借金組
【怖がりなキミのために】
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ザーザーと降り続く雨中を鞄を頭の上に掲げて走り家へと向かう。
服がびしょ濡れになりながらも、彼のことのみを考え、走り続けた。
道中、4・5回雷がなり、その度に彼のことを強く考え、泣いていないことを願った。
「…ただいま………」
家に着いたのは10時53分。普段なら彼は寝ている…もしくはゲームをしている時間だ。
俺は玄関で身体中の水を軽く拭き、まずはと彼の部屋へ向かった。
「…シャケ?」
………居ない。
ならば、あそこか。
俺は自室へ一度入り、上着を脱ぎ、自分と…彼の分の着替えを抱えて下のリビングへと向かった。
「………ん、く……ぅッ…………ひぐッ……」
嗚呼、やはりか。
彼は、ソファーの上で小さく丸まり、声を殺して泣いていた。
「シャケ」
「んッ…きん…、ときぃ………?」
「うん。ただいま」
「…ぉかえり………」
「怖かった?それとも…、寂しかった?」
「ッ怖かった、し、寂しかったッ…‼︎」
可愛い可愛い泣いている彼を前にし、
俺は彼を泣かせた雷と俺を恨みながらも、雷と俺を心の中で褒め称えた。
「ごめんね?遅くなって」
「………ん」
外がピカ、とひかり、ドン…ゴロゴロと大きく鳴った。
「ひっ…‼︎‼︎」
彼が俺に抱きついて。俺の冷えた体にジワ、と彼の体温が滲んだ。
「ぁ………結構近いね〜…今の……」
「こわい」
「ん?うん。そうだねぇ…」
ぽんぽん、と俺が彼の頭を撫でれば、彼は安心したようにホ、と息をついた。
「……冷たい………」
俺と密着していた彼がふとそう言った。
「あ、ごめん。俺今日傘忘れて走って帰ってきたから…」
モゾ…と、俺の腕の中で彼が動いて
「…お風呂入る……?」
そう聞いてきた。
「ん。入る。シャケも一緒に入る?」
「………入る」
俺は彼を姫抱きにして風呂場へ向かう。
服を脱いで、入って…
湯船に入る時は、しっかりと抱きしめてあげた。
上がって、ドライヤーをかけてあげて…
俺と彼は俺の部屋で2人、ベットの上に寝転んだ。
「………なんか、歌って…………?」
ゴロゴロと鳴り止まない雷をイントロに、俺は彼に子守唄を歌った。
2・3分ほどで、彼の寝息が聞こえてきた。
「…可愛い」
彼の頰をつたう涙を拭い、俺は彼の額にキスをした。
「可愛い可愛い…俺だけのお姫様…」
「明日はいっぱい…笑ってね?」
キミは笑顔が1番だから。
キミの笑顔は、1番だから。
キミが怖いなって思ったら、俺がすぐに駆けつけてあげるから。
だから、俺のために、俺のための笑顔を、お返しとして………
たくさん頂戴ね………………?
コメント
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昨日から読み始めたばっかなんで初コメです🙃 いやもう最ッ高です!! kn×shkとか全然見てなかったんですけど笹まろさんのおかげで凄い好きになりました✨ これからも応援してます🔥