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「期待、させんなよ」
ふと、君がそう言った。
「なんのこと?」
俺は、軽く笑いながらそう返す。
君は、「分かってるくせに」と言って俺を睨む。
「…ん〜…w」
なんのことか分かんないやwと俺は言って。
さすれば君は心底呆れたような顔をし、その場を去っていった。
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「好きってなんだと思う?」
ふと、赤色の奴がそう問いた。
「…感情の一種にしか過ぎない、何か…?」
ぼそ、と紫色の奴がそう言った。
「きんさんは、“好き”って…特別な感情だと思う?」
赤色の奴は俺にそう問いた。
「“好き”って感情のうちの一欠片の中には特別な意味は込もってんじゃない?」
俺は、そう解いた。
「…ふぅん…」
…赤色の奴は満足そうな顔をしていた。
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「きんとき」
ふと、君が俺の名を呼んだ。
「ッきんとき…‼︎」
君は俺の名を呼んで泣いた。
「…シャケ………?」
俺は君の名を呼んだ。
君は泣いたまま、俺の体に身を寄せた。
「頼むから…、俺に……」
「期待、させんなよ………ッ‼︎」
俺は自らの腕に力を込めた。
だが君は、俺の腕を払いのけて走り去っていった…。
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「きんときって自分の感情に疎いよな」
ふと、水色の奴にそう言われた。
「あ〜。確かに」
黄色の奴がその言葉に同意する。
俺が?
俺が自分の感情に疎い?
「どうゆうこと?」
俺は奴らにそう問いた。
2人はやれやれというような顔をしてこう言った。
「そのまんまの意味だよ」
と。
水色の奴はそれに付け加えてこうも言った。
「や〜…。シャケ…可哀想だなぁ…wこれ」
俺は、全くもってその言葉の意味が分からなかった。
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俺の隣で君が眠っている。
何の変哲も無い、いつも通りの…日常だ。
「…可愛い」
ふと、そんな言葉が俺の口から溢れた。
俺は無意識にも君を抱きしめるべく腕を動かした。
君の香りが近くに感じられる。
君の寝息が近くに聞こえる。
君の体が、俺の体と触れ合っている。
俺は何故か、とてつもない幸福感に包まれた。
「期待させんなって、言ってんじゃんか…」
「…おはよ。起きたんだ」
君の瞳が俺を向く。
「ん。…はよ。きんとき」
君が俺の名を呼んだ。
…喉の奥がキュ、となった。
「………?」
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「きんときって…シャークんのこと好きなの…?」
ふと、紫色の奴のそんな声が聞こえた。
「え、なに。どしたのスマさ〜んw急に〜w」
赤色の奴が紫色の奴に抱きつきながらそう言った。
イチャついてんじゃねぇよ。
「さぁ。好きなんじゃない?w」
2人は俺のその答えに不満気だった。
…俺は心の内に、何処かモヤが掛かった気がした。
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リップ音が部屋の中に鳴った。
君は目を見開き、それから頬を林檎のように赤らめて俯いてこう言った。
「〜ッ、マジでッ、期待…させんじゃねぇよ…‼︎」
ふと、俺は何故自分が君にキスをしたのか不思議に思った。
「…ねぇ、シャケ」
俺は君がこの感情の意味を教えてくれることを期待して聞いた。
「………何を期待するの?」
君は心底驚いた、という顔をして俺を見た。
一息置いてまた俯いて。
「好きなんじゃないかって…」
そう言った。
「きんときが、俺の事…好きなんじゃないかって、期待、するんだよ」
小さな声で、そう言った。
“好き”
シャケからその言葉を聞いたとき、心の内のモヤが晴れた気がした。
そっか
俺、シャケのこと好きだったんだ。
俺は、君の顔をこちらに向けさせて
もう一度、キスをした。
「期待、してみたら?」
「…期待、してもいいと思うよ?俺。」
なんて言えば、君はその瞳に涙を浮かべて。
「………いいの?」
可愛い口を震わせながら、そう言った。
俺は微笑み
彼の唇に再び、
…自身の唇を合わせた