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十七歳
二人の関係は、さらに歪で、切迫したものへと変貌していた。
公式の任務が増え、二人が顔を合わせる時間は増えたが、それに比例するように、中也のΩとしての身体は「仮噛み」だけでは抑えきれない臨界点を迎えつつあった。
「……おい、太宰。薬、もう効かねえ」
ある大雨の夜。
セーフハウスの一室で、中也はベッドの上にうずくまっていた。
上半身の衣服は肌に張り付き、尋常ではない量の汗がシーツを濡らしている。
部屋全体が、中也から漏れ出す、甘く狂おしいフェロモンで満たされていた。
本格的な、本物のヒートだった。
「だから言っただろう。仮噛みの期限はとうに過ぎているし、君の身体が僕のαを求めすぎているんだ」
部屋の入り口に佇む太宰は、濡れた髪をそのままに、昏い目で中也を見つめていた。
太宰の鼻腔にも、中也のフェロモンが容赦なく突き刺さる。
理性という名の薄い氷が、ピキピキと音を立てて割れていくのが自分でも分かった。
「クソ……っ、だったら、早くしろよ……! いつもの、仮噛み、やれ……っ!」
中也は理性を保つために枕をきつく抱きしめ、太宰を睨みつける。
だが、太宰は動かなかった。
「中也。今回は、もう仮噛みじゃ収まらないよ。君のΩの受容体が、もっと深いところでの結合を求めて叫んでいる」
「……は? 何、言って……」
「本当の番になるんだよ、中也。僕のものとして、完全に肉体を繋ぐんだ」
太宰の言葉に、中也の目が見開かれた。
本当の番になる。それは、この首筋の奥にある結合組織に、太宰の牙を深く突き立て、一生消えない「真実の番の証」を刻むこと。
そして、精神も肉体も、生涯この男から離れられなくなることを意味していた。
「ふざけるな……っ! 誰が、手前に、そんな……ッ」
「拒否するかい? 拒否して、このままこの部屋で、熱に浮かされて脳を焼き切られて死ぬかい? それとも、外にいる名も知らないαの男たちに、その身体を切り刻まれて貪られるかい?」
太宰の一歩一歩が、部屋の空気を重くしていく。
太宰はベッドの縁に膝を乗せ、中也の身体を組み伏せた。
「嫌だろ、中也。君のプライドが、そんなマフィアのゴミ屑みたいなαに抱かれることを許すはずがない」「う、あ……っ……」
中也の瞳から、悔しさと熱の苦しさで涙がこぼれ落ちる。
太宰の言う通りだった。
死ぬよりも嫌だった。
他の誰かに触れられるくらいなら、目の前にいる、最も憎たらしく、誠に世界で唯一自分を理解しているこの男に支配される方が──マシだと、本能が叫んでいた。
「……太宰、お前……」
「中也。僕の犬になりなよ。一生、僕だけの鎖で繋がれて生きていくんだ」
太宰の手が、中也の濡れたシャツのボタンを一つずつ外していく。
露わになった中也の胸元は、熱で赤く火照り、激しく脈打っていた。
太宰はその肌に直接、自らの手のひらを滑らせる。
「あ、っ……冷た、い……いや、あつい……っ!」
「静かに。ここからは、大嫌いな僕のことだけを考えて狂えばいいさ」
太宰は中也の細い腰を強く掴み、引き寄せた。
二人の境界線が、完全に崩れ去ろうとしていた。
敦芥推し
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#文スト中原中也夢
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かいじう🦖
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