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日が沈む頃、彼女は
フリーゲームを実況していた。
その名も———『ナカノヒトゲノム』。
なにかと話題になっているものだ。
裏ステージがあるとかなんだとか。
そこで突然だが…———私は
現在、隠しステージを
目の前にしていた。
ゲームクリアした途端
意味深な文 が以下のように
映しだされた。
『おめでとうございます!
選ばれしカリスマ実況プレイヤーの
貴方に『 ナカノヒトゲノム』
クローズドステージの プレイ権限を
与えます
なおこの権限は
放棄・譲渡等はできません
これよりお迎えにあがります』
目で追っていたその時、突然
スマホのアラームが鳴り出す。
こんなときに鳴るって…あーもう!!
まめはすぐ横に置いていた
スマホを手に取り、
アラームを止めようとするが…
「もうこんな時間…?」
気がつけばあれから何時間も
経過していた。
ゲームとは罪なものだ。
「すみません今日はこれで
おわりにしようと思います!」
「次回も続ける予定ですので
ご安心ください!」
「それでは」
…
…
まめ「隠しステージきちゃったよ!!」
まめはPCを目の前にして大はしゃぎで
スマホのカメラ機能でパシャパシャと
良い一枚を撮る。
まめ「思い出思い出」
そう喜んでいる間、
表示されていた文に目がいった。
まめ「これよりお迎えに
あがります…?」
とても不自然な点だと思ったんだ
「これよりお迎えにあがります」って。
その言葉じゃまるで、
“今から迎えにくる”かのような…。
……きっと作成者側のミスだと片し、
PCを後にした。
○
。
突然眠気に襲われて
一気に視界が暗くなった。
自分は寝ているんだろうか?
それだけの時間をゲームに
費やしてきたのだろうか…?
…これ以上頭が回らない。
眠たい。
わたしは眠気に誘われるがまま
二度寝をしようとしたが
脳に引き留められた
「これ以上寝るな」と。
その言葉に従い
目を開けて 瞼を擦りながら
周りを見回してみると、
たくさんの木々に囲まれていた。
……おかしいな…?
さっきまで自室で
実況していたはずなのに。
私はそのまま重い身体を
グッと持ち上げる。
すると、起きて早々
視界に映ったのは
近くに倒れていた少年と少女だった。
一目見たとき、なにかの事件に
巻き込まれたのかと 焦ったが
耳を澄ませてみれば
すやすやとただ
眠っているようだった。
よかった…。
ひと安心した私は
その二人を揺らし起こそうとしたが
止めておいた。 なぜなら、
すごく心地よさそうに
眠っていたからだ。
まめ「………」
私はこの場をあとにして
探索へ行こうとしたそのとき。
少年「…あれ?」
一人の少年が起きたのだ。
その声を聞きつけた
私は思わず狸寝入りをした。
少年「おお…」
「今日は大自然の夢ですか」
「…いい…」
少年はさっそく 起き上がり、
景色を眺めてはつぶやく。
少年「こういうところに老後は
住みたいもんです」
「ねぇー…」
ふと手を動かしたとき、少年は
横で眠っている少女の 存在に
気がついた。
少年「……」
「ええと」
いかにも少年は
動揺している様子だった。
だが、動揺しながら見る暇もなく
行動にうつし始めた。
まずは呼びかけ。
少年「お嬢さん」
「お嬢さん!
続いて呼吸と脈の確認を。
ただ、抵抗感があったらしく
そろりと…
少年「頸動脈失礼します」
触れようとしたとき。
少年「あ」
ずっと眠っていた少女の瞼が
ぱちりと開き、目の前にいた
少年に視線がいく。
少年「よかっ」
安心したのも束の間、
少年は少女が起き上がった早々
顔面を殴られてしまったのだ。
しかも「めり」とした音で
すごく痛そうだった。
骨が折れていないか心配だ。
少女「あ あんたなに!」
「変態!?」
さらに変態呼ばわりされる始末。
少年「ど」
「どうどう」
「俺 入出アカツキと申します」
少年「けっして怪しい者れあ
はりまへん…」
鼻血を滴しながらも
少年は 真剣な表情をして
少女に答える。
あの後、私は少女と少年に
無事起こしてもらい
三人で探索することとなった。
先頭は少年、間に少女
最後に私だ。
…見たところ
その二人は、学生だと思う。
少女は シスターのような制服を
着ていて、 少年は
学ランを着用している。
なんだか制服に夢が詰まってていいな
なんてことを思い 後ろから見つめる。
……にしても一面木だらけだなあ…
…迷子になったとき大変そう。
少女「ねえ」
「ちょっと待ちなさいよ」
少女は先々行く少年の後を
必死についていく。
はっ…はやい。
少女「ここは一体どこなのよ!?」
少年「俺もそれが
知りたいんですよね」
少女「おかしいじゃない!」
「どうしてそろって山に
打ち捨てられてるのよ」
少年「右に同じく」
少年は少女の発言に同感を意味する。
少女「…それに」
「なんで制服なのよ…」
「夕べは確かに
パジャマで寝たのに」
少女「わたし…起きて
着替えた記憶なんてない」
少年は自分の袖をみて
同意する。
少年「……おなじく」
…私はどんな服装を……。
まめは先ほどの話題に釣られ、
袖を見てみる。 ああ…なんだ 私服か。
少女「…でもね」
「あんたが大嘘つきの誘拐魔かつ
着せ替え好きの変態登山家なら
全部筋が通るのよ」
少女は少年のことを引いた目で
淡々と憶測を語る。
少女「……うえっ…」
少年「やめてください
憶測で引くの」
少女「だってあんた怪しいんだもの」
「出会い頭に触ろうとしてたし
鼻血だすし」
確かにそれを聞くだけなら怪しい。
少年「…裁判長」
「鼻血に 関しては異議があり」
少女「却下」
言い訳なんか聞くまいと
少年の会話を切る。
少女「声だってなんだか…」
少年「?」
少女「どこかで
聞いたことあるのよ」
「あんたの声」
「わたし記憶力には
自信があるのよ」
少女「一度インプットしたら
絶対に忘れないのに…」
少女は気を抜いていた手に
ギュっと力を込める。
それほど、自信があるんだろう。
少年「言われてみれば俺も…」
その悔しがる少女を見た少年は
そんなことを言い出す。
少女「えっ?」
少女は驚く。
少年「そのトゲトゲした声に
ツンツンした態度」
ただ、少年の発言を聞いていくうちに
少女の目のハイライトが
消えていくのがわかる。
少年「前にどこかで…」
少女は怒りをぶつける。
顔面陥没…。
少年「………空手部の主将か
なにかですか…」
少女 「ちがうわ」
「ホラー映画研究部書記よ」
少年「なに書くの怖い…」
少年「はやく電話か警察
探しましょう」
「明るいうちに下山しないと…」
「熊でもでたら大変です」
まめ「…」
そう伝える少年の足元には
熊かなにかの足跡がついていた。
こ、これは…。
少女「や…やめてよ…」
「あーもう」
「昨日からロクなことない!」
少女「 「お迎えにあがります」 って
まさかこのことじゃないわよね…」
少年共々反応を示す。
まめ「!」
少年「今 なんて…」
そのとき!
話を遮るかのように
熊のような形をした巨大な足が
少年と少女の間に振り下ろされる。
そしてその巨大な足が
ゆっくり上がっていくうちに
さっきまで少女を見る視線から
その巨大生物に目がうつる。
それは———巨大パンダだった。
え、なんでパンダ?
「なななんで」
少女は口をおおきく開き驚く。
そうして驚くあまり
動けなくなっていた 少女は
少年に冷静ながら 腕を掴まれ
近くの草むらへと避難した。
少女「!?」
少年は少女の口を押さえて静かにと
ジェスチャーをする。
少年「しー」
「まだ見つかってません」
「このまま やりすごしましょう」
小声で気づかれないように
少女に話す少年。
少女は落ち着いてきたのか喋り出す。
少女「…見つかったら
ひとたまりもないわね」
私は少女の言葉に頷くばかり。
静かに巨大パンダの様子をみていると
少女のとなりにいる少年が
プルプルと小刻みに震えだした。
少女「…なにあんた
ケンカ売ってんの」
少年「ちが…」
「くしゃみが」
「やめてよ冗談でしょ…」
少年「へ」
「へふ…」
少女「なんでこっち向くのよ!?」
と同時に少年は少女に
頬を思いっきり叩かれてしまった。
ご愁傷さまです…。
くしゃみの音と同時に
パンダから 背を向けて 走る私たち。
「少しは我慢しなさいよ」
少年「すびません」
「自慢じゃないんですが」
「俺 日本中の花粉アレルギー
ほぼコンプリートしてまして」
少女「ほんと自慢にならないわ」
すると突然 空から 巨大ネズミが
目の前に降りてきた。
少女「こ…これネズミ…?」
少年「大きいですね
なに食べてるんでしょう」
二人はネズミが 巨大化したようなもの
を 見て話していた。 けれど、
そんなことをしているうちに
巨大化している ネズミやカタツムリ
のようなものたちに 次々と
挟み込められてしまった。
少女「ひっ!?」
少年「大丈夫
カタツムリだけは たしか草食…」
少女「どうでもいいわよそんな…
話題に引っ張られて後ろをみると
どんどん巨大パンダが迫るばかり…。
そんなとき、目の前にいた
巨大ネズミが 少年に襲いかかりにいく
その瞬間———
巨大ネズミは和装を着ている
何者かの手によって、斬られ
目の前で血が飛び散った。
和装の男性「おうご両人」
「なにボサッとしてやがんでえ」
「とっとと目ェ潰しな」
目が番傘で突き刺された巨大ネズミは
キーキーと鳴き喚いていた。
私は耳を塞ぎ込む、
耳にこびりつきそうで 怖かったからだ。
少女「…え…?」
和装の男性「目だよ 目」
「突くか 潰すかすりゃいい」
和装の男性は巨大ネズミに近づき
番傘を目の奥深くまで刺し、
また血が飛び散る。
その姿はグロテスクで
誰から見てもあまり
見たくは ないものだった。
……鳴き声が聴こえなくなった。
塞いでいた手を戻す。
和装の男性「こいつら案外
楽に倒せるぜ」
ネズミに刺さっていた番傘を
引っこ抜き、その人の頬に血がつく。
そして番傘を肩に軽く掛け
こちらへ目を合わせる。
少女「で」
「できるわけ…」
和装の男性「んじゃコレ貸してやらァ」
少女「そうじゃなくて…!」
少女が否定しているときに
和装を着ている謎の男性は
少年に気づき、 ネズミの返り血が
頬について ポタポタと溢れたまま
笑顔で少年にこう言った。
和装の男性「野郎は丸腰で頑張んな」
少年は、 その男性の頬に目を向けては
口を閉ざしたまま。
和装の男性「じゃ」
少女「あっ ちょっと…!! 」
颯爽として現れた和装の男性は
あの巨大カタツムリの方へと走り去る。
戦闘が好きなのか…?いや、ただ単に
守ってくれてるだけなのかな。
少女「な」
「なんなのあいつ」
「無茶苦茶よ」
少女「あんなのと戦うなんて」
少女は、あの男性の背を
見ながら喋る。
少女「とにかく」
「すぐここから離れな
きゃっ!?」
木から少女の頭の上に
何かが落ちてきた。
少女「靴下…?」
落ちてきていたものは靴下だった。
どうして上から靴下が…。
ふと少女は近くの木を見上げた。
…なんと、 男性が走り去っていった後
パンダを見つめていたはずの
少年は いつの間にか
木に登りだしていた。
少女「な」
まめ「!?」
少女は 突然、 勢いよく足で
木を揺らし始めた。
少年「ちょ やめて 揺れる落ちる」
太い木の枝に
しがみつくばかりの少年。
「なにひとりだけ
逃げようとしてんのよ!?」
逃げ……え 木から…?
少年「誤解ですって」
気がつけばピタリと
木を揺らさなくなっていた少女。
その光景を見ていた私は
「この人は絶対
怒らせないようにしよう…!」と
心に決めたのだった。
そして 少年はついさっき
しがみついていた太い木の枝に
足を乗せ、 少女たちに話しかける。
少年「念のため隠れててください」
「潰されないよう 気をつけて」
少女「あんたはどうするのよ…!?」
少年「まあ なんとかします」
そう伝えた少年は、
上っていた木の頂上まできて
周りを見渡す。
見渡してみると…
青くて綺麗な空一面に
生き生きしている 森林たちの音と共に
ふんわりやってくる風。
少年「お」
「これは なかなかの絶景…」
「変態登山家の血が騒ぎますね」
どうやら少年はその景色を
楽しんでいるご様子…。
…それにしても、
木の天辺までのぼって
一体なにをするつもりなんだろうか。
なにをやってるんだろう。
少女「バ…バカだわ」
「本物のバカ」
少女は少年に 向けて
そうつっこむ。
すると少年の背後から
あの巨大パンダがやってきた。
しかもほぼゼロ距離。
少年「こんにちは」
人が不思議なのか
少年を嗅ぐパンダ。
少年「顔 でかいですね」
気づけば少女のとなりに、
さっき去っていったはずの
和装の男性がこちらへと
戻ってきていた。
あのカタツムリたちを
倒し終わったんだろうか…。
ありがとうございます。
少年「肉球失礼します」
少年はゆっくりと
パンダの手に近づく。
少女「ほんと
なにしてんのよあんたは!! 」
野生の巨大パンダを目の前にして
この子肝が座りすぎでは!?
少年「パンダ一度
触ってみたかったんですよね」
「しかも肉球」
少年はパンダの手に
優しくハグをして喜ぶ。
もふってる…。
少年「はああ…」
「和む…」
気がついたら少年はパンダの
頬もむぎゅっとハグしていた。
あれだけ近距離で接して…
果たしてあの子は 大丈夫なんだろうか。
少年は パンダをもふりながら
皆に話し出す。
少年「大丈夫ですよ」
「こいつ 散歩してただけなんで」
少女「………え?」
少女たちの動きが止まる。
少年「いや目がね」
「逃げているときまったく」
「俺たちのこと
見てなかったんです」
それで何度もパンダを見てたのか…。
少年「こいつの散歩コースと
俺たちの逃げる方向が
たまたま重なっただけ」
「俺たちを襲う気は
元からないですよ」
「な パン太郎」
そう言いながら、パンダ…こと
パン太郎の鼻を撫でていると
パン太郎は口を大きく開け
今にも襲いかかろうとしていた
のかと思いきや、
少女が注意をしたと同時に
パンダのくしゃみの音が鳴り響いた。
音が鳴ったあとに続き少年を
みてみると、少年は
パンダの鼻水でベトベトになっていた。
和装の男性「……」
少女「……」
和装の男性「…汚ねェな」
まめ「くしゃみ…」
少年「……君も 花粉症ですか」
つづけて散歩しに行くパン太郎の背を
しばし見送る和装の男性。
和装の男性 「やるじゃねェか」
「あんな状況で よく見てやがったな」
川辺で学ランを洗いながら
少年は 和装の男性に話す。
少年「君が何度も「目」「目」
言ってくれたので そのおかげで」
両手に学ランを持ちながら
和装の男性に目を向ける。
少年「それに 血を流す前に
できることってけっこうありますから」
和装の男性「……」
「へェ…」
ダメだこのお二人相性悪そう。
和装の男性「で」
「そっちは そろそろ立てそうかい」
近くの木にもたれ掛かり
体育座りで 休憩を取っている少女。
お疲れさまです。
少女「もう少し…」
「…というか 変」
「あいつらなんで
平然としてるのよ…」
少女は つぶやく。
すると突然、
少女の悲鳴が耳に響く。
休憩を取っている 少女が
いるところに目を向けると、
巨大カタツムリが 少女に迫っていた。
少女「や…こっち来ないで 」
ここにきて来るなんて……よし。
少女「たたっ切って
刺し身にするわよ!!」
まめ「いま助けに行きま…」
少女の元へ向かうときだった。
少年「ちょっと待ってください」
少年は呼び止める。
まめ「?」
少年はグッと手のひらを丸め
あたかも『あの子なら
いけますよ!』と 語りかけながら
応援しているよう微笑んだ
……確かにあの子なら…と納得し
その場に立ち止まった。
少女「カタツムリだし
よく見たらかわい…」
「……」
少女は あのとき和装の男性に
渡された刀を 両手で握って、
鞘で勢いよく 巨大カタツムリに向かって
振り落とした。
そして見事…巨大カタツムリを
気絶させた。
少年が表情で 語っていた通りに
なんとかなった…あの力が
なかったら結構危なかったけども…。
少女は 息を切らしつつも
カタツムリから徐々に離れていった。
和装の男性「…剣道でも
やってんのかい?」
少年「惜しいです
スプラッタ部書記」
それを見ていながらも
拍手をおくる男性陣。
すみません……。
その時、どこからか
拍手と重低音な声が聞こえてきた。
「すばらしい!」
「さっそく
第一ステージクリアとは」
草木の影で隠れていた姿が
こっちに向かっていくごとに
露になっていく。
??「はじめまして」
パカ「ワタクシ
「ナカノヒトゲノム」 監視役」
「13番街担当 パカと申します」
その露になった姿は
黒スーツに 白い手袋、
紺色と紅色かが合わさった
ボーダーのネクタイ…
そして気になるばかりの
アルパカの被り物。
…「ナカノヒトゲノム」…。
少女「今度はアルパカ…」
パカ「ノン」
「パカでございます」
本人曰く
「パカ」というらしい…。
それにしてもアルパカの被り物が
暑くないのか気になって仕方がない。
パカ「第一ステージ
「アニマル合戦」…」
「迫りくる巨大生物を
いかに多く倒し 切り抜けるかが
クリアポイント でしたが…」
パカ「あのパンダと 和解を
試みた方は はじめてです」
「実に興味深い」
「新しい
プレイスタイルは
多くの閲覧者の心を魅了し」
パカ「結果 再生数を大幅に
はねあげます」
「今後も期待しております」
パカは、そういいながら
少年に風船を手渡す。
少女「わりたい」
パカ「さあ皆様!」
「ご自分の左手首にご注目」
少女「…?」
左手首…。
袖を捲ってみると、左手首には
謎の数字とナンバーが書かれていた。
ナンバーは、たぶん先ほどパカが
述べていた「13番街」という印だろう。
その下の数字…一…十…百……
一億まであった。
少女「えっ やだ なにこれ」
少女は左手首にでている数字たちを
消そうと必死に擦る。
少年「とれません…」
少年も左手首を擦っていたようで、
消えないことがわかった。
私はこの数字に意味するものが
なんとなく分かった気がする。
パカ「体表型カウンタです
お休みの間にナノチップを
埋め込ませていただきました」
「街のメインサーバーと
連動しておりまして」
「「再生数」をリアルタイムで
お知らせいたします」
少年「再生数って…」
パカ「ええ」
「入出様にはおなじみの
言葉でしょう?」
「そちらの三人方も」
パカ「戦国実況の鬼ヶ崎様に」
「ホラー実況の更屋敷様そして」
「ノベル実況の伊田様」
パカはここにいる全員の苗字を吐いた。
……どういうこと。
鬼ヶ崎「……オイ」
「名乗った覚えはねェぜ」
「何モンだ? それ取ってツラ見せな」
鬼ヶ崎は強引にも、パカの素性を
明かそうとするが 聞いていたパカは
がっちりと被り物を 深く被り
警戒していた。
パカ「嫌でございます恥ずかしい」
鬼ヶ崎「…嬢ちゃん刀貸してくんな」
更屋敷「はい 喜んで」
二人そろってジリジリしていた。
発言に少々イラっときたのか
さらに強引になったのか。
パカ「やや…ワタクシピンチ」
その二人にも余裕そうな雰囲気を
出していく。明らかな強者。
パカ「フフ」
「13番街の皆様は そろって
お気が短いようで」
「では単刀直入に申します」
パカ「貴方がたが ここで
なすべきことはただひとつ」
「そのカウンターを
一億までまわすこと 」
「すなわち」
パカ「『ナカノヒトゲノム』
リアル実況において」
「再生数一億ビューを達成すること」
「なお」
「プレイ期間は
無限にございます」
パカ「どうか死ぬ気で
実況してくださいませ」