テラーノベル
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ミルの光が遠ざかる。 背後で弾ける音がして、そのたびに胸がギュッと締めつけられた。
(ミル……絶対、戻るから……!
だから、消えないで……!!)
走りながら、涙がこぼれそうになるのを何度もこらえた。
リンは私の手を強く握って先を走っている。
でも、握る指先はほんの少し震えていた。
「リン……大丈夫?」
「大丈夫……じゃないよ。
でも……のあがいるから、走れる」
その言葉だけで胸が熱くなった。
白い世界は徐々に変化し、
今度は暗い青色の通路になっていった。
壁は生きているみたいに脈打っていて、
触れるとリンの感情がざわっと流れこんでくる。
孤独
不安
希望
寂しさ
やさしさ
全部が混ざり合っていて、苦しいのに、すごく美しかった。
「リン……こんなに苦しんでたんだ……」
「うん。
ここは……ぼくが“誰にも言えなかったこと”を閉じこめた場所だから」
その横顔は、とても強くて、とても弱かった。
「のあちゃん!! リン!!」
振り返ると、
ミルがほとんど“光の粉”になりながら必死に飛んできていた。
「ミル!!!」
「ミル、無理しないで!!」
ミルは首を振り、大きく手を伸ばした。
「時間がないの!
早く扉を開けて……核を——!」
そこまで言った瞬間、
ミルの後ろに、黒い影が立ち現れた。
無味の刺客。
感情のない真っ黒な人影が、音もなくミルを掴む。
「や……っ!!」
ミルの光が一気に散った。
「ミル!!!!!」
リンが駆け出そうとするのを、私は 思わず抱きしめた。
「リン、ダメ!!
触ったらリンまで……!!」
刺客の手が触れた部分から、ミルの光が“色のない影”へ変質していく。
ミルは苦しそうに振り返り、叫んだ。
「行って!!
怖くても……悲しくても……
進むことでしか、心は守れないの!!」
涙も出ないほど強い声だった。
「私のことは……もういい……
私のことより……リンの心を……!!」
「ミルーーー!!!」
言葉を終えると同時に、ミルの姿は完全に崩れた。
甘い光でも、優しい形でもなく。
ただの“感情の粒”として——風に溶けて、消えた。
コメント
1件
今回も楽しいお話ありがとうございました!!ミル消えちゃった…でも、ミル強い子ですね!また会えるといいです!核がどんどん近くなってきた✨️続き楽しみにしてます!
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める @つん&語尾にゃん♡