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若井くんが大学へ通いだして早2年。
僕たちは変わらず仲良く過ごしていた。勉強とアルバイトで忙しい若井くんと授業の用意やテスト期間中はなにかと忙しい僕たちだけど出来るだけ時間を作って会おうね、と話し合っていて今日は久しぶりに大学が終わった彼を迎えに行って食事でも行こうということになっていた。
「あ、きたきた···」
遠くで若井くんが手を振る。
···と、その隣には数人のお友達。
僕を見て誰だろう、という顔をしている。当然だ、年上の男の人がっているんだから。
「ごめんっ、お待たせ」
「ううん、さっき来たところ」
平気だよ、と笑うとお友達たちがたくさん話しかけてくれる。
「だれー?若井のお兄さん?」
「なんか全然似てない、めちゃくちゃ優しそうだし」
「金髪似合う、綺麗ー」
「友達?」
「あー···」
ちらっと僕の顔を見てなんて答えるか考えているのがわかってしまった。
そうだよね“恋人”なんて言えるわけない。
「元、先生なんだよ。僕こう見えて音楽の教師なの」
「えー!先生かぁ、仲いいんだね」
「確かに音楽の先生っぽい!」
納得してくれた彼らはじゃあまた、と挨拶して帰っていった。
ふと視線を感じて振り向くとお友達の1人、女の子がこちらを見ていた。
目線が合って小さく会釈すると向こうも同じように会釈してくれて、 急いで友達に追いつこうと走って行った。
「ごめん、騒がしくて」
「···可愛い子たちだね」
「えっ、だめだよ先生!浮気しちゃ」
なんで僕、と思いながらもしません、と言うと若井くんはにこっと笑って俺の腕に手を回した。
「お腹空いたから、ご飯いこ。先生は何食べたい?ほら、こことかどう?」
僕に纏わりつく若井くんは友達に見せていた顔とは違って甘えているような感じで凄く可愛かった。
久しぶりに泊まって行ってとせがませれて若井くんの家でお風呂を借りてルームウェアも借りてベッドに座ると隣にやってきて手を握ってくる。
「久しぶりに会えて嬉しかった···」
「ふふ、だから甘えてるんだ」
「ごめん、キモいよね」
「そんなこと思うわけないでしょ?最高に可愛い」
しゅん、とする若井くんにキスをすると、すぐに嬉しそうになる。
そんなところも可愛いなと思う。
いつもならだいたいそこから押し倒されて···という流れなのに何にもしてこなくて手を繋ぐだけで。
ちょっと期待してた僕は堪えきれなくて抱きついて耳元で囁く。
「···今日、しないの?」
「いや、したいけど···そればっかりとかヤりたいだけとか思われたらやだなって···」
「そういうとこ意外と真面目だよね」
「だって先生に嫌われたくないし···って意外とかさぁ···」
俺は大真面目です、っていいながら抱きしめ返してくれる若井くんの久しぶりに感じる体温とか匂いに心も身体もきゅん、と反応してしまう。
「僕はしたいよ」
「···ほんとに?」
「会えない時も若井くんとしたくて仕方が無かった。いっぱい欲しくなって苦しかった」
ズボンの上からそこを撫でると反応してくれてて嬉しくなる。
僕だけじゃないんだってわかって。
「準備もしたからすぐ挿れても平気···だからしよ?」
「〜〜っ!先生好き、俺もしたかった」
余裕がない感じで服を脱いで床に落ちていく音がする。
僕の服も優しく脱がされてそのあとに続いた。
本当に余裕なくキスをたくさん繰り返しながら少しだけ中を確かめて、いい?って目で訴えられる。
いいのに。
若井くんになら少しくらい酷くされても···だからそんなことはしない彼が最後にいきそうになるときだけ強く自分が気持ちいいようにされるのが好きだ。
「好き、大好き、気持ちよすぎて···ごめん···」
「んっ、いいよ、一緒に···僕も、ずっとこうしたかった···っ、ぁ、いい、すきっ···」
くったりと僕に身体を少しだけ預ける、その重みが心地良い。
そのあとはちゃんと僕のことも色々綺麗にしてくれてぴったりとくっついて眠る若井くんの髪を指先で軽く梳く。
「こんなに好きになるなんてねぇ」
もう2年、慣れるとか飽きるとかになるどころかますます若井くんのことを愛おしく大切に思う。
そしてそんな綺麗な感情だけじゃ足りなくて僕はますます素敵になっていく彼をもっと欲しいと僕を欲しがってほしいと強く思うようになっていた。
初めての恋人。
家族もいない僕にとってたったひとりの大切な人。
「好きだよ」
その少し大人っぽくなった顔を撫でる。あの日渡した合鍵は今も彼の家の鍵と仲良く揺れているけど、その効果はちゃんと続いているのかなと不安になる。
卒業しても表向きの関係は「元・教師と教え子」だ。
あの可愛いお友達たちが羨ましく思う僕はなんて贅沢で烏滸がましいと思うから若井くんには言わないけど。
「好きなんだよ」
誰にも取られないように手を重ねて僕も眠りについた。
それからしばらく新学期が始まったことで担任を受け持った僕は忙しく、また若井くんも新学年として忙しいようだった。
前々から入っていた音楽サークル活動も新入生が入って来たからちょっとは活動しろ、と友達に言われたようで歓迎会やら楽しく忙しくしているようだった。
『ごめん、なんか夜も忙しくてあんまり会えなくて』
『そういう年頃だからね、無理しないで。僕もそういう時あったから。落ち着いたらゆっくりどこか泊まりで出掛けよう 』
若井くんからのメッセージに理解あるような返事をして書類の作成に戻る。
僕自信はサークル活動をしいていたわけでもアルバイトに必死だったわけでもないけど、そうとでも返しておかないと余計なことを言ってしまいそうだったから。だめだ、と軽く頭を振って目も前のプリントを見つめて手を進めた。
ある夜、その日も帰るのが遅くなってしまって疲れたから甘い物が食べたいとコンビニでスイーツを選んでいるとふと若井くんも喜ぶかなって思って彼の分も買って家の前を通って帰ることにした。
住宅街だからあたりは静かだったから、家の前まで来た時に話し声が聞こえて思わず立ち止まってしまった。
「泊まっていっちゃだめ?」
「だめだろ、早く帰りなよ」
「前は泊めてくれたのに!」
「それはみんないたから。まだ終電までかなりあるよ」
若井くんと···女の子の声。
玄関の前、木の隙間から2人が外で話しているのが見えた。
盗み聞きしていることになってしまってだめだ、と思いながらもそこから動けない。
「ってかなんであいつらも勝手に先に帰っちゃうかな」
「私がお願いしたから。若井くんと2人きりになりたいって。好きだから···」
「は···?いや、ごめん···」
「彼女いないって聞いたよ、私じゃだめ?」
「···付き合ってる人いるから、ごめん」
「ほんとに?それでも好き、お願い今日だけ一緒にいたい···」
どうしよう。
聞きたくない、どうしよう、とぐるぐる考えているとガタッと音がして2人の姿が重なった。
抱き合ってる···?
その瞬間、来た方向へくるっと振り向いて僕は走り出していた。
カシャカシャとレジ袋がうるさい。
家に着くと床にぺたりと崩れ落ちてしまった。久しぶりに全力で走って息が苦しい。
別に若井くんは悪くない。
ちゃんと恋人がいるって断ってたし、泊まったのもみんないる時だったみたいだし。
それでも僕の気持ちは床に転がっているケースの中でぐちゃぐちゃになったケーキみたいだった。
若井くんからのメッセージを初めて読まずにスルーしてしまった。
少しすればまたいつも通りになれるからと思い込んで朝も、昼も、夜も。
何通も送ってくれるそれを無視してしまっていた。
コメント
10件
うわぁこれからどうなっちゃうのよ😭続きが楽しみです!
仲良い2人にニコニコしていたら…🥹 もうこの1話だけで感情が🎢です😭 涼ちゃん不安になっちゃったのね😭 でもメッセージスルーしないで〜💦
前半の甘さにうっとりしていたら……切ない🥹‼️ 若井くんはめちゃくちゃ誠実だけど、やっぱり先生は引け目を感じちゃいますよね。。 最後が不穏で心配です💦はやくメッセージ読んで〜😭