ある朝。今日はまだラウンドに呼ばれていないので、後々に備えて杖の手入れをしていた。…と、横から視線を感じる。
「👀✨️」
隣に目をやると、杖…ではなく、私の顔を凝視しているTaphがいた。Taphもラウンドに呼ばれていないようで、先程までは暇そうにトラップを弄んでいた。
「うーんと…どうしたんだい、Taph?」
問いかけるが、Taphは答えない。
「私の顔に何かついているかな…?」
不安になってそう尋ねると、Taphはハッとしたように体を揺らしたあと、そんなことはないと言うように首を横に振った。
「🎃🪄🛠️🔚❓️」
「うーん…まだ終わりそうにはないかな…この後、まだ確認もしなければならないからね」
「🫡❤️🔥👋」
「ありがとう、頑張るよ」
一通り会話を終えると、Taphは席を立ち、自室へと戻っていった。私も杖の手入れへと意識を戻した。
「ふう………」
やっと手入れを終えて、動作確認も済ませた。これでやることは終了だ。杖を傘立てに立てかけ、部屋で本でも読もうかな、と思ってロビーに入ろうとする。と、何かが足に引っかった。
「うわ!?」
体勢を整えることができず、そのまま前に倒れ込む。カボチャのお陰で頭を強打することはなかったが、勢いよく倒れたのでそこそこに痛い。
「ぅ……何なんだ……」
今日はついていない、と思いながら体を起こすと、目に入ったのは、椅子に座って悪戯っぽく笑っているTaphだった。
「🤭✨😈」
もしかして、と思いながら足元を確認する。そこにあったのは、Taphがキラーに仕掛けるのと同じワイヤーだった。
「全く……また君か……」
「😚🤘」
口があるであろう位置に手を当ててくすくすと笑うTaphを横目に、苦笑しながら衣服を伸ばす。Taphの罠で転ばされたのはこれが初めてではなかった。
最初は驚いたし、嫌われたのかと思った。だが、回を重ねるうちにそれがTaphなりのアピールなのだということがわかってきた。言葉を話せないTaphの、構ってほしいときの合図。迷惑なものではあるが、一緒に遊びたいと思ってもらえるほどに気に入られているという事実がうれしくもあった。
「さて、今日は何がしたい?」
未だころころと笑っているTaphに近寄って、声をかける。
「‼️😆👉👉」
Taphはぴんと背筋を伸ばすと立ち上がり、私の手を握って自室への階段を登っていく。Taphは滅多に自室に人を入れない。だから、Taphの部屋の中のことは私だけが知っている。それがすごく嬉しくて、なんだか誇らしくて、思わず頬がゆるむ。
ふと前を向くと、無邪気に私の手を引くTaphがすごく可愛らしく見えて。このままずっとこうしていたい、と思わずには居られなかった。