呟くと、彼は優しく頷いて、
「そういう日もありますよね。僕もよくあります。」
と、肩の力を抜いたような表情で答える。
カフェを出るとき、吉沢さんはちょっと遠くの駅まで一緒に歩こうと提案してくれる。
「もしよければ、また会ってお話ししませんか?いつでも時間があれば。」
と言って、彼は笑顔で手を振りながらその場を去った。
その瞬間、私は心の中で何か新しい可能性が生まれたような気がした。
別れの痛みから少し解放されたような、そんな不思議な気持ちが広がっていった。
翌週、私はあの日のカフェでのことを何度も思い出していた。
吉沢さんと話したことが、まるで夢のようで、心が軽くなった感覚を今も覚えている。
そんなある日、ふと携帯を見ると、あのときに交換した連絡先にメッセージが届いていた。
「こんにちは、吉沢です。あのときは楽しかったですね!もしお時間あれば、またお話ししませんか?」
一瞬、驚きと嬉しさが入り混じった。私はためらうことなく返信を打つ。
「こんにちは!もちろん、お時間合えばお話ししたいです。」
それから数日後、再びカフェで会う約束をすることになった。
その日は、前回よりも少しリラックスした雰囲気の中で再会した。
吉沢さんは前回と変わらず穏やかな笑顔で迎えてくれた。
「久しぶりですね。今日は何か新しいこと、あったりしましたか?」
と彼が尋ねると、私はちょっと考えてから答える。
「実は、まだ色々整理できてないことがあって。前の彼氏とのこともそうだけど、何をしたいのか、どうすればいいのか、よく分からなくて…。」
吉沢さんは、少し真剣な表情を浮かべた後、静かに言った。
「無理に答えを急がなくていいと思いますよ。僕も、昔はそうだったんです。急いで答えを出さなきゃいけない気がして、焦ってばかりだった。でも、気づいたら、何もかも少しずつ解決していったんです。」
その言葉に、私は不思議と安心感を覚えた。自分のペースで歩んでいけばいいんだ、そんな風に感じた。
「ありがとう、吉沢さん。あなたと話してると、なんだか前より少し楽になれる気がする。」
彼はにっこりと微笑んで、
「それなら、よかった。僕も、あなたと話すのが楽しみなんですよ。」
と言った。
その後も、二人は何度か会うようになり、少しずつお互いを知っていった。
吉沢さんは、私にとってただの映画俳優ではなく、心の支えとなる存在になっていった。
そしてある日、彼が言った。
「もしよければ、今度一緒に映画を見に行きませんか?僕のお気に入りの映画があるんです。」
私はその提案に少し驚きつつも、心から嬉しくなった。
「はい、行きたいです!」
映画館で二人きりで過ごす時間は、まるで夢のようだった。
画面の中の物語に心を揺さぶられながら、私は彼との距離が少しずつ縮まっていくのを感じていた。
映画が終わった後、吉沢さんは静かに言った。
「今日はありがとう。なんか、久しぶりに心から楽しめました。」
私は笑顔で応えた。
「こちらこそ、楽しかったです。」
その後、少し黙ったまま歩いていると、吉沢さんがふと立ち止まり、私を見つめた。
「実は、こうして一緒に過ごす時間が増えていくたびに、君のことをもっと知りたいと思うようになってきました。」
その言葉に、私は心の中で何かが弾けるような感覚を覚えた。
それは、まだ新しい一歩を踏み出す準備が整った証拠だった。
「私も、吉沢さんのことをもっと知りたいです。」と、自然に言葉が口をついて出た。
彼は少し驚いた表情を見せた後、ゆっくりと微笑んだ。
「じゃあ、これからも一緒に歩いていこう。お互いに。」
その言葉が、私にとっての新しい始まりを告げているように感じられた。
第1話
ー完ー