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今回も楽しいお話ありがとうございました!!ミルもうでてこなくなっちゃうのかな…。悲しいなぁ…リンは、優しすぎて自分の首絞めちゃったんだね。のあさんが怖いこともあるのがわかりましたね笑続き楽しみにしてます!!
「のあ……ひとつ、話してもいい?」
「もちろん」
リンは部屋の中の“幼い自分”を見つめたまま、ゆっくり話し出した。
「ぼくね……
人を困らせるのが怖かったんだ。
自分が泣いたり、怒ったり、弱音を吐いたりすると……
みんなが嫌な気分になるんじゃないかって思って」
リンの声は震えていた。
「だから、ぼくは“甘いふり”をした。
楽しいよって、平気だよって、笑顔でいれば……
みんな安心するから。ぼくも嫌われずにすむから」
それは、あまりにも優しすぎて、あまりにも苦しかった。
「リン……そんなの……」
私は思わず抱きしめた。
リンはびっくりして体を強張らせたけど、
すぐにそっと私の背中に腕を回した。
「のあ……」
「泣いてもいいし、怒ってもいいし、弱くてもいいよ。
甘いふりなんてしなくても……私、リンが好きだから」
リンの呼吸が、私の肩に落ちた。
「……ありがとう。
のあがそう言ってくれると……すごく、楽になる」
ミルがかすかに微笑む。
(ミル……聞こえてる?)
そう思った瞬間、ミルの光がふっと揺れた。
「ミル? どうしたの?」
声をかけると、ミルはほんの少しだけ困った顔をした。
「のあちゃん……見える?」
「え……。」
ミルの姿が、ほんの一瞬だけ“別の形”になった。
——人型じゃない。
光でもない。
苦しみと優しさが混ざった、形を持たない“感情の影”。
「ミル……もしかして……」
リンが息を飲む。
「ミルの“本来の姿”になり始めてる……
甘さだけの存在じゃなくて……
リンの“感情そのもの”に戻りつつある」
ミルは笑った。
でもそれは、どこか泣いているようでもあった。
「のあちゃん。
もうすぐ、私はミルじゃなくなるよ」
「いやだ……!」
思わず叫んでしまった。
「ミルはミルだよ……!
甘さでも、光でも、名前がなくても……
消えなくていいよ……!」
でもミルは首を振る。
「でも、戻らなきゃいけないの。
私が戻らないと……リンの心は完成しない」
寂しい気持ちが込み上げ、涙がこぼれた。
「ミル……」
ミルは私の手をそっと取り、
子どものころのようにあたたかな触れ方で言った。
「大丈夫。のあちゃんは、“失う”ってことを怖がってるけど……
本当はね、“変わること”を受け入れてあげるほうが強いんだよ」
その言葉を理解する前に——
突然、白い世界が軋んだ。