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第3話【死と生と南ー七伊地ー】
※七伊地(七海&伊地知)
※死ネタ
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暖かい風が吹いていた。
ここは家じゃ無いな…そう確信して恐る恐る目を開くと、そこは綺麗な海が広がっていた。
「…どこ、ここ」
そう呟き、慣れない目で横を見ると遠くの方に見慣れているのに…何処か懐かしい背中が見えた。
「な、なみさん!」
気づけば走り出していて、愛おしくて懐かしい彼の背中を追っていた。
けれど彼は顔も見せずに歩いている。
「待って!」
駄目だ追いつかない、もっと走って!もう、離したくない何も!失いたくない…待って、待って。
「待って下さい!!」
大きな声で呼んだ…いや叫んだ。
すると彼がこちらを見て、いや、…七海さんか?
「七海、先輩…」
「伊地知君、どうしたんですか?」
懐かしいというより不気味だ。
なんでこんなに若い彼が…先輩…
昔彼を呼んでいた時に使った言葉
「…七海さん、帰りましょう」
「え?…私、まだ任務が__」
「一緒に住むって言ったじゃないですか!…ッなのに!なのに先に行っちゃって!」
「伊地知君、疲れてますね、家入さんに治して」
「…七海さんッ」
頬に伝ったしょっぱいのは海水ではなく涙だった。
行かないで欲しい、帰ろう…帰って本を読んでなんでもない話をして、海の近くに家を建てて…それから、それから
「…伊地知君、海は好きですか?」
「…え?」
「私、思うんです灰原は私と真逆なので山が好きなんじゃないかって伊地知君は?」
「わ、たしは…七海さんとなら何処にでも行きます。」
「…そう、ですか…けど伊地知君、君には北がおすすめです」
「何言って__」
「虎杖君、壊れそうですから援護してください。それが私達大人の役目ですから」
そう言って笑う彼は元の姿に戻っていた。
「七海さんッ!」
“七海、行こうか”
“七海ー!おせぇーよ!”
“七海!凄いよ!めっちゃ綺麗!”
「…伊地知くん、北へ」
そう言い私の方を指さし、懐かしい声と共に消えていった。
朝起きると、枕は濡れていた。