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読み終わりました……。44番のロッカーに閉じ込めた“何か”と、その冷たさに額を押し当てる主人公の歪み方が、すごく胸に刺さりました。「歪んだ愛情は刃物」っていう表現、めちゃくちゃしっくりくる。愛と憎しみが混ざり合って、どろりとした感情が溢れてくる感じ、ゾクゾクしました。ゆろさんの文体、重くて綺麗で、続きが気になります…。
駅の地下通路、14番出口付近。そこは湿った空気と、誰かの吐き出した溜息が澱む場所。
「ガチャン」
鈍い金属音が、狭いコンクリートの空間に反響した。 44番の扉。錆びついた鍵穴が、最後のご馳走を飲み込むように音を立てて閉じる。
「これで、もう安心だね」
私は扉の冷たさに額を押し当てた。 中に入っているのは、私の「すべて」であり、私の「間違い」だ。 ドクン、ドクンと、壁の向こうから脈打つ音が聞こえる気がする。いや、それは私の指先が刻む、異常に速い鼓動の音かもしれない。
愛していた。たぶん。 憎んでいた。間違いなく。 歪んだ愛情は、鋭利な刃物によく似ている。握りしめるほどに、自分と相手の境界線が血で滲んで分からなくなる。
通路を通り過ぎる人々は、誰もこちらを見ない。 ハイヒールの乾いた音。イヤホンから漏れる、ノイズ混じりの電子音。 彼らは知らない。この薄い鉄板一枚の向こう側に、一つの世界が、呼吸を止めて閉じ込められていることを。
「ねえ、笑ってよ」
鍵を指先で弄ぶ。 ここは、光の届かない揺りかご。 救いなんて最初から求めていない。 ただ、この息苦しさを、誰かと、あるいは「これ」と、共有していたかっただけ。
ふと、ロッカーの隙間から、どろりとした感情が溢れ出しているような錯覚に陥った。 不協和音が頭の中で鳴り響く。 ズレたピアノの音。加速するドラム。 私のしたことは、悲劇? それとも、ただの喜劇?
「バイバイ、また明日」
私は二度と戻らないことを決めながら、暗い通路へと歩き出した。 背後で、44番のロッカーが、チクタクと終わりへのカウントダウンを刻んでいるような気がした。
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