……目が、覚める
何処かの裏路地で仰向けのままで
(………………へ?)
巻き戻し■■■■■■■回目
(……なんで私はまた裏路地で……?
…私は図書館でハンスに…)
「……F-01-02《マッチガール》」
…F-01-02《マッチガール》は何の問題も無く私の目の前に生成される
「………そっか…」
私は、未だにL社から逃れられないのか
……行かなきゃ
折角与えられた機会
…やる事なんて決まり切っている
「……T-09-86《地獄への急行列車》」
あんな最後は許さない
私達の最後はハッピーエンドじゃ無ければ…許さない
「………クソッ……」
L社の元へ向かった
…のだが、其処に図書館なんて無かった
L社は何度倒産を繰り返すのだろうか
…また、情報収集を……
また張り紙に聞き込みに裏路地中を駆け回って………
(……いや、)
それが何かしら成果を挙げたか?
…結局、どれだけ頑張ろうとも、変な奴らの助けが無ければハンスに会うことさえ叶わなかったではないか
それに、今の私には
「…向かおう」
貴方を救える力があるから
…私が向かった先
L社と協力関係であったR社、W社、T社、K社の内の一つ
…R社ならばL社、もとい図書館の情報くらいは持ち得ているだろう
そう考え、R社へ足を運んだ
「………やぁ、初めまして。」
「…っ構えて」
即座に銃を向けられてしまう
…発砲されなかっただけマシであろう
私は両手を上へ上げ、降伏の意を示す
「……ノックも無しに侵入したのは謝る。
…だから少しだけ、話を聞いてくれないかな?」
私はO-01-64《貪欲の王》の魔方陣を用いてR社の中へ移動していた
…のだが、案の定と言うべきか、とんでもなく警戒されていた
しかし、何も用意せず向かった為E.G.O.装備の抽出を忘れていた
……流石に不味いか…?
「……翼の会社中へ許可も無く侵入だなんて……何のつもり?
ただのフィクサーならいざ知らず。
仮に翼の関係者なら…翼間のいざこざに繫がりかねないってくらい、少し考えれば分かりそうな物だけど。」
「これに関しては……ミョに同意見だな
…R社について何も知らない訳じゃないんだろ?」
「俺もウサギと同じだ。
侵入者なら、俺らで処理するのみ…だな。」
そう言いながら…R社のスーツを着た白髪の女に片角の男、図体のデカイ男は武器を私へ向ける
「あー…L社…もとい図書館についての情報が欲しくて……
少し教えてくれない?」
「図書館って言ったら…第4群1万5,000匹が殺処分されたあの図書館か?」
「マキシム…お前……」
「…そう、その図書館に用があって。
…ただ、その図書館の行方が分からないからR社に来たんだけど……」
R社の三人が目を見合わす
…どうしたものか
「おい!…何をしている。
お前らはさっさと新たなエネルギー源を……
……その者は?」
「あ!ババア!良い所に!」
明らかにリーダー格の人物が出て来た
…この女性なら話が通じそうだ
「初めまして。…元L社職員コントロールチーム、スミレ。
…図書館の情報を集めに来た。」
「……ふむ」
考える素振りをするその女性
私はただその一言を待つ
「えー!!ソイツR社中に侵入してきた侵入者だよ!?
ましてやL社職員!翼の関係者でしょ!?さっさと帰らせ──」
「黙れ。
ミョ。ルドルフ。マキシム。
…お前らはさっさと戻れ。」
その女性がそう言い放つと、渋々と言った様子で3人は下がっていった
「私はR社第1群隊長、ニコライだ。
図書館の情報を集めていると言ったな?
……そうだな、情報を求める…ひいては契約を持ちかけると言うならば、その対価を支払うべきだろう?」
……確かに
何も考えずに此処まで来たことはやはり失敗だったか?
私に支払える対価なんて……
「………あ」
あるではないか
L社が倒産したことによって、どの翼も不足しているであろう物
…私に、よく関係のあるもの
「……ここに」
「……?そこはお前の…」
「此処に、L社を凌ぐエネルギー源がある」
私は自らの頭を指刺し、そう言い放った
「………」
R社第1群隊長、ニコライは驚愕していた
L社との契約時に得られていたエネルギーを凌ぐ量のエネルギーが、たった一人の人間から抽出しているのだ
…それもそのはず、かつての煙戦争の原因…煙の根源が、彼女の中に埋もれているのだ
ニコライは愕然とした様子で、装置に繋がれているスミレをただ眺めていた
「…これで終了だ。
…何処か身体に異常は無いか?」
「どこにも。
……それより、これで対話の権利位は得られたかな?」
「あぁ、十分だ。」
この数分で得られたエネルギー量…TT2プロトコルを何度行うことが出来るだろうか
L社の倒産と共にどの翼もエネルギーについては頭を抱えていた
彼女の存在は、イレギュラーとなるだろう
…翼間の戦争も視野に入ってくる程度には
「…是非、これからも御贔屓目に宜しく頼みたいな。」
「それはあなたの発言次第。
私にも大切な『これから』があるからね。
……それで、図書館について知ってることを教えてくれない?」
それからニコライは、懇切丁寧に説明してくれた
R社の第4群も図書館へ向かい、帰らなかった事
図書館と同じく『不純物』であり、図書館へ向かった残響楽団すらも帰らなかった事
図書館から、またもや光が放たれた事
…その光によって、図書館で本となった者が都市の何処かしらで少しずつ目を覚ましている事
そして…調律者の手によって、図書館は何処かへ放られた事
「これが知り得る全てだ。
…図書館が何処に放られたのかは分からない。
R社の権限で探すことも不可能だ。
…それ以前に、『頭』によって調律が入るだろうからな。」
「『調律者』……『頭』………」
…なるほど
図書館が何処かにはあるという情報は、少なくともスミレを安堵させる
…だが、どう探したものか
(図書館を探すことそのものに『調律』が入る…
でも話を聞く限り図書館の情報を持っているのは『頭』くらいだろうし……
……図書館の情報………
…脳から情報を抜き出す……
…………………………あ)
これなら
いや、でも……
……ハンスの為なら
「……行き先が決まった」
「そうか、ならそこに──」
「その前に。
これからR社を多少贔屓するって事で…少しお願いしてもいいかな?」
「……?なんだ?」
「R社の特異点…複製技術を少し貸してくれない?」
「っ!!!何所でそれ……
……そうか、元L社職員か。」
「そういうこと。
…で、許可は貰えるかな?
なんならR社以外との契約をこれから受けなくても良いけど。」
「………申し訳ないが、それは許可できない。
R社は信頼が命だ。……複製体には頭からの条件がある。その条件を破ればR社は翼の席から下ろされ、B社によって処分される。
…よって、複製体を他者に渡すことは出来ないのだ。…此方としても苦渋の決断だ。受け入れてくれ。」
(複製体の譲渡は不可か…
…なら、)
「それなら…私の■■を複製する事って…出来る?」
「!!!
………あぁ、それならば可能だ。
…だがそんな物……」
ニコライはスミレの瞳を見つめる
すると…
「…まぁ、用途は聞かないでおこう。
では話の通り、これからも御贔屓目に頼む。」
「…うん。有り難う。」
さて、じゃあ次は…
………『頭』に殴り込みに行く
コメント
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頭に殴り込みに行けファイヤーッ!(?!)