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ー花崎sideー
燈李が急にそう言った。俺は食器を片付けて、それからまた燈李の目を見て言った。
「俺が怒るようなことを燈李がしてないから」
「…いや、でも俺」
もしかしてこの前の朝のことを気にしてるのだろうか。
「燈李が怒鳴るのは仕方の無いことだ。聞かれて嫌だったんだろう?嫌だと言えることに俺は少し安心した」
「じゃあ…俺が、昨日の夜の…あれは」
「あれは心配が勝った。どうしようって、早く燈李を見つけなきゃって思った」
「捨てようと、思わなかったんですか」
「思わないよ。俺が拾ったんだから」
「もし、俺が花崎さんの機嫌を悪くしたら…」
「そんなの普通の家でもあることさ。そんだけで捨てたりしない。俺は燈李を捨てない」
まだ信頼されていなかったことに気づいて内心傷つく。俺はまだこの子を安心させてあげられていない。この子は捨てられるかもしれないという恐怖の中で生活していたんだ。
「施設の人から聞いた俺の親は一言でいうと不安定だったらしいです」
燈李は突然、自分の過去について話してくれた。
「両親は俺を育てられるような経済力は無くて、だから施設に預けたらしいんです。その時の母はとにかく生きているのか死んでいるのかもわからないような状態だったそうです。父は俺が施設に来る時には亡くなっていました。施設の人は宮村家を複雑な家庭だとすぐに判断したらしいです」
「…うん」
「施設では大切にされてきました。外見のせいで人付き合いが上手くいかなくても、先生だけはずっと俺の味方でいてくれた。正直、あのまま施設にいれたらと何度も思いました。でも、5…6歳の時に松田という夫婦が俺を選びました」
「選んだ?」
「松田夫婦は子供ができないことがわかっていました。だから施設に来て、養子を取ろうと思ったらしいです。最初、俺は松田夫婦にとてもよくしてもらいました。でも、俺の荷物を見て、通帳を見つけて態度は一変しました」
「それが、前に話してくれたあれか」
「番号が分からないと知り、夫婦は興味をなくして俺を知り合いの家、藤井家に預けました」
それまで何年…何ヶ月その家にいたのだろうか。話を聞く限りとても短かったのではないだろうか。
「その家の人は急に子供を預かれと言われて困っていました。俺を気味悪がり、毎日殴り続けました。俺は耐えきれなくなって、藤井家を出ました」
「その後は、どうしたんだ?」
「警察に保護されました」
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コメント
1件
うわ、燈李の過去エピソード重すぎる……。「捨てようと思わなかったんですか」って聞く燈李の声が震えてるのが目に浮かんだよ。それに対して花崎が「俺は燈李を捨てない」って言い切ったところ、ガチで胸にきた。施設での話、松田夫婦の裏切り、藤井家での虐待、全部積み重なって今の燈李ができてるんだなって思うと息が詰まる。でも「拾ったんだから」って花崎の覚悟が灯ってる感じがして、なんとか次を読める気がする。続きが気になるわ。