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#ファンタジー
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48-1◆祭りの始まり、そして王の根回し◆
次の日、午前中の授業が終わると担任の烏丸が告げる。
「諸君。来週1週間、放課後の授業はない。全て文化祭の準備に充てること。完全下校は夜10時まで」
その言葉にクラスが沸く。
一人の運動部員が手を挙げた。
「先生!部活はどうなるんですか?」
その問いに答えたのは烏丸ではなかった。
天宮蓮司だった。
彼は静かに立ち上がりバスケ部の部員たちへと告げる。
「バスケ部のみんな。大槻先生には俺から話を通してある。準備期間中は練習を休んでこっちに集中してくれ。先生も応援すると言っていた。他の運動部も同様だ。それぞれの顧問の先生には連絡済みだ」
その完璧な根回し。
クラス中の運動部員たちが安堵とそして天宮への尊敬の表情を浮かべた。
「もちろん、この時期、部活のほうが大事な奴もいるだろう、それは遠慮せずに部活へ行ってくれよ」
奏:「見たかミラー。王の根回しだ。俺たちが動く前に、彼はすでに全ての障害を取り除いている」
ミラー:「ああ。完璧なマネジメントだな。だからこそ皆、彼についていく」
奏:「顧問たち全員が、王の命令を待っていたかのように従ったのなら???」
ミラー:「それだけ、天宮蓮司という名前が秩序として機能しているんだろう」
烏丸が改めて口を開く。
「というわけだ。今日から本格的に演劇の準備をスタートする。それぞれ、各セクションのリーダーである天宮、久条、音無の指示に従うように」
その言葉を合図に教室は文化祭という名の祝祭と、そして戦争の舞台へとその姿を変えた。
48-2◆脚本家のもう一つの才能◆
その日の金曜、放課後、文化祭準備週間が正式に始まった。
教室の空気が一気に「祝祭モード」に切り替わるのを感じた。
教室は熱気に包まれている。
俺は自らが責任者を務める舞台技術セクションのメンバー10名を前にしていた。
彼らは皆クラスの中では、あまり目立たないごく普通の生徒たちだ。
その顔には、これから始まるであろう面倒な作業への憂鬱が浮かんでいる。
奏:「見てみろ、ミラー。烏合の衆だ。これでは最高の舞台など作れない」
ミラー:「だから、お前が作るんだろ?最高のチームを。お前のその眼を使えば、簡単なことだ」
ミラーのその言葉に俺はハッとした。
(待てよ。あるいはこれこそが)
(これってカーストスカウターの能力をもっとも発揮できるタスクかもしれない)
俺は目の前に立つ10名の生徒たちに、ゆっくりとカーストスカウターの焦点を合わせた。
そして先日、覚醒したばかりの新機能「人間関係相関図」と「キャリア・ディグ」を同時に起動する。
視界に無数の情報が、洪水のように流れ込んできた。
青い友情の線。赤い対立の線。
そして一人一人のパーソナリティと隠された特技。
【田中宏:手先が器用】【伊藤翼:ミリタリー好き】=【青い線:親友】
【鈴木舞:ファッション好き】【加藤恵:K-POP好き】=【赤い線:ライバル】
【佐藤健太:音ゲーが得意】
【木村良平:体力だけはある】
(見えた。完璧な布陣が)
俺は数秒で全ての分析を終えた。そして彼らに告げる。
「まず全員、大道具を兼任してもらう。その上でチームを分ける」
「田中と伊藤。君たちは小道具班だ。二人で協力して最高の剣を作れ」
「鈴木は衣装。加藤はメイク。互いに競い合って、最高のヒロインを作り上げろ」
「佐藤は音響。木村は力仕事担当だ」
俺は淀みなく、それぞれの役割を割り振っていく。
俺のそのあまりにも、的確な采配に、メンバーたちは、驚きの表情を浮かべていた。
なぜ音無が、自分の特技や友人関係まで、知っているんだ?と。
彼らのその戸惑いは、やがて俺への純粋な「信頼」へと変わっていった。
「以上だ。来週の月曜には、それぞれ自分のパートについて、具体的な計画を練ってきてくれ。何をどうするべきか?道具、素材、人数、必要な技術、なんでもいい。出せる限りの情報とアイデアを紙にまとめて提出。いいな?」
メンバーたちは一様にうなずき、それぞれの課題に向かって散っていった。
俺たちのチームはこうして、静かにそして完璧な形で始動した。