窓の隙間から吹く風が、机の上のプリントを窓際に飛ばした。
___はい声出してーーーー!!!
___おっけーいいよーー!!!
外では男子テニス部の活気溢れる声が響いている。
廊下側からは吹奏楽部の練習音が聞こえる。
騒がしくも静かでもないこの空間は嫌いじゃない。むしろ、といったところだ。
廊下を歩く音が聞こえてきた。
「よっ」
別の紳士だ。
「うわ〜涼し〜、俺もここでバドやりたい」
「来るの久しぶりだね」
「部活午後からだけど早めに来たんだよね」
そう言い、窓に近い席に座った。
「あれ、部員一人来るようになったんじゃなかったっけ?」
「ああ、今日は俺が勝手に来ただけだから」
「そうなんだ」
___次上岡ーー!!!
___お願いします!!!
立ち上がって、窓の外を見下ろす後ろ姿をなんとなく見つめた。
「俺、ちゃんと振られたんだ」
「え?」
「幡中さんに振ってもらった」
顔は見えなかったが、きっと微笑んでいる。
「今後も俺を好きになることは多分ないって」
「、、そっか」
「連絡したり話しかけたり色々頑張ってたつもりだけど、全然脈ないのわかってたから、ちゃんと振られて諦めようと思って」
「…俺なら佐倉選ぶよ」
「、、あははっ、どういう慰め方だよ」
佐倉は席に戻った。
「佐倉、俺が仲良くしてきた人の中で一番いい奴だよ」
「、、何、なんか奢ってもらおうとでもしてる?」
俺は、ふっと軽く笑った。
「大丈夫、俺意外と立ち直り早いから。あと3日もすれば完全に吹っ切れるよ」
「そっか、強いな」
「、、宇治は?」
「え?」
「幡中さんのこと好きじゃないの?」