楓の癖の強さにも慣れて来ていたが、そのせいで思わぬ敵を生んでしまう事になってしまっていた。この店には私のせいで別れた楓の元カノがまだ在籍中である。何て事だセニョリータお前ヤリマンだったのか。
家では、お姉ちゃんと言わされ、セクハラ最中はお姉様と呼ばされ、仕事中はお姉さんと呼びなさいと躾けられた。呼び方に萌えが発生するらしい、厄介な性癖だ。
今日のセクハラはハイこれねと、お股がぱっくり開いた下着とガーターベルトのセットを履かされた、然《しか》も見ている前で。これやばいだろ、今日は珍しくスライムが来店予告をしている日だ、よりによってこんな日に貴様も何故にやって来る。
トップランカー《S級冒険者》達の指名数は、月に軽く150本以上。場内指名を入れたらそれこそ数え切れない。そして恐ろしい事に、そのトップランカーの中に楓の元カノも鎮座《ちんざ》していた。
おおぅ神よ! どうしてそんな大事な事を先に言ってくれなかった。
楓を睨み返すと嬉しそうにウィンクする。だめだこりゃ。
ボーイが豚1頭のご案内ですと私に告げると、スライムの間違いだろと言い返す。ケタケタと男の子と笑っていたら、遠くのテーブルから殺気を感じた。
―――愛が重すぎる……
多分明日から来なくていいよと言われてしまうボーイを他所に、養豚場へと繰り出した。
色々ごめんねみんな、笑って許して。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!