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世羅 鈴🎨🎤
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#骨董品店
九月三十一日 ”少女”と出会って三十一日目
お母さんと揉めてからはしつこく言われることが少なくなっていた。
許されたのか、呆れられたのか。
きっと、どうでも良くなったのだろう。
最近は割と普通で、特別なことと言えば、雨と会うことだった。
一ヶ月たった今でも雨の存在は私にとって特別だった。
「紗那ちゃん。やっほー。」
私が屋上に着くと雨はもうそこにいた。
軽く手をふって座る。
「昨日来なかったね。先週もこの曜日だったけど、なんか習い事やってるの?」
聞くときなんだか楽しそうだった。
「うん。ピアノやってる。あと、土曜日には塾もある。ピアノは楽しいんだけど、塾は行きたくないんだよねー。」
別に普通の話をおもしろそうに聞いていた。
楽しくもない私の話をそんな風に聞いていて、やっぱり変わった子だと思う。
でも、モテそうだなとも思った。
雨はめちゃくちゃ可愛くて、髪の毛はさらさらだし、スタイルは良いし、性格も悪くなさそうだ。
彼氏とか、、、いるのかな。
そう思ったけれど、ここに毎日いるならいないだろうなと思い直す。
すぐに作れそうだけど。
それに比べて私は、、、。
顔は平均ぐらいだし、髪の毛はさらさらだけど、スタイルも平均、性格は、、、良いとは言えない気がする。
こんな子に嫉妬しても仕方ない。
ずっと楽しそうな雨をじっと見る。
すると、こちらの視線に気がついたらしく、いたずらっぽく訊ねてきた。
「紗那ちゃん?私のこと見ちゃって、どうしたの?」
「雨ってさ、めっちゃモテそうだね。 」
いきなり思ったことを言ったら、案の定きょとんとした顔になった。
「そう、、、かな?でも、彼氏いないよ。紗那ちゃんの方が彼氏いそうに見えるけど。」
なんだか、自慢気に言ってくる。
私がモテるわけないのに。
コンプレックスとかないような感じなのによく言えるなと少し苛ついた。
「そう見える?コンプレックスだらけだよ、私。」
正直に言うと、予想外の答えが返ってきた。
「コンプレックスなんて、私にもあるよ。」
「え、そうなの!?例えば?」
かなり意外だった。
可愛い子はみんなコンプレックスなんてないんだろうなとか思ってた自分がどれだけ浅はかだったか。
雨は少し不満そうな顔になったあと、こう言った。
「、、、名前、、、かなぁ。」
「名前、、、。」
また、意外な答えが返ってきた。
名前がコンプレックスなんて人にまだ会ったことがなかった。
それにしても、どこがコンプレックスなのか疑問だった。
“雨”という名前は、響きも綺麗で、幻想的な雰囲気を感じさせる。
私の”紗那”よりも、珍しくて少し羨ましいくらいだ。
「どうして?」
雨は少し悲しそうな表情を見せた。
「雨がね嫌いなの。雨が降ると嫌だし、マイナスなイメージばっかり。もっと、明るくて、可愛い名前がよかったなぁ。」
その声色があまりに悲しそうで私も泣きそうになってしまった。
そうか、と流すことも、そんなことないよ、と慰めることも意味がない気がする。
何を言おうか、悩んでいると雨が聞いてきた。
「紗那ちゃんは自分の名前好き?」
さっきは羨ましいとか思ったけれど、迷わなかった。
あんなお母さんだけれど、本当は優しくて、私のことを思っていることを知っている。
「うん、好き。理由はよくわかんない。でも、嫌いじゃない。」
そう返すと、嬉しそうな顔をした。
やっぱり雨には笑っている顔が似合う。
さっきから悩んでいたけれど、雨という名前も素敵だと思う。
だから、その理由を雨に伝えた。
「私は雨の名前好きだよ。確かに、雨はマイナスなイメージがあるよね。でもさ、」
さっきまで頭にあったのに、雨の真剣な瞳に見られて、言葉につまってしまう。
それでも、伝えたかった。
「雨が降ったあとには、虹が架かるよ。」
少しの沈黙。
雨は泣いているだろうか、驚いているだろうか、それとも的はずれな意見に怒っているだろうか。見ると、 雨は泣いていた。
でも、
雨は笑っていた。
溢れんばかりの笑顔を私に向けて。
零れそうな涙を見せて。
美しい、と思った。
そのときの雨は雨のようでもなく、虹のようでもなかった。
そんな複雑じゃない。
私を照らす、雨上がりの光みたいだった。
コメント
1件
読んだ読んだ〜!!😭💕 第6話、めちゃくちゃエモかった…!! 雨ちゃんが自分の名前コンプレックス言うとこ、切なすぎて胸ぎゅってなったよ…でも紗那ちゃんの「雨が降ったあとには、虹が架かるよ」の一言が刺さりすぎて涙出たわ…!!✨ 雨ちゃんが泣きながら笑ってる描写、マジで美しかった…「雨上がりの光」って表現、天才か!!この二人の距離、確実に縮まってる感じがたまらんかった〜🌸 次の展開が気になりすぎて夜しか寝れん!!続き楽しみにしてるよ、わたげさん!💕