「俺さ~ 思うんだけど…… 」
「そうね、でもあの場合はどうしたってあの状況になっても仕方ないと私は思うの」
驚いた、客《魔物》の心理と自分の頭をリンクして全てを掌握している。異次元領域で会話を成立させてしまっている。全く話について行けない…… 化け物だ。世界が違いすぎる。これがトップランカー《S級冒険者》か。
あの一件以来、私の生活は一変した。楓のテーブルに当たり前の様にヘルプで呼ばれ、客の引継ぎを任される。楓の客は太客《神様》が多く場内のみならず本指名も当然の如く私に入れてくれた。
然《しか》し此処で自分の力量の無さを思い知る…… ついて行けてない自分がもどかしく情けなくなった。資格も無い癖に聖剣を手にしてしまっていた。当然振れる訳もなくただただ空回りしている。
お客様を入り口まで送り出すと楓の客《魔物》に耳打ちされた。
「君は寝《ヤ》れる娘なのかい? 」
「いっいえ…… 私は…… 」
「そう、残念。僕はてっきり…… ごめんよ」
頭を下げエレベーターを見送り顔を上げると涕が零れていた。そんな様子を見て楓は一言冷たく呟く……
「今日はお説教だからね」
「はい。お姉さん」
仕事が出来ないせいで軽く見られた、原因は充分わかっている。明日は休日、今日は楓の家へと一緒に帰る。タクシーの中でも涕が止まらず噎《む》せて居ると五月蠅いと叱責された。
家に着くといきなりベッドに乱暴に投げ出され裸に剥かれた。
「あんな汚い男に耳打ちされるなんて許さないんだから」
「―――えっ⁉ 」
怒りの矛先って、そっち⁉―――
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