雨の音と妙な雰囲気だけが、静かに教室を包む。
💛「これに懲りたらあまり人をからかわないでください……」
やっとの思いでそこまで言ったところでころちゃんの唇がまた僕の唇と重なった。先程より熱く、力強く唇を押し付けられる。
けれどすぐ離し、
💙「からかって、ないよ」
震える声に驚いて、僕はころちゃんの表情に釘付けになった。
なんで貴方が、泣きそうな顔をしているんですか。
泣きたいのは今の僕の方なのに。
💛「泣かないでくださいよ…もう」
僕の独り言に近い言葉の後に、栓を切ったかのように夏の晴れて澄み切った空のような瞳にガラスのように透明な涙が溜まっていく。
僕は優しくその涙を拭った。
こんな時でさえ貴方は僕のこの気持ちを、涙ひとつで決意を揺らがせてしまう。
(なんなんですか、本当に)
好きになったのはもうかなり前のことなのに、諦めるのにはかなりの時間がかかってしまう。
そんな不毛な恋をしたこと自体は後悔はしていない、そうしてしまうと好きになった気持ちごところちゃんを否定するような気がした。
ぐるぐると頭の中がおかしくなりそうな程に廻る、
僕は貴方を大切にしたい、友人として築いてきたこの何年もの期間を無駄にはしたくないと思っている。
けれど嫌われてもいいからこの想いをどうにか行動に移して捨て置いてしまいたいとも考えているのだ。
いっその事嫌われて、顔さえ合わせられない日々になれば…。
今この時が最後のチャンスなら…僕は、
そう決心した僕はころちゃんの手を取り、二人分の鞄を手に持つ。
💙「へ?」
随分と気の抜けた小さな声だ。
その声にもかき消されるくらい小さな声で、
💛「ここじゃ、恋人ごっこの続きができません」
呟いた。
僕はころちゃんの顔をやっぱり見れなかった。
コメント
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あのほんと好きです