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みら

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コメント
4件
新作はホラーだった😭 ホラーは駄目、💙の映画の主題歌を劇場で聴きたかったけど絶対無理で諦めた😭 だけど頑張って最後まで読む😤

おはようございます 一気に読みました。 本当に3人食べたの… ワクワクドキドキ💓恐怖も有るのだが 読んでいて楽しい 駆け引きどうなるんだろう 続き楽しみです😊待ってます♪
それから阿部は、何時間も洋館の中を歩き回った。
できるだけ足音を立てず。
同じ場所を通らないように気をつけながら。
目黒の姿が見えれば、すぐに物陰へ隠れた。
一度。
二階の廊下の先に目黒の姿を見つけた。
阿部が慌てて近くの部屋へ逃げ込むと。
目黒は追いかけてこなかった。
また。
遊ばれている。
そう思った。
それでも。
捕まらないことだけを考えて動き続けた。
そして。
ようやく。
「……ここ。」
調理場を見つけた。
広い。
昔の洋館らしい調理場。
大きな作業台。
食器棚。
調理器具。
今でも使われているのか、思っていたより綺麗だった。
阿部は扉を閉める。
すぐにショルダーバッグから懐中時計を取り出した。
「……。」
午前二時。
夜明けを五時頃だと考えれば。
後、三時間。
「長い……。」
もう何時間も逃げ続けている。
足は痛い。
精神的にも疲れていた。
でも。
あと三時間。
逃げ切れば。
帰れる。
「頑張ろう……。」
阿部は懐中時計をバッグへ戻した。
そして。
調理場を探し始める。
ここなら。
何かある。
引き出しを開ける。
スプーン。
フォーク。
調理器具。
「違う……。」
次。
布巾。
次。
「……あった。」
小さなナイフ。
果物を切るためのものらしい。
阿部は手に取った。
刃先を見る。
小さい。
これで吸血鬼と戦えるとは思えない。
でも。
何もないよりはいい。
「持っておこう。」
ショルダーバッグへ入れる。
そして。
戸棚を開けた。
「他に……。」
何か。
もう少し使えそうなもの。
奥まで探す。
皿。
グラス。
保存容器。
そして。
「……これ。」
ステーキ用のナイフ。
果物用よりは大きい。
阿部は一本手に取った。
「銀だったら……。」
吸血鬼に銀が効く。
そんな話を聞いたことがある。
本当に銀製なのか。
見ただけでは分からない。
でも。
試す価値はある。
その時。
ギィィィ……。
「……!」
調理場の扉が開いた。
阿部の心臓が跳ねる。
(来た。)
考えるより先に。
近くにあった大きな棚の陰へ隠れた。
ナイフを握ったまま。
しゃがみ込む。
コツ。
コツ。
足音。
「……。」
阿部は口元を押さえる。
息をする音すら怖い。
コツ。
コツ。
ゆっくり。
近付いてくる。
(お願い。)
(気付かないで。)
足音が止まった。
「……。」
静かになった。
阿部は動けない。
目黒がどこにいるのか。
分からない。
何秒か待つ。
何も聞こえない。
(行った……?)
阿部は恐る恐る。
棚の横から顔を出した。
「……。」
そして。
目が合った。
「……っ!」
すぐ目の前。
目黒がいた。
「見つけた。」
嬉しそうに笑う。
阿部は頭が真っ白になった。
逃げないと。
でも。
目黒が近すぎる。
目黒が手を伸ばす。
その瞬間。
阿部は。
自分が何を持っているのか思い出した。
「来ないで!」
咄嗟に。
手に持っていたナイフを刺した。
目黒も。
避けなかった。
ナイフが目黒の胸元へ刺さる。
「……!」
阿部自身が一番驚いた。
「……。」
目黒が止まった。
阿部も止まる。
(効いた?)
一瞬。
そう思った。
でも。
次の瞬間。
目黒が笑った。
「……。」
阿部の背筋が冷たくなる。
(逃げなきゃ……。)
すぐに立ち上がる。
目黒の横を通り抜け。
扉へ走る。
「っ……!」
廊下へ飛び出す。
振り返らない。
ただ走った。
___________
調理場。
一人残された目黒は。
胸元を見る。
ナイフが刺さっている。
「……。」
普通の人間なら。
到底笑っていられない。
けれど。
目黒は。
楽しそうに口元を緩めた。
「すごい。」
ナイフの柄を握る。
そして。
何でもないように引き抜いた。
床へ。
ナイフが落ちる。
カラン。
胸元についた傷は。
すぐに塞がり始めた。
「武器、探してたんだ。」
目黒は小さく笑う。
逃げるだけではなく。
自分を倒す方法まで考え始めたらしい。
「可愛いなぁ。」
目黒は床へ落ちたナイフを拾う。
刃を見る。
そして。
阿部が逃げていった扉へ視線を向けた。
「でも。」
目黒は笑ったまま。
静かに呟く。
「銀なんて使うわけないでしょ。」
自分の弱点になるものを。
わざわざ屋敷に置いておくはずがない。
「あと三時間。」
目黒はナイフを作業台へ置いた。
すぐに追いかけることはしなかった。
「もう少し遊ぼうかな。」
阿部はきっと。
今の攻撃が効かなかったことに気付いている。
次は。
何を考えるのだろう。
何を使って。
どう逃げるのだろう。
それを想像するだけで。
目黒は楽しそうに笑った。
「頑張ってね。」
そして。
また少しだけ時間を置いてから。
ゆっくりと。
阿部を探すために歩き始めた。