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「いいか? 海賊ども! タンカーはお前ら海賊チームのもの! 今引いた線は正義と悪の境界線。この線からこっちへ入ってくるな! わかったか? 麦わらの一味!」
「G-5はアホの集まりなのか? 仮にもスモーカーさんの部下だろあいつら…」
「誰が頭でもバカはバカだ」
「それもそうか。は、っくしゅ…ずず……。風邪引いたかな…」
「寒がりのくせに長い間カッコつけてナミ屋にコートなんか貸してるからだ」
「女の人が体冷やすのはよくないだろ。それよりも子供たち、頼むぞ」
「わかってる」
そう言ってローは俺から離れて子供たちの方へ行った。
「ジェディ」
スモーカーさんに呼ばれ、俺はスモーカーさんの方へ小走りで向かう。座るスモーカーさんの前に立つと、スモーカーさんの手が俺の頬に伸びてくる。
あ、これ撫でられる流れか。と思いながら、俺は目を瞑った。すり…と頬を撫でられる。うーん、気持ち良いけどちょっとくすぐったいな。
「シャボンディに行くって言ってからまた2年空けやがったな、テメエ」
「い、いひゃ、いひゃいれす……」
頬を軽く抓られる。痛いです、と言いたかったのだが上手く喋れなかった。頬から手が離れ、俺が抓られた頬を摩っていると、胸倉を掴まれ、ぐいっと引き寄せられる。
「スモーカーさ、」
――ガブッ
「い゛ッ!?」
俺はスモーカーさんから距離を離して首筋を手で押さえる。ジクジクとした痛みが襲ってきて、思わず顔をしかめた。
噛まれた。
「ング…………ロォ~~~!!!!!」
生理的な涙が滲み出てくるのを無視してローの元に駆け寄る。
「どうした」
「噛まれた!!! 野犬に噛まれた!!!」
「野犬? お前なに言って……っ、白猟屋!」
俺の後ろを見て、険しい表情をするロー。あ~、やめてくれ~俺は争ってほしいんじゃなくてこの首筋の噛み痕を手当てしてほしいだけなんだ~……。
「ロー、手当…」
「ちっ、首出せ」
コートのジッパーを下げ、首元を広げる。するとすぐに傷口に消毒液をかけられた。ズキッとして一瞬顔が歪む。その後ガーゼを貼られた。
「スモーカーさんなりの躾なのかなぁ……俺を犬扱いしやがってぇ……」
そんなことをブツブツ言っていると、ローがルフィの元へ向かい、パンクハザードから急いで離れようと伝えるが、ルフィが素直にはい分かりました、なんていうわけがなく、宴が始まった。
知 っ て た
ローが大きなため息をつきながら2人分のスープを持ってきてくれる。温かいスープを腹に入れ、一息つく。
子供たちは元気よく騒ぎ、大人たちも酒を飲みながら談笑している。
「俺も酒飲みてぇ~…」
「下戸なんだからやめろ」
「ちぇ」
スープを飲んでいると、名前を呼ばれる。
「ジェイデーーーン!!」
「チョッパー? どうし……モチャ!!」
「狐のお兄ちゃーん!」
目を覚ましたモチャが右手にチョッパーを乗せ、左手で俺に手を振りながら近づいてくる。
「モチャ~! よかったなぁ。体は大丈夫か?」
「うん、もう大丈夫」
「そっかそっか」
「ロー、さっきは疑って悪かったな」
「聞いたよ。良くなったのはおにいちゃんのおかげなんでしょう? ありがとう! 狐のお兄ちゃんの言ってた通り、優しい人なんだね!」
「ふふん、そうだろそうだろ。ローは優しいんだ!」
「何でお前が偉そうにしてる」
「えへへ。ローが褒められると嬉しくなるんだよ」
「…フン」
ローは俺から離れていく。
俺は子供たちに腕を引かれて食事をする。俺たちは少しの間、勝利の宴に酔いしれるのであった。
子供たちを乗せたが出航する。
海賊は悪だ、そう子供たちに言い聞かせて。確かに子供たちは海賊が助けた。彼らにとっての正義は海賊だ。でも海賊がいいもの、というイメージを決して持ってはいけないのだ。
助けてくれた恩は、G-5の海兵も抱いている。わかっていて言っているのだ。涙を零しながら、海兵たちは言う。
「悪口でも言い続けねえと、俺たちこの無法者どもを好きになっちまうよ!!」
結局子供たちは俺たちに手を振り、笑顔で礼を言って出航した。
「じゃ、おれたちも行くか」
「新世界にしては天候がいい方でしょうかね」
「まあ、海は荒れるだろうが」
「……おい、あいつも一緒に行くのか?」
「そうだ。まだ同盟のこと言ってなかった。実はまたルフィが厄介なことを……」
ウソップがゾロに麦わらの一味とハートの海賊団の間に結ばれた同盟について説明をし始める。
サニー号に乗り、俺たちもパンクハザードを出た。